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解析スキル「アナライズ」でチートだけど、私は鑑定士なので受付嬢と冒険者はお断りです!~呪いの兎型アーティファクトを添えて~  作者: 夢咲みやと
ダンジョン&?

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37 幕間3 宝石言葉と弾丸

2本立ての閑話です。


「あんたさあー、イクリスさんだっけ?」


「何だ?」


 今回の臨時とも言えるパーティーに加入したシーフのナユが、テントで二人きりになった途端に”氷雪”のリーダーである俺に、横柄に話しかけてくる。先ほどまでの、メンバーが揃っている時と態度が違い、やけにつっけんどんである。


「セルフィちゃんに気が有るの?」


「はっ?!?」


 訳が分からない。何故いきなりそんな事を言うのか。セルフィさんは冒険者ギルドで働いていて、街にずっといる一般人だ。つねづね安定を求めていて、冒険者の俺が簡単に恋愛対象にしていい相手ではない。



「ワケ分かんないって態度だね。でも、あんただけセルフィちゃんに遠慮があるんだよね。他のメンバーはめっちゃ親しくしてるのに、あんただけは細心の注意払って大事に話しかけてンの」


 それは、彼女に気持ち良く仕事をして欲しいから。冒険者ではない彼女は、本来ダンジョンに潜るべきではない。ベルジュがいるとは言っても、完全に安心する事は出来なくて、戦闘の時は一歩下がった彼女の位置を気にしてしまう。でも、それくらいは当たり前じゃないか?


 ナユは胡坐をかくと、面倒くさそうに言う。


「そういうの、分かっちゃうんだよねぇ」


「それは”氷雪”にとっても大事な人だから、丁寧にも接するだろ。俺はリーダーだし、俺達と居る時は大体は彼女にとって不本意な仕事内容だ。余計に嫌な思いはさせたくない」


「ふーん、じゃあ何とも思って無いんだ?」


「いや、大事には思ってるよ」


「じゃあ、オレがセルフィちゃんを口説くの邪魔しないでもらえる?あんたのパーティーメンバーにも言っておいてよ」


 何だよ、それ。お前みたいなチャラチャラした男が、口説いて良い相手じゃないだろ。


「俺は自分の腕に自信が有る。あんたたちみたいに、遠出してリスクを負ってまで敵を倒しに行って、帰って来るか帰って来ないかみたいな心配をさせる事も無い。そういうタイプの職でも無いしね。そこまで遠出しなくても、稼ぎの面でも苦労はさせない」


「……そういうのは、セルフィさんが決める事だろ」


「それもそうか。とにかく邪魔だけはしないでね」


 頭の中の血管が、どくどく言う。戦闘の息の荒さとは、全く違う息苦しさだ。気が有る?誰が?俺が、セルフィさんに?丁寧に扱うのと何が違う?


「この宝石、何か分かる?」


 ナユが荷物の中から一粒の宝石を出して、光に透かせながら俺に見せてくる。ここに来るまでに宝箱から出た宝石だ。確かにこの宝石が出た時に、自分が所有したいと主張していた。


「サファイアだろ?」


 何故当たり前の事を聞くのか釈然としないながらも答えると、ナユは”へっ”っと笑った。


「夕日のようなピンオレンジ色の物は、パパラチアサファイアって言うんだ。宝石言葉は”一途な愛・運命的な恋”」


 ざわり。

 胸の内が音を立てる。


「ほら、大丈夫じゃないって顔してる。でも、それこそ”セルフィちゃんが決める事”だよな?」


「そうだが……」


「それじゃ、この依頼が片付いたら、俺、告白するから。おやすみー」


 混乱する俺に対して、言う事は言ったとばかりにナユは背を向けて、薄い毛布にゴロリと横になった。



 今夜は眠れそうにない。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 時間は少し遡る


 事の発端は、ベルジュが”セルフィさんから離れることが出来ない”と発言した事だった。謎が有ったら解き明かしたくなるのが人間と言うものだ。


 サーリャによって地面に丸が書かれ、セルフィさんがその中に入る。


『何故、こんな事をせねばならぬのだ……』


 ガイアスに運ばれながら、ベルジュはぶちぶちと文句を言っている。


「いや、必要な事だ」


 そう、何mまで物理で離れられるかという実験だ。戦闘や、普段の生活でどれだけ離れられるのかを実証見聞したことが無かったので、この機会に調べてみようという事になったのだ。

 セルフィさんの近くにサーリャが、ガイアスの近くにセイカが、それぞれ魔法の灯りを点けて距離を取りながら移動していく。

10m……20m…………25m………30……40m


「あっ」


 思わずセイカから声が漏れる。突如、ベルジュがガイアスの手から浮かんだかと思うと、豪速球でセルフィさの肩へ目掛けて飛んで行った。


「いったっ!!!」


 ベルジュがいくら小さいからと言って綿で出来ている訳でも無く、40mの距離をスピードに乗って飛んでいったことで、かなりのダメージがセルフィさんに入った。


「~~~~~~~!!」


 肩の痛みで(うずくま)ると、セイカが小走りで戻って来て、慌てて回復魔法をかける。


「ここまですごいスピードで飛んでいくとは思わなかったな……セルフィさん大丈夫?」


 中間地点で見学していた俺は、腕を組んで考えこむ。


「ここまで離れてて良いんだったら、戦闘面で不便は無いんじゃね?」


 ナユが走っていって、セルフィさんの手を取って起こそうとするが、ベルジュに頭を、サーリャに手を叩かれていた。それを遠目で見ながら、頭の中で戦闘時の位置取りを考える。


 これなら、よほど囲まれでもしない大丈夫だろうという考えと、まだ不安だという気持ちがせめぎ合う。

思考の海に沈んでいると、後ろからガイアスが俺の肩に手を置く。


「心配のし過ぎだ。自分達の他にもベルジュがいるのだ。今までの経験を生かして毎回ベストを尽くすだけだろう」


 確かにその通りである。


 俺は、今までの冒険以上に気を引き締める事にした。

宝石言葉は本当です。

まだ恋じゃない。


当分は昼と夜の2回更新で、忙しい日は夜20時更新になります。毎日更新は崩さずに行きたいです。

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