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解析スキル「アナライズ」でチートだけど、私は鑑定士なので受付嬢と冒険者はお断りです!~呪いの兎型アーティファクトを添えて~  作者: 夢咲みやと
合同探索・遺跡ダンジョン

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67 第48回氷雪会議 未遂

明日は、昼目安で更新に来ますね。

「と言う訳で明日なんだけど」


「待ってください、サーリャさん、意味が分からないし、何でここに私が居るんですか?」


 ここは”氷雪の鷹”が話をする時に使っている、防音室だ。パーティーの話し合いの場に、何故か一介のギルド員である私がいる。どう考えてもおかしい。


「それは、セルフィちゃんがお菓子を持ってきてくれたから、ついでに会議をしておこうと思って?」


 普通、パーティー内の相談がメインではないだろうか。会議がお菓子のついでになってしまっているのだが、おかしいぞ。


「あ、セルフィさん、すごく美味しいです。これなら僕、いくらでも食べられます」


 ナイフの扱い方に興味を覚えたベルジュによって、一分の狂いも無く切られたケーキが、皆の胃袋にどんどん消えていっている。


 パウンドケーキの、ノーマル、柑橘系ピール入り、紅茶と三本用意したのだが、もはや争奪戦になっていいた。パウンドケーキを渡したら、さっさと帰る筈だったのだが、何故か”氷雪”が使っている会議室に、引っ張り込まれてしまったのだ。


「ちょっと!私の分残しておいてよね!」


 サーリャさんが会議から離脱した。もはや誰も会議などしていない。ここは、パウンドケーキの戦場だ。

 意識を他所に飛ばして虚空を見ている私に、上品にフォークを使って食べていたイクリスさんが一呼吸おいて咳払いする。


「コホン、ごめんね見苦しくて。セルフィさんのケーキ美味しくって、会議どころじゃなくなっちゃったね」


「いえ、そこまで言ってくれると作り甲斐有りますけど……他のケーキと違って割と日持ちがするので、常温で日の下とかでなければ慌てて食べなくても、一週間くらいは持ちますよ?」


 私はイクリスさんが食べていた皿を盗み見る。そこには、先ほどまでノーマル1切れ、柑橘3切れ、紅茶2切れが乗っていた。柑橘系のパウンドが好きって事かな。


 パウンドケーキは材料が大抵は各100gで手順さえ間違えなければ、お菓子初心者の私でも作れる。


 そう、クッキーが作れない私ですらね。


 ちなみに、私はガイアスさんが持ってきてくれたカヌレを、独り占め状態で食べている。余ったらお持ち帰りにさせてもらおう。


「それはそれとして、あの無機質の部屋の奥に何か有るって?」


 イクリスさんが居住まいを正したのでので、私もつられてシャッキリとする。


「考古学科の職員さんの話では、壁の向こうが空洞のような場所があるそうなんですが、職員さんでは分かからなかったとか。で、その向こうに行きたいそうですよ」


「なるほど……」


 イクリスさんはコーヒーに落としたミルクが溶けるのを見ている。


「そうしたら、そこまで行ってみないとね。何が有るかも分からないから、この機会に、うちでも小さなマジックバッグ買っておこうか。今までの共通資金の積み立てで買えるだろう」


 小さいマジックバッグとは言え資金が潤沢な”氷雪”なら、私のよりも大きい容量なんだろうな。


「今回は何か有った時の為に、サーリャとセイカが小さい物を持ってくれ。俺達前衛だと邪魔になるからね」


 なるほど、もしもの為に分散させるのか。


「それにしても、せっかくマジックバッグ手に入るなら、食事事情を何とかしたいですよね。どこかの商店でお湯を注ぐだけで出来る物を買っておきませんか」


 セイカさんが未だ皿にキープしていたケーキをもぐもぐしている。ベルジュは飽きて、パウンドケーキが乗っていた紙を、ナイフでレースペーパーにしていた。出来上がった作品を、ガイアスさんやサーリャさんに見せびらかしている。趣味が、折り紙からレースペーパーに進化したらしい。器用だな?



 

 この後、冒険者御用達の店に連れて行ってもらった。私もご飯を毎回作る訳にもいかない。お湯で戻るインスタントの野菜スープなどは、冒険者には有難いものだ。お湯を魔法瓶に入れれば、温かいスープが飲めるという寸法である。

 

 あとは、お湯を使わなくても食べられるパウチに入っているシチューなど。火を使えなさそう場所や、匂いで魔物が寄ってこないようにする場所では、そういうものが重宝される。


 温かい物だと匂いが漂ってきちゃうからね。


 「色んな物が有るんですねぇ」


 私がひとりごちると、それを拾ってくれたガイアスさんが 品物の紹介をしてくれる。


「此方はキノコのスープだ、栄養が良いが腹が空く。こちらは葉物や野菜のスープで栄養が良い。こちらは湯を注ぐだけでふやける米だ」


 私がフムフムと聞いていると、セイカさんがため息を吐きながら付け足してくる。


「でも、全体に水っぽいんですよね。お腹に溜まらない感じで。やっぱりほどほどのマジックバッグは必要ですね。今までは周りの冒険者と同じで買おうとも思わなかったですけど」


 確かにマジックバッグを持っている冒険者など、私が窓口に入るようになって半年くらいになったが、片手で足りる程のパーティーしか見ていない。それほど高価な物なのだ。


 私もお城からの支度金が無ければ、一介のギルド員が買える値段ではない。”氷雪”ならもっと良い物が買えそうだが、発想自体が無かったらしい。


 私も毎回食事を作る訳では無いので、せめてお米くらいは買っておこうか。後はチーズと塩漬け肉が有れば最低限どうにかなる。


 あとは、以前みたいにはぐれた時用に固形食糧と魔法瓶にお湯を入れるくらいだ。空腹は冒険者の敵だ。

私はベルジュが寝ずの番をしてくれるので、眠れはする。


 テントは嵩張るから、寝袋くらい入れておこうかな。私のマジックバッグは容量多くないからね。


 そうして各々バッグに入れる商品を吟味して、明日の早朝の集合に合わせて帰路に就いた。


 結局カヌレの残りは私一人で頂いた。ダイエットは明日から、だ。

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