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【完結】 解析スキル「アナライズ」でチートだけど、私は鑑定士なので受付嬢と冒険者はお断りです!~呪いの兎型アーティファクトを添えて~  作者: 夢咲みやと
新しさの発見

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117/132

116 理由

明日は昼更新です

 ギルドで聞いた所によると、最低限の治療をし、各々の家に戻って静養しているらしい。ガイアスさんは実家、セイカさんは神殿へ寄った後に自宅へ、サーリャさんは友達の家に行ったらしい。

 イクリスさんは他の場所に行ったという話は無いので、自宅に居るんだろう。


 私は食材を買い込み、イクリスさんの家のチャイムを押す。

 部屋の奥からガタンガタンと言う派手な音がしてから、ドアが開く。  


「セルフィさん、来てくれたの?」


『ワシもおるぞ』


「そりゃ来ますよ……。セイカさんが居てもこれだけの被害なら、かなり強かったんですね」


 私はグイグイとイクリスさんの背中を押し、ベッドに連れて行く。そうしてベッドに押し込むと、無理矢理布団をかけて寝かせた。毒が完全に抜け切っていないので、熱が出ている。


 私は持ってきた氷嚢に、台所で氷を入れ、イクリスさんのおでこに乗せる。

 ちなみに、氷を砕いたのはベルジュのシールド魔法である。本来とは用途が違うが、何事にも応用は大事だ。


「眠りますか、それともご飯食べますか?」


「ご飯が食べたいな」


「分かりました。濡れタオルを渡しておきますので、ご飯を作ってる間に一端、体を拭いておいてくださいね」


 私は台所でお湯を浸したタオルを絞り、イクリスさんに渡す。

 その間に、お米を研いでから、水と共に火にかけていく。胃に優しいのは卵粥だろうか。

 途中でアクを何回か取り、それなりに米が柔らかくなったので、溶き卵を回し入れる。塩の他にちょっとだけ顆粒出汁を入れると、くつくつと鍋が小さく煮立ち、いつでも食べられるように出来上がった。


「良い匂い……」


 トレイにお皿とスプーンを乗せ、サイドテーブルに乗せる。

 そうすると、イクリスさんはフーフーとしながらお粥を食べ始めた。


 顔が赤いせいか、妙に色っぽい。いや、私は病人相手に何を考えているんだ。いかん、いかん。食べ終わるのを見届けると、イクリスさんは、どさりと背中からベッドに寄りかかる。


「何が有ったのか、聞いてもいいですか?」


「そうだね。セルフィさんに言っておいてもいいかな」


 話はこうだ。


 シーサーペイントと依頼書に書かれていた魔物は、どうやら変異種だったらしく、海から引きずり出す事には成功したのだが、毒の霧を吐いてきたらしい。それ自体はシールドをかけたのだが、あちらの方が一枚上手だった。力も強く、ガードしきれなかったそうだ。

 毒の霧も思ったより強く、セイカさんが解毒するも、かなり疲弊したので一度帰って出直す事にしたらしい。


「取り敢えず、熱を下げましょう。セイカさんも神殿に行っているようなので、解熱剤買ってきました。今、水持ってきますね」


「…………………………」


「蜂蜜で溶きましょうか?」


「いや、大丈夫だから」


 解熱剤は独特の苦みとエグみが有るので、子供などは蜂蜜に溶いて飲むことが多いのだが、苦いのが苦手なのだろうか。


『ハハッ、苦みの強い物が飲めないなど滑稽だな』


 でも、君は食事しないから苦みとか分からないじゃん。

 イクリスさんにもプライドがあるだろうから、粉薬と水を渡すと、素直に飲んだ。


「あとは寝ちゃってください。寝入るまで居ますから」


「有難う」


 シンとした空間で、イクリスの苦し気な呼吸音だけが響いていた。

 それが落ち着いた寝息になるのを確認してから、音を立てないようにドアを閉め、合鍵で鍵をして家を出る。


「さて、お許しは貰えるかな」


『何がだ?』


「王城の鑑定科に、丁度良いアーティファクトが有ったんだ。他国に行くための主要海路だから、借りるのもお許しが出ると思うんだよね」


『どんなものなのだ』


「それは行ってのお楽しみ」


 私達はお城につなぎを付けられるギルド長に話しをする為に、ギルドへ向かう。歩く事25分。歩く事に飽きてきた頃に、ようやく冒険者ギルドに着いた。


 私は職員用の出入り口から入り、二階のギルド長室前まで来てノックをする。


「どうぞぉ」


「ギルド長、失礼します」


「あら、セルフィちゃん、最近は非番の日にも働いてるのね」


 ギルド長はそう言いつつも、ミニキッチンで紅茶を淹れてきてくれる。


「それで、どういう用向きかしら」


 ギルド長の、こうズバッと切り込んでくる話し方は、今は楽だ。


「”氷雪”がシーサーペントの討伐を失敗したことは知っていますよね。あそこは国の輸出入の主要回路ですし、鑑定科に有ったアーティファクトを借りたいんです」


 ふぅん?とギルド長は首を傾げる。


「じゃあ、話は通してあげるけど、交渉は自分でするのヨ」


「わかりました」


 やったね!後は明日の交渉次第だ。

シーサーペントの大きさは資料探しても分かりませんでした……

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