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【完結】 解析スキル「アナライズ」でチートだけど、私は鑑定士なので受付嬢と冒険者はお断りです!~呪いの兎型アーティファクトを添えて~  作者: 夢咲みやと
新しさの発見

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128  晴、時々火竜

明日もお昼更新です。

 本日は晴天なり。明日は炎の雨が降るでしょう。


 馬車にガタゴト揺られる私は、そんな天気予報を思い浮かべながら、幌付き馬車の荷台で死んだ目をしていた。もちろん特別性のクッションは敷いているが、揺れの不快さは無くならない。


『オイ、生きておるか』


「しんでるぅ……」


 辛さのあまりにIQが下がった私は、ベルジュのぽふぽふのパンチを食らっても、そんな言葉しか出ない。


「大丈夫?セルフィちゃん、相変わらず乗り物が苦手ね」


 馬車は、女性は女性で固めてくれたので、サーリャさんと一緒だった。


「故郷で騎獣乗って遊んでた頃は、酔わなかったんですけどね……」


 騎獣と言うのは、飼いならされた大型の虎型・狼型の獣を、獣使いが主従関係を結んだ獣だ。昔はそんな獣の上で、もふもふしながら後ろに乗せてもらって、喜んだものである。懐かしい。


 それが、王都に来て馬車に乗ったら毎回これである。そう言えば、竜便も厳しかったな。

 そして、馬車は単純にお尻が痛い。


 何度か休憩を挟みつつ、王都から5日程、馬車を休めながら走る。

 その度に、まだ寒いと言うのにポットに入れてある氷をかみ砕きながら枕におでこを埋めつつ、やりすごした。マジックバッグが無かったら死んでましたわ。


 今夜は最後の休憩だという事で、テントを張って、かなり時間をかけての野営だ。ゆっくり休んで明日に備えろと言う事である。ここからは火竜の行動範囲まで後少しなので、気が抜けない。


 騎士達達は騎士達で野営の食事準備を始めたので、私達”氷雪”と”放浪”も、ご飯の支度をする。大掛かりには出来ないので、一人がカップに一杯程度だが。サーリャさんに魔法で水を出してもらい、根菜を入れつつ、コンソメと煮る。根菜だと満足感が出るのだ。


 もう少し大きい鍋でも良いかと思ったが、大人数の食堂ではないし、味付けの加減が難しくなるのだ。

 なので、このくらいの人数が限界である。 


「あ、この旅程で必要な分のシリアルバー渡しておきますね。個人がバラバラになっても大丈夫なように、各自で管理して下さい」


 私が配っていくと、”放浪”のリーダーがニッとして「有難い」と言う。シリアルバーだけで大げさな。そんなに携帯食料に、うんざりしているのだろうか。まあ、かく言う私も、あのもったりした食感が嫌で、自分でシリアルバー作ってるんだけど。


「そこまでカロリー無いので、携帯食も食べておいてくださいね」


「それでも、携帯食しか食べる物が無い時と比べれば、雲泥の差だ」


 シリアルとナッツと蜂蜜なので、単に携帯食の口直し程度なんだけど。

 ”放浪”のリーダーは、リスのようにぽりぽり食べている。大男とリス、ギャップで風邪を引きそうである。


 皆で大して美味しくも無い携帯食をスープで流し込みつつ、ご飯を終わらせる。

 男性陣が火の始末をしている間に、女性陣はテントに入る。


『あやつは何も言ってこなかったな』


「そうだねぇ」


 ベルジュが言っているのは、イクリスさんの事だ。私はテントの天井を見つめる。

 それを見たのか、隣に居たサーリャさんが顔を向けてくる。


「セルフィちゃん、実はこの間、あいつを皆で袋叩きにしたんだけど」


 袋叩き!?


「ちゃんとセルフィちゃんの事考えてるみたいだから、待ってやって」


 待ってやってと言われてもなあ。


『夫婦喧嘩は犬も食わぬと言うでは無いか。古典恋愛劇の話で見たぞ』


 ベルジュがフンとバカにしたように言う。よし、後で”支配の王笏”の実験台にしてあげよう。

 そして、夫婦ではない。


「別に、お仕事として普通に上から指示が有れば同行しますから大丈夫ですよ」


 私の言葉に、サーリャさんが口ごもるが、結局何も言う事は無かった。


 私はテント内に、敷きクッションとマイ枕を置いて横になる。「待て」っていつまで待てば良いのやら。  YESかNOだけだと思うんだよね。


 私はごろりと横になると、すっと寝入ったはいいものの、一晩中なにやら悪夢を見たらしく、次の朝にはヨレヨレだった。私は今日、使い物になるのでしょうか。


 身繕いをしてテントから出ると、ばったりとセイカさんに会った。


「おはようございます」


 私が言うと、挨拶をかえしてはくるが、顔を直視しないように私から目を逸らしている。


「どうしたんですか?」


 セイカさんは普段そんな態度をとる人では無いので、不思議に思って首を傾げていると、ふぅとため息を吐いて言った。


「女性にこう言う事を言うのは失礼かもしれませんが……顔色悪いですよ」


「ああ……」


 これはつい最近も聞いたぞ。


「大丈夫です、デフォです」


「そんな訳無いでしょう!?」


 セイカさんに怒られるが、顔色が悪かろうが、私も上に言われて来ているので、やる事はやらねばならないのだ。


「この案件が終わったら寝れますんで、早く片付けましょう」


 私はセイカさんの背中をぽんぽん叩く。


「本当ですよ。僕も早く帰りたいです」


「冒険者のセイカさんでも嫌な案件なんですか?」


「やはり、空を飛びますからね。地面に引きずり落とすのが大変で……今回はまだ幼体らしいんで、楽に倒したいですね」


 そう言うセイカさんの表情は、ゲッソリしていた。Sランクパーティー2つのアライアンスでも倒すのが大変なんて、想像もつかない。


 ちなみに城からの騎士が持ってきたカタパルトは、投石するタイプではなく、爆発する棘のような形をした物だそうだ。それで翼の被膜を攻撃するらしい。


 休憩中に、近くに居た騎士に爆発しないのかと聞いたら、マジックバッグに入れてきたらしい。それもそうか。





 さて。

 投石機の準備OK

 魔法使いの配置OK

 前衛の控えの位置OK


 

 これで準備万端だ。出てこい、火竜。いや、出て来て欲しくないけど!

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