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解析スキル「アナライズ」でチートだけど、私は鑑定士なので受付嬢と冒険者はお断りです!~呪いの兎型アーティファクトを添えて~  作者: 夢咲みやと
合同探索・遺跡ダンジョン

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63 胃袋を掴め

次の更新は、明日の夕方となります


 考古学科職員さんが、どのくらい持ち帰るかの本の選別をしている間、私達は暇になってしまった。


 この空間は魔物の影も無く、警戒する必要も無かった。まあ、二段階の認証が必要だし。碑文の所の扉を開いた後の通路からは、塵一つ無い舗装された道だった。


 これが文明が滅びる前の技術と言う事なんだろう。


 手持無沙汰なので、せめてスープくらいはと思って、作る事にした。私のマジックバックの容量はあまり多くないので、こっそり食べたおにぎりで結構スペースを取っていたのだ。


 今回はサーリャさんと一緒なので、気兼ねなく水を出してもらえる。前回はアウェイだったので”放浪”の魔術師さんに「料理をするので、水を出してください」などと頼めなかった。


 木などは見当たらないので、いつか鍋を火にかける事を夢見て、念のためにレンガを持ってきたので、それを積み重ねて鍋を置く。しかし、この白一色の空間で鍋を火にかけるのは、気が引ける。煤でも付いたら、文化遺産を傷つけた罪で処されちゃうかも知れないからね。


 やっぱり、碑文の辺りまで戻るべきだ。あそこは土だし、何か有ったら扉の中に逃げればいいのだ。

 ”氷雪”とナユさんが付き添ってくれたので、安心してご飯を作り始める。今度こそレンガを積んでいき、鍋に米を入れて、米を炒めた後にブイヨンを少しずつ入れて20分炊く。様子を見ながらチーズを入れて、塩で味を調えたらお皿に盛って胡椒を振ったら出来上がりである。


 今回はチーズリゾットだ。



 正直、1人当たりの量はお茶碗一杯分程なのだが、遺跡で固形食糧は相当つらい。帰り道の目途が付いているので、ここで一回お口をリセットしても良いだろう。


 ナユさんが「セルフィちゃんの、手料理……」と感激している。


 匂いが辺りに充満したのか、”放浪”のみなさんが見に来た。


「いい匂いがすると思ったら……」


 リーダーのアルファさんが、喉を鳴らす。と言うか、皆さんの顔が期待で艶々している。


「もう火の始末もしたので、鍋を中に持っていきましょうか。本が有る一個手前の部屋なら食べても大丈夫だと思います」


『他人の飯の支度なぞ、気にせんでよかろうに』


 ベルジュはそう言うが、実際は私達が温かい物を食べたいので他の人にも分けるだけである。100%の善意だと思われると、気まずい物がある。


 鍋を持って立ち上がろうとすると、横からスッとイクリスさんの手が伸びて来た。


「熱いし重いでしょ。持つよ」


 皆の視線がトゲトゲしてるのは、何でなんだろうか。


 本をより分けていた考古学科の皆さんも、匂いには耐えられなかったらしく、あっという間に一つ前の扉に集合である。流石に人数分の器は無かったので、私達以外は数人で一つのお皿で食べていただく。

 

 流石に、そこまで準備万端では無い。

 足りない分はお馴染みの固形食糧である。


「さっきのリゾットを食べた後だと、砂でも食ってる気分になるな」


”放浪”のアルファさんが言っている。そうだよね、人間の三大欲求の食が楽しめないなんて、なるべくならない方がいい。


それはそうと、ようやく地上へ生還である。


『ようやく地上か。ワシは昔の遺跡に閉じ込められていた時を思い出して、憂鬱だったぞ』


 地下になれない私の方が、大変だったと思う。


ふぅと息を吐いていたら、”放浪”のアルファさんが、ズカズカとやって来て、私の両手をいきなり掴んだ。


「!!??!?」


驚いて固まった私にアルファさんは言う。


「どうか、俺達と一緒に来てくれ。報酬はギルドの3倍は出す。ギルドは辞めて、俺達に着いてきてほしい」


「な、何でですか」


「あなたの作る料理は素晴らしかった、ダンジョンに行く時に、あなたが居るだけで活力になるだろう。マジックバッグだって、俺達なら今の何倍も良い物が買える」


 あなたも胃袋の本能に従っただけか。次の瞬間、高く高く飛び上がったベルジュがスピードを上げて降りてきて、繋がれた手をバシッと叩いた。


『いやらしいやつめ、年頃の女の手を握るなど。手を放せ!!』


 全くだ。自分で手をサスサスしていると、イクリスさんが腕をそっと持って引き戻し、さっと背中に庇ってくれた。


「彼女の事を何も知らないのに、そう言う事を言うのはどうかな。失礼だとは思わないか。それに彼女はギルド職員だぞ?フィールドワーク向きじゃない」


 うわぁぁぁん、もっと言ってやって下さい。


「金なら払うと言っている」


「そもそも彼女は料理人じゃない」


「そうそう、セルフィちゃんは街の中が好きなんだよ。外に連れ出されて良い訳ないでしょ」


 アルファさん、イクリスさん、ナユさんが三々五々言っていて、収拾が付かない。


「とにかく!私はギルド職員でいる事が一番ですから!冒険には着いていけません!」


 思わず私は叫んでしまう。辺りはシーン となった。


 私、何かおかしな事言った?

                                                     

「コホン」と考古学科の人が咳ばらいをする。


「申し訳ないのですが、こちらの本を運び出すまでは付き合っていただけますか?何回かに分けないと持ち帰れないですし、かと言って、あなたでないと扉が開かないので」


 また、この地獄のような地下潜りを繰り返さねばならないのか。そんな殺生な。


「とにかく今回の件は、お手柄です。国の方から十分な報酬が出るでしょう」


 私にとっては、そういう問題じゃないんだよなぁ。



ここで言うドアは、プレートを触って開くドアに、認証で開く自動ドアのようなものです

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