表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
解析スキル「アナライズ」でチートだけど、私は鑑定士なので受付嬢と冒険者はお断りです!~呪いの兎型アーティファクトを添えて~  作者: 夢咲みやと
お仕事は夢を見る事です

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
54/96

53 閑話5 ポケットマネーと冒険者ギルド裏事情 

※ちょっとだけタイトル変えました。

「ふぅん、大変だったのね」


「はい、もう夢から出られないかと思いましたよ」


 私が哀愁を漂わせているのに、ギルド長の返事は雑な物だった。


「あ、今回は依頼が国からじゃないから、報酬はそこまで高くないわよ。鑑定科の室長のポケットマネーからだから」


 ソファに座った私の前に金貨袋が置かれるが、中を見てぎょっとした。個人からの依頼にしては、かなり多かったからだ。それだけ部下思いって事だよね。鑑定科室長への好感度がギュンとあがる。

 この金額を多くないと言うギルド長って、一体……。ギルド長の私生活も謎のベールに包まれているな。


「今回の依頼って、大きな遺跡の発掘の鑑定を行ってたんですよね?同時に結構な数をこなしてるんじゃないですか、皆さんの顔が死んでましたし」


「そうねぇ。まだセルフィちゃんに依頼は来てないけど、大規模だったらしいから、また何かしら来るかもね」


 あの死んだ魚の目をした面々の中には入りたくないものだ。


 それは、フラグってやつですよね。ギルド長には、散々フラグを立てられて辛酸を舐めて来た。いい加減やめてください。ここ最近の仕事量は、内勤のそれとは比べ物にならない。これは、給料プラスαでも割に合わない。


「それよりも、今日の「仕事」ね」


そう言って、黒い布切れを渡してくる。

はいはい、いつものですね。


解析(アナライズ)


 たちまち目が熱を持つと、とある人間の影が浮かび上がった。影の形から、やや中性な印象を受けるが、ほぼ男性である。庶民通りを通り抜けて、職人通りへ。そこから更に奥に行くと、とあるレストランまでたどり着いた。


「ここって”遅咲きのノクターン”ですね。裏口に回っているみたいですけど」


”遅咲きのノクターン”は客層が男性ばっかりの、男性冒険者が多い、The・酒場オブ酒場だ。


「セルフィちゃん、お疲れ様」


 毎回のように蒸しタオルが出てくるので、軽くもんでからそれを目に乗せて休める。


「今度はどんな奴なんですか?」


「薬の密売よ。裏口から入ってたのね……明日は突撃だわ!」


 蒸しタオルの隙間からギルド長を見ると、闘志を燃やして、ぎらぎらとしていた。ああなってはギルド長のパッションは止められない。本当なら自首して欲しいが、明日の予報は「辺りに血の雨が降るでしょう」だ。でも、犯罪者だから仕方ないね。


 ソファに寄りかかって目を閉じている間に、最近疑問に思っていた事を質問してみる。


 「窓口って、なんで女の子しかいないんですか?指輪やアンクレットを配布しているとは言え、前に来たカスハラ男みたいなヤツが来たら、どうしてたんですか?男性も居た方がいいですって。これは一種の性差別ですよ」


 目を軽くしばたたかせてピント調節をしていると、ギルド長が意外そうに「アラッ」っという。


「そう言えば、セルフィちゃんってずっと鑑定室に居たから知らないのね」


「何をです?」


「窓口奥の、書類決済しているユーグさんって居るでしょ?あのコ、元冒険者なのよ」


「へー……えぇっぇえ!?」


ユーグさんとは、青白く瘦せ型でメガネをかけており、およそ冒険という言葉とは程遠い雰囲気である。


「それで、何か有ったらこう、魔法でズドンと」


「人は見かけによりませんねぇ」


 あのユーグさんが!?冒険に行ったら途中で息絶えそうだと思うのは、私の偏見だろうか。

 他にも経理のシンさんとか、事務員のカルルさんとかも元冒険者なのだそうだ。シンさんとカルルさんは二階が仕事場なのだが、ユーグさんは普段受け付け嬢の後ろでデスクに向かい、決済をしているが、いざとなったら表面に出るそうだ。


 あの日は、たまたま席を外していたらしい。


「このギルドは、まだまだ秘密がいっぱいですね」


 ギルド長の謎の人脈とかね。

 私が言うと、ギルド長は手のひらを口に持っていき「うふふ」と笑った。


「女は秘密が沢山有るものよ」


 あなた女じゃないでしょう。


「それよりも、最近は”氷雪”の出入りが多いから、出待ちしてる子もいるみたいよ。」


 ギルド長はこちらに意味深な視線を投げてくる。


 うわぁ、私って最近は”氷雪”と行動する事が多いけど、いつか刺されたりしない?


 私が恐れ(おのの)いているのを見て、ティーポットの周りで呪いのダンスをグルグル回っていたベルジュが、トコトコ歩いてくる。


『なんだ。奴らを呪殺すれば解決するのか』


 ストーーーーップ!


「ステイ、ステイ、まだ何も起きてないからね」


『じゃあ、最近この建物の近辺に居る女どもを呪えばいいのか?』


「なんでまだ何も起きていないのに、先手打って殺そうとしてるの」


『何かが起こってからでは遅いのだぞ。転ばぬ先の杖というものだ』


 どこで、ことわざとか覚えて来たんだろう。ベルジュが強請ってくる本も、検閲しないといけないな。

 私達の侃々諤々の議論は、ギルド長に部屋を追い出されるまで続いた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ