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【完結】 解析スキル「アナライズ」でチートだけど、私は鑑定士なので受付嬢と冒険者はお断りです!~呪いの兎型アーティファクトを添えて~  作者: 夢咲みやと
新しさの発見

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115 見送る側と見送られる側

明日は昼~夕方更新です。

アリスさんとシフトが合ったある日の事、私は当たり前のように捕獲された。


「えええっ、そう……それは中々いいわね」


 私の向かいには、コイバナ大好きアリスさんが、エビフライ弁当もそっちのけで私の話に耳を傾けている。


 時間は昼休憩で、お昼をどこに食べに行こうかと迷っていたら、あっという間に御弁当屋に入って弁当を選ばされて、会議室に軟禁された。ちなみにお昼は奢りだ。


 アリスさんには現場を見られているし、今更言い訳をすべき箇所も特にないので、或る程度は吐いた。そうすると、アリスさんは、口の前に手の平を置いて「あらあらあらあら、まあまあまあまあ」と言うセリフを皮切りに追及が始まった。ちなみに弁当を食べる手は殆ど進んでいない。


『羨ましがるな、2人の仲は大して進展しておらぬわ』


 ベ・ル・ジュ~~!余計な事を!!


「あら、そうなの。セルフィも奥手ね」


『こいつは初心者らしいぞ。早々進むまいて』


 今度は二人による、急激な私サゲな会話が始まる。


「じゃあ、イクリスさんに期待かしら」


 アリスさんは宙を見て夢見る乙女になってしまう。こうなったら暫くは帰って来ないので、その間にお弁当を食べる。エビフライはサクサクで、タルタルソースもたまらない。エビもぷりぷりで、ジューシーだ。


 アリスさんも早く食べたらいいのに。フライがへにょっとなるよ。


「でも、窓口嬢は結構出会い有るからね~。でも、私は良い人から手紙とかメモとかもらった事は無いな~。私には、いやらしい目で見てくるやつしか居なくて、がっかりよ」


 はは……。

 基本的に冒険者は気性が荒い。しかも出会いが無い為、女性に気軽に声をかけがちなのだ。(偏見)


 接客業アルアルだ。


「でも、セルフィには変わらないでほしいな~。Sランクパーティーの一味になっても私の傍に居てね」


「一味て」


 アリスさんは”よよよ”と、わざとらしくしなだれかかって来て、アルコールでも入っているかのように泣きまねをする。

 そして、私は”氷雪”とは、パーティーは組んでいない。相当仲良くはなったが、あくまで私は外部の人間だ。

 

 私への見方が結構変わっちゃったのかな。


 アリスさんはようやくフォークを進め始めて食事を再開する。ようやく食事する事を思い出したらしい。そうして、「でも」と前置きをすると、真面目な顔をする。


「相手は冒険者だから、気を付けてね」


 それは、あらゆる意味を含めている。

 将来性や生活力、金銭感覚、そして生死ーーーーーーー。


 別に街に居る事が100%安全とも限らないが、事故に遭う確率がダンチだ。


「そうですね……」


 私は何となく白黒つけたくなくて、そこのところ問題を先送りにしている。いつかはハッキリさせなきゃいけないけど、今すぐに付ける事じゃないよな。


 うん、やっぱりちょっと置いておこう。


「そう言えば、”氷雪”は今日ギルドに来るんだって?」


「はい、依頼ボード前に集合って言ってましたね」


「うーん、今ボードに貼られている大物の依頼と言えば、確か近くの島の、シーサーペントくらいだったかな?」


 くらいって。結構大物じゃないですか。


 シーサーペントとは、海に住む巨大な蛇のような魔物で、船を転覆させたり漁場を荒らしたりする迷惑な魔物だ。


「あ、アレ本当だったんですか?都市伝説だと思ってました」


 依頼には、所謂(いわゆる)、存在しない「~~ぽいもの」という曖昧な物も結構来る。

 伝説の物過ぎて、「噓でしょ」というようなものだ。


 ゴブリンは居ても、小人は居ない。

 神様は居る(らしい)が、天使はいない。


 この世は全て曖昧だ。


 昼食が終わって窓口に戻ると依頼ボードの前に、皆と話している。やがて、ぺりっと依頼書を剥がしたと思うとイクリスさんが代表で、依頼書を私の居る窓口に持ってきた。


 ーーーーーやっぱり、シーサーペントだ。


「この依頼、危なくないんですか」


 私が依頼書から顔も上げずに言うと、イクリスさんが困ったような声を出す。


「そうじゃないと採取とかになっちゃうからね。一応自分のランクよりかけ離れたランクの物を受けるのはご法度になってるからね」


 丁寧に説明してくれるが、心配は尽きない。”氷雪”の実力を疑う訳では無いのだが、それを心配するくらいには、私は彼らに近くなり過ぎた、


 「心配しないで、無茶はしないから」


 その声を聞いて、私は顔を上げる。依然書類に判子を押す手は中々進まなかったのだが、横で見ていたベルジュが、私の手を掴んで『えいっ』と判子を押させた。


「ベルジュ!」


『どうせ押す事になるのだから、早くせい』


 くっ、正論だ。


 イクリスさんは依頼書を受け取ると、軽く手を振ってドアから出て行く。皆の姿が見えなくなるまで目を離せなかった。


「セ・ル・フィちゃ~ん」


 横からアリスさんのニヤニヤ顔が覗いてくる。


「お仕事しようね?」


「はいぃ」


 私はアリスさんに促されて、慌てて業務に戻った。


 そうして、”氷雪”が大怪我をして帰って来たのは、その1週間後だった。

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