109 キマイラ戦と王笏の強化方法
明日は、お昼更新です。
しかし、読み直しても読み直しても無くならない誤字……。
訂正して下さる方々、感謝致します。
陽の射さないダンジョンにも朝は来る訳で、皆は普通に朝の身支度をしているが、私は目が覚めたものの、どうにも頭がスッキリしない。
しかし、ご飯を食べないと力が出ないので、マジッグバッグに入れていたご飯を湯煎して温め、上にローストビーフを乗せてソースをかける。後はサラダを付けて出すが、私の朝ごはんとしては胃に重いので、バゲットにローストビーフを挟んで、サラダと一緒に摂るのみで終わらせる。
皆は朝からパン粥でも食べるかのように、余裕でモリモリと食べていて、もう胃の作りからして違うのを感じて感心してしまった。もう、これは人間的に作りが違う。特に、セイカさんは結構食べるので、あの細い体のどこに消えているのか謎である。
ぼんやりとセイカさんを見ていると、イクリスさんから声がかかる。
「セルフィさん、具合悪い?食欲無いみたいだけど」
「いえ、私は元々朝はパン食なので。皆さんすごい食欲だな、と感心していたんです」
「ああ、冒険者は動かないといけないからね」
そんな会話をしていると、ベルジュが割り込んでくる。
『本当に体力が無いな。こやつらを見習え』
「これでも、最初と比べると、前よりは体力付いて来てるんだよ……」
何やら、冷めた目でベルジュが見てくるが、ウォーキングから始まった私の運動の習慣は、30分くらいならジョギング出来るくらいには進化しているのだ。 結構な進歩じゃない?
……”氷雪”メンバーは、フルマラソンくらいは出来そうだけど、そこまでは望むまい。出勤前にやっているから時間も無いし。第一、ベルジュは私の肩に居るから疲れないのだ。そもそもアーティファクトは疲れないだろうけど。羨ましい。
食器を水洗いしてから、マジックバッグに仕舞う。準備が出来たら出発だ。
その後も、どんどんと下の階層へ降りていく。階層を経る毎に、ずぅんと空気が重くなっていく。ベルジュ曰く、階層主が近付くと魔素が濃くなり、魔力が有る者は酔ってしまうらしい。魔素というのは魔力の濃さで、サーリャさんとセイカさんは慣れているのでかえって力が湧いてくるらしいのだが、私には酔ったような状態に近くなっているのだが。
「うっ……」
まるで、飲み過ぎた後の二日酔いのような感じだ。
ーーーーーーあまり飲まないので、二日酔い自体が殆ど経験した事無いんだけど。口元を押さえながらも進んでいると、セイカさんが回復魔法をかけてくれる。
「すません……」
「いえ、慣れない人なら、駆け出しの冒険者でもなりますから」
そんなやり取りをしながら、階層を降りていく内に、とうとう最下層のボス部屋まで来た。
私達は部屋の中をコソリと覗く。
階層主の部屋はやや明るく、中に居る敵がうっすらと見える。うーん、あれは……ギルドの魔物図鑑で見た事が有るぞ。キマイラってやつだ。
獅子の頭と山羊のの胴体、毒が有る蛇の尻尾を持ち、口からは火を吐く……と、図鑑には乗っていた。大きさは見た感じ、体長4mと言った所だ。図鑑で見た時には、そこまで大きくない筈だったんだけど……。
部屋の中を確認した後に、全員サッとしゃがみこみ、ヒソヒソと相談する。
「以前も戦った事が有るけど、あそこまで大きくなかったぞ」
「ボス部屋の主がキマイラだとは思いませんでしたね。変異種でしょうか」
「しかし、思ったより厄介な敵が置かれているな」
「あいつ、素早いから苦手なのよね」
”氷雪”が各々感想と相談をしている。もちろん私は直接見た事なぞ無いので、「でかくて気持ち悪い」の一言に尽きる。特にあの尻尾の蛇が。素材で持ち込まれる事は有るけれど、実はコッソリ他の人に仕事をふっていた。同僚には内緒である。
「セルフィさんは、ベルジュのシールドに守ってもらってて。もし出来そうなら、遠くから”支配の王笏”使ってもらえたら……と思うけど、敵がどういう動きをするか分からないから、無理しないで」
若干だが頭数に入れられてしまったけど、出来るかな。ガードの方はベルジュが居るので心配していないのだが、あの迫力に私が向かっていけるのかは、全くの別問題だ。
私は手に”支配の王笏”をぎゅっと持ちながら、冷や汗が出るのを感じた。
コッソリと”解析”をかけてみた所、キマイラは図鑑と大して違いの無い情報しか出てこなかった。
戦闘に向かう前に、セイカさんがシールドの魔法をかけていく。私にはベルジュがいるけれど、一応と言う事で、かけていってくれた。
「じゃあ、行くぞ!」
イクリスさんが鬨の声を上げると、頭の前に躍り出る。
「ライト!」
サーリャさんが天井に光を打ち上げた。部屋は煌々と光に満ち、昼のように明るくなった。
ガイアスさんは、キマイラの後方の尾に向き合うように位置取りをする。
サーリャさんは、イクリスさんの後ろから魔法を打ちこむために立ち、セイカさんがガードするような位置取りだ。
さあ、戦闘の始まりだ。




