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【完結】 解析スキル「アナライズ」でチートだけど、私は鑑定士なので受付嬢と冒険者はお断りです!~呪いの兎型アーティファクトを添えて~  作者: 夢咲みやと
新たな敵と奔走

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107 食卓マジック

明日は土曜日なので、昼~夕方に更新します。

 今日はダンジョンに出発する日だ。今回は、馬車の定期便が無い馬車なので、貸し切りである。戻る日に合わせて、もう一回来てもらうそうだ。そういう意味ではリミットが決まっている。次に馬車が来るまでに、終わらせないといけない。


 散々揺れる馬車から降りると、お尻が痛くなっていた。今回はクッションも持ってきたのだが、それでも被害は甚大である。”氷雪”の皆の顔は涼しいものである。冒険者のお尻って鋼鉄で出来てるのかな?


 馬車で疲れているので、大事を取ってここで一晩休憩をする事になっている。もうお昼だし、長時間の馬車での移動で体もこわばってるしね。


「私は食事の準備しますから、皆さんは好きにしていて良いですよ」


 私は石を積み重ねて高さを作って行き、網を乗せる。マジックバッグから大きめのフライパンを出し、パンをぐるっと一周敷き詰める。中心に鶏もも肉を敷き詰め、ガッツリめに、ガーリックソテーで味付けして作って行く。


 手伝いを申し出たイクリスさんとガイアスさんを断ると、体をほぐす為にと打ち合いの稽古を始めた。


 サーリャさんに水を出してもらい、もう一つの鍋にはセイカさんが切ってくれた葉野菜と溶き卵を回し入れ、かきたまスープも作る。その間にパンの方も仕上がってきているので、熱々のパンに贅沢にバターを落として完成だ。

 それを覗いていたベルジュが何故かバターの海に沈んでいたので、問答無用でサーリャさんの水魔法で洗った。何してるんだ、君。


「出来ましたよー」


 私の声掛けで皆が手を洗ってから皿にとってゆき、個人個人で好きなだけよそってもらう。


「セルフィちゃんのご飯は久しぶりね」


 サーリャさんがニコニコとお肉を口に運ぶが、次の瞬間、皆一様に渋い顔になてイクリスさんを見る。


「こういう時以外にも、セルフィちゃんのご飯を食べているヤツが居るのよね……」

「僕も、普段の食生活を向上させたいですね」

「自分も、貴族の食事より口に合うな」 


 私はオロオロしてしまうが、イクリスさんは引きつっている。


「いやね、冗談よー……本気だけど」


 どっちかな?


 食事を終わると、早々に寝る事にする。ここに着いた時間自体が、昼過ぎだったもんね。夕方からダンジョンに潜るのは自殺行為である。


 私は久々にテントに寝転がると、多少クッション感の有る敷布と、枕を出す。マジッグバッグ様様である。


「あ、私もそういうの入れておけば良かったわ。長く冒険者やってると感覚が麻痺しちゃうわね」


 サーリャさんがそう言うのは織り込み済みで有る。


「そう言うと思って、サーリャさんの分も準備しておきました。枕無いと辛いですよね」


 そう、枕だ。枕が良ければ多少は我慢が出来る。睡眠の質は枕からだ。ベルジュも枕に寄りかかって静かにしている。前に夜中に飛び回ってる時に枕ぶつけたからね。流石に懲りて夜は静かにすることにしたらしい。


「あぁ、セルフィちゃんてば、本当に気が利くわ!イクリスなんか止めて、私のお嫁さんになれば良いと思うの」


「いや、そういう話は出てませんから」


「そうなの?チッ……あいつってば腰抜けね。私なら、その日にプロポーズするわ」


 なにそれ、こわい。       


 そう言えば、どういうスタンスで付き合うとか、決めてなかったな。私は基本的に街に居るし、イクリスさんは冒険者なので、冒険者に出ている時には当然ながら街には居ないし連絡も取れない。考えてもみなかった。


 私が「がーん」とショックを受けていると、サーリャさんとベルジュが『コヤツはどうしたのだ?』「女は色々有るのよ」と横で会話している。


 このダンジョンから帰ったら、聞いてみよう。何か冷や汗が出て来た。


「ちょっと、セルフィちゃん、大丈夫?」


「ああ、いえ、ちょっと気付いた事が有っただけなので、大丈夫です」


「そう?」


 サーリャさんは訝しみながらも、もそもそと毛布に潜っていく。


 こんなダンジョンまで来て、気が散ってしまうと困る。攻略までは頭の隅へ追いやる事にしよう。今考えても栓無き事だ。

 この日は胸がもやもやとしながらも無理に横になり、あまり眠れないまま朝となってしまった。


「うぅ~」


 どうやら寝坊してしまったらしく、テントの外から良い匂いがしてきた。私がテントからのそのそと這い出して来ると、セイカさんがオニオンスープにパンを入れて、コンソメスープを作っていた。


「あ。ゴメンナサイ、寝坊して」


 私は横に居るベルジュに「何で起こしてくれなかったの?」と言うと、『ニンゲンの子供は、よく母親にそう言うらしいな。ワシは母親ではないので知らん』と、にべも無い返事をされてしまった。そうだけども!そうだけども!!


「いいえ、流石に馬車5日は冒険者では無い人には疲れると思うので。寝る前にヒールかければ良かったですね。気が付かなくてすみません」


「手伝います」


 私が見づくろいしながら起きてくると、仕上げの味付けだけ頼まれる。サーリャさんの料理は微妙と言っていたし、他の三人が今までご飯作ってたんだろうなぁ。


 私はバターを落とし込み、味にコクを出した後に、パンの上にチーズを乗せると胡椒を振った。


 その頃には皆起きてきて、体を解すなどしていた。


 昨日サーリャさんに水魔法で洗ってもらったお皿にスープをよそうと、皆に配る。


「何で仕上げを頼むだけで、こんなに違うんでしょうね……」


 セイカさんが、何故か深く感じ入っていた。


「いえ、最後に調味料足しただけなので、セイカさんのおかげですよ」


 私達は三々五々朝食を食べ終わると、食器を洗いマジックバッグにしまう。調理の後の焚火の跡を片付け、いよいよダンジョンに出発だ。


 私は肩にベルジュを装備すると。


 隊列は、イクリスさん、サーリャさん、セイカさん、ガイアスさんなので、真ん中に収まる事にした。

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