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解析スキル「アナライズ」で有能設定だけど、私は鑑定士なので受付嬢と冒険者はお断りです!  作者: 夢咲みやと
呪物と契約でエンジョイ社会人ライフ

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20 Brack or White?

 仕事が終わった帰り道。

 今日、アリスさんは御贔屓の役者さんが出演しているとかで、観劇に行ってるので私は一人で帰っている。


 大通りを歩いていて、ふと思い出す。

 このままでは、霊退治のウェルケント通り2番街の近くを通ってしまう。私の家は隣の地区だが、考えてみたら霊が依頼通りの場所にまだ居るかは分からないのだ。私が初めて見たのも自分の家の近くだったし、また移動していないとも限らない。


ひぇっ


 ベルジュが居るので私は平気とは言え、見ていて気持ちの良い物では無かった。引きずり込まれそうな目を思い出して、寒気を感じて小走りで家に向かう。


『むむっ、この先に居るぞ』


 肩のベルジュが唸る。


「ベルジュが居れば、私は何ともないんじゃないの!?」


『その通りだがな』


 珍しく考え込んでる風なベルジュを見ると、暗闇の奥の奥を見ている。私もそちらへ目を凝らしてみると、足元からじわじわと影が広がっているのが見えた。


『道理を弁えぬ若造だな。ワシの前で不躾にも程がある』


 ベルジュが手をかざすと、そこから影がどろっと溶けて行った。穴が開いたかのように中心から小さくなると、今度は黒い塊となって慌てたように逆方向に去って行った。


「逃げた?」


『逃げたな。顕現したてで長幼の序(ちょうようのじょ)が分かっておらぬようだな』


 フンス!とベルジュが鼻を鳴らしていると、塊が逃げた数ブロック先で閃光が走った。え、その先は私のアパートがある方向なんですが!?


「ベルジュ、帰る家が無くなるかも!私の安住の地が消える前に、今度こそヤツを塵芥(ちりあくた)にして!!」


『何故ワシが……まだおぬしの家に行ったとも限らんじゃろ』


 ベルジュは面倒くさそうに言った後に、私の肩に座り直した。その暢気さに腹が立った私は切り札を出す。


「あなたのベッドも無くなるわよ」


『む、さっさと向かうが良いぞ』


 何だかんだ言ってベルジュがベッドを大事にしているのは分かっている。ここは物質ものじちをとらせてもらう。


 口論をしながらも現場に飛び込んだ


 現場は墨をぶちまけたように、通りを挟んだ両の家々が真っ黒だった。その中で一か所だけ地面が白い場所が有る。


「セイカさん!?」


 その中心でセイカさんのスタッフから残り火のように光が漏れている。


「セルフィさん?」


 セイカさんもこちらを見て驚いていた。”氷雪”はセイカさんを中心として位置取りをしている所だった。


「セルフィさん、危ない!」


 イクリスさんが大きな声で言うが、ベルジュが頭に乗って居丈高に言う。


『コヤツには呪いが効かんから、早く片付けろ』


 頭の上に乗るのやめなさい。


 塊がゆらゆらと揺れるとゆっくりと広がって行く。一回ぐぐっと縮んでタメを作ったと思うと四人それぞれの方向に襲い掛かる。


 その瞬間、イクリスさんとガイアスさんの剣が白く輝くと塊を切り裂いてゆく。サーリャさんは自分の方へ向かった塊を炎で焼き払った。その三つの塊は”しゅんっ”と音を立てて後退し、一つの塊になったかと思うと残るセイカさんの方へ襲い掛かる。


聖なる息吹(ホーリーブレス)


そう唱えたセイカさんの頭上には天からあまねく光が降り注ぎ、それを食らった影は蒸発したようにじゅわっと消えた。


「ふーっ」


 最初に息を吐いたのは誰だったか。


 セイカさんがスタッフを下げてあちこちを見聞している。おそらく打ち漏らしが無いか確認しているからだろう。


「思ったより手古摺(てこず)ってしまったな」


 ガイアスさんが頭をぽりぽりとかく。先ほどの剣の輝きはもう落ち着いていた。


『貴様らは、もっと早く片付ける事が出来ると思っていたぞ』


 ベルジュは憎まれ口を叩きながら肩に降りてくる。それよりも、だ。いつものベルジュだったら黙っていないし、私に影が近付いた時だって、もっと早く消し去っていただろう。態度もどこかおかしかった。


「ベルジュ、あなた弱くなった?」


『そんな訳はなかろう!私を嘲笑するつもりか!』


「でも、いつもはもっと一瞬で終わるわよね。何でそうしなかったの?」


『…………』


ベルジュは、しばし黙る


『作られたのはごく最近の呪いでも、ワシが見た事のない呪いであった。わしが地上に出た事で引っ張られて表に出て来たのだろうが、術者は近代の者じゃな。業腹だが、そのクレリックの小僧の方が今回はワシの方より優れておった』


じぃん


「あなた、そんな事も言えのね」


思わず感動する。このクソ味噌に性根の悪いベルジュが人を褒めるだなんて。


『褒めてなどおらぬ。見た所、あれは人のキモチだ活力とかを食う悪霊だ。ワシとは方向性が違う。若い(ゆえ)到底ワシの力は及ばぬが、お前の場合と違って呪いで呪いを相殺させる訳にはいかぬ』


「どういうこと?」


『契約内でならどれくらい悪質でも跳ね除けられるが、そうでない場合、悪霊が食ってしまった分はワシが取り込む事になるぞ。”無かった事”にするのはワシには無理だ。”解呪”する力は持っておらぬからな。今回は、そういう依頼ではないのであろう?」


 なるほど……ベルジュに解呪は範疇外と。


 しかし、悪霊が勝手に目覚める訳は無い。誰かがそのような儀式をしたか何かの封印を解いたかのどちらかだ。


 さて、今回はどちらなのか。謎は深まるばかりだ。

 ぽつぽつと雨が降り始め、私達の行く末を象徴しているかのようだった。


ファンタジーで長幼の序(ちょうようのじょ)?って思ったんですけど、単に上下関係っていうのも違うと思ったので。

一応、調べながら文打ってるですが、「一般的じゃないけどニュアンス的にはこっち」となると兼ね合いで悩みます。

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