68 子供にはやや早い
明日も昼目安で来ますね。下に試し描きセイカ置いておきます。神絵師よ宿れ。
今朝の集合は朝の6時半で現地集合なんだけど、ちょっと早くありませんかね?私は覚醒しきれない頭をふりながら、ベルジュと出動する。
今日遺跡に潜る事を想像して、嫌すぎて中々寝付けなかったのだ。太陽の元で吸う空気ともしばしお別れになってしまう。この遺跡は砂っぽいし、私のテンションは下がる一方だ。
「あ、セルフィちゃん、ベルジュちゃん、おはよう!」
サーリャさんが手を振って挨拶してくれるので、そちらに小走りで移動する。知っている顔がいると落ち着くものだ。……ベルジュは面倒くさいのか、蓋の辺りに寝転んで手だけ挙げている。これが挨拶のつもりなのだろうか。小さいからあちらから姿も見えないだろうに、手だけ挙げて返事になる訳が無い。不精すぎる。
「今日もみなさん早いんですね、まだ30分前ですよ?」
冒険者は時間ギリギリに来る人も多いが、簡単な打ち合わせをする為に、大体は10分前位に集合場所に来るそうだ。その中で”氷雪”はダントツに早い。
更に10分程経つと、考古学チームと”放浪の旅路”5人が来た。
そう、また”放浪”と合同で仕事をする事になってしまったのだ。仕事にわがままを言うのもどうかと思うけど!けど!
でも、やっぱり苦手なものは苦手である。
今更だが、”放浪”はリーダーであるアルファさんが騎士、その他は戦士、クレリック、魔法使い、シーフという贅沢な全部盛りパーティーだ。
これだけのパーティーを維持するのにもお金が要る。流石は近辺にも名前を轟かせるSランクパーティーだ。
誤解されがちなのだが、ダンジョンに入って程々の宝石や武器防具を手に入れても、自分の装備が破損すると、その分を修理したり買い直さなければいけなくて、利益となると微妙だったりする。食費や住居の支払いも有るからね。
それに反して、ランクが上になる程上手く立ち回れるようになって、ようやく純利益が出るのだ。
よって意図的に中堅所から抜け出さず、比較的安全な依頼を地道にこなすパーティーもいる。もちろん上昇志向も有り、あくまで過程としてのB級のパーティーも有るけれど。
「それじゃあ入ろうか。先頭は俺達がいくよ」
「了解した」
”放浪”のアルファさんとシーフが先頭になり遺跡に入って行く。私は大人しく真ん中の考古学科に属している。”氷雪”と親しいとは言え、お喋りを楽しみながら進むわけにはいかないので、無言で真ん中の団子にくっついている。
一つ問題なのは、機嫌が良いのか、ベルジュがマジックバッグの蓋の上に寝転びながら、調子っぱずれな呪いの歌を歌っている事だ。個人に向けている訳では無いので、別に誰にも呪いがかかる訳ではないのだが、皆な体の中がぞわぞわしているはずだ。
「戦闘になった時に、皆の邪魔になるからやめて」
私はそう言って、寝っ転がった姿勢のベルジュの首元を摘まんできちんと座らせる。
相変わらず考古学科の職員さんから若干距離を置かれている。職員さんも前回と顔ぶれが変わらないので、一般人である私が前線に出たのは、さぞ奇異に映っただろう。変な兎と喋ってるしね……。私だって好きで前線に出た訳じゃないんだけどな。
どう見ても内勤タイプなんだから、あなた達とそう変わらない……と言いたいところだけど。フィールドワーク系だと、私よりも体力があるかも知れない。仲間だと思ったけど、違ったわ。
それでも、いつかの腕輪事件からウォーキングを数か月続けているので、以前より健康的になり、体力は付いたと思う。そうは言っても冒険者には全然及ばないんだけど。
私がウムウムと一人頷いていると、前を歩いてるシーフさんから注意が飛ぶ。
「あ、そこ手をつかないでね」
え?
私が靴に入った砂を取る為に壁に手をついていると、ガコンと音がして壁が回転した。
通り過ぎてからじゃなくて、早く言って!?
「危ない!」
イクリスさんが、回転する扉に引き込まれそうになっている私を引っ張って胸に抱きこむ。辛うじて飲み込まれずに倒れ込むと、私がイクリスさんを押し倒しているような図式になってしまった。思わず頭がNow Loading・・・状態になっていると、サーリャさんが私達をロングスタッフで二つに分けた。
「私のセルフィちゃんと、イチャつかないでくれる?」
イクリスさんにロングスタッフを向け直したサーリャさんの眼差しは、絶対零度だ。しかし、言っている内容が若干おかしい。私はサーリャさんの物ではないし、イチャついている訳でも無い。
「イチャ……!?」
私は慌ててイクリスさんの上から飛びのいて顔をコネコネして表情を整えながらイクリスさんを見ると、彼は起き上がりながらも顔が真っ赤だった。せっかく整えた顔から湯気が出るような感覚を覚え、ヨロヨロと後ずさる。
「セルフィさん、大丈夫ですか?」
背中から、セイカさんが支えてくれる。
隊列を乱したので先頭のアルファさんを見ると、あからさまに機嫌の悪い顔をしていた。
そんな顔しなくてもいいじゃん!
舌打ち3秒前かと思うような表情である。
確かに足止めはしてしまったけれど。でも、警告が遅いシーフさんのせいも、ミリくらいは有るよ。
私達は、若干ギスギスしながら遺跡の中を進んでいくのであった。




