58 ふらぐ の つよさ は ばつぐんだ
只今、一日1話、20時目安更新になっております。
一日の内に4~5階層進んでいるので、15階層到達までおりる事4日。その間、どんどん魔物は強くなっていくが、”放浪”とエインズさんのパーティーに悉く蹴散らされている。
今回も女性は夜番を免除されている。どの探索であっても、男性が多い探索では女性が免除される事もまま有るそうだ。それと、テントが有るのは中々の待遇らしい。人目が多く、遮るものが無いと、プライバシーの観点から人間は多大なストレスを感じるそうだ。
仮にテントが無い睡眠時間なんて考えると、ストレスで胃がキリキリしそうだ。今回はテントが有ったから助かった。流石に毛布だけで寝るフィールドワークとかは、私には敷居が高すぎる。
でも、最近はベッドで寝る方が少ないような……お願いだから裏方作業に戻して。その日も私は、心の中で泣くのだった。あと何日でお家に帰れるのだろう。
さて、話に聞いていた15階層に来たわけだが。言われたとおり、確かに石碑が有って扉が閉まっている。この石碑をだれも解読出来なかった訳だ。
私は皆に見守られながら石碑の前に行くと、スキルを使う。
”解析”
【我ら四聖獣、集いて道を示すなり。我らの中心にて、力を示せ】
と彫っている人の呟きと言うか、念が伝わってくる。
四聖獣と言うのは有名な、東の青龍、南の朱雀、西の白虎、北の玄武だろう。
中央と言うのは麒麟と言うのが定石だ。
私の予想を、考古学科の職員も肯定する。
「”集いて”って中央を向かせろって事なんですかね。ここに来るまでに、それっぽい像ってありましたっけ?」
「いや、マッピングした道には何も無かったよ」
私が言うと、”放浪の風”のシーフが答えてくる。しかし、私の横に居るナユさんは、こっそりと「横道がいくつか有ったけどな」と耳打ちしてくる。
と言う事は、マッピングした以外の場所を見つけないといけない訳だ。
「じゃあ、四聖獣に対応した方向に、石像なり石柱なりが有ると思います。コンパスで、なんとか東西南北で探す方向でいきましょう」
職員さんの言に全員が頷き、”放浪”のシーフさんの後に続く。今まで辿って来た道から方向を割り出し、道を探し出していく。
これには結構、難儀した。道が迷路のようになって居るので、進もうと思う方角へ中々進むことが出来ないのだ。しかも、迷路につきものの所謂「右手の法則」が効かない。壁が途切れ途切れなのだ。
しかし、横を見るとナユさんがスラスラと道を書き込んでいる。うーん、これは”放浪”のシーフより
ナユさんの方が、こういう事に慣れてるって事かな。
「ほい、この辺の地図。ここから外側を向いて歩けば着くと思うよ」
ナユさんは、マッピングした物を”放浪”のシーフに向かってポンっと放る。
「………………………………」
如何なSランク冒険者と言えどプライドが傷ついたのか、”放浪”のシーフが唇をギュッと結ぶ。
やがて割り切ったのか、深いため息を吐いて、マップを握る。
「このマップ、使わせてもらう」
自分のプライドより、この集団の安全を取ってくれたようだ。ふぅ、良かった。私は胸をなでおろす。立場が上の人間は、往々にして下の者の声を拾いにくいものである。しかし、彼は違ったようだ。
「それでは、このマップを基に進もう。君も気が付いた事が有ったら、教えて欲しい」
それはナユさんの腕に一目置いてると言う事だ。私は関係無いのに得意になって腕を組む。ベルジュは『お前の功績では無いだろ』と言っているが、知り合いが褒められるって嬉しいものでしょ。
一つ目の四聖獣は東の青龍だ、曲がりくねった道ながらも、コンパスとナユさんのマップを頼りに、蛇行しながらも東の端に着いた。ここがおそらく東の行き止まりだ。そこには石の台座に、大理石でできた竜の像が有った。
「集いてって言うくらいだから、中心の方へ体を向けるんでしょうね」
私が言うと、”放浪”の戦士が、力を込めて石像の向きを変えようとする。しかし、ピクリとも動かずに石像は沈黙するばかりだ。
「ナユさん、台座に何か仕掛けがありません?」
ざっと見た所、私には何か有ったようには見えなかったが、シーフたる彼には何か見つけられるかも知れない。ナユさんは台座をあちこち叩いて探った後に、表面をさらさらとなで始める。
「……あった。このボタンがスイッチだな」
見た所で、私には何も分からない。石の粒かな?くらいにしか見えないのだが、シーフにしか分からないであろう仕掛けで、”放浪”のシーフも褒めたたえている。
『フゥム、別に台座を壊して、上の像の向きを変えればいいのでは無いか?』
退屈だったのか、私の鞄にごろりと寄りかかっているベルジュのやけくそ発言に一同ぎょっとする。
ここは、遺跡丸ごと国の物だ。きっと、何らかの罪状が付いて物理で首が飛ぶだろう。自分の首を押さえてヒヤヒヤする私に、ベルジュは涼しい顔でそんな事を言うではないか。
「鑑定室に、きっとベルジュに勝てる宝具が有るに違いないわ。室長さんに、何か無いか、探してくれるように頼んでみようかなぁ」
肝が冷えたお返しに言った私の言葉を受けて、ベルジュはワナワナとしているが、自業自得だよ。
私達が会話の応酬をしてる間にもナユさんはスイッチを押して、龍の向きを変える。元々は北を向いていたのだから、中心を向かせるという事は、像自体は東に有るが、向きを西に向けるという事だ。
完全に向きが直ると、何かが嵌ったような「ガタン」という音がして、それ以上はピクリとも動かなくなった。
麒麟までは、あと三つ。
割と世界観がごちゃごちゃなのですが、謎解きが簡単になってしまいました。
センスが降りて来ず……。
ここは神ノ樹通り裏路地12番街骨董店⇩
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ダークファンタジー的な何かTRUEENDが好きな人向け。




