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【完結】 解析スキル「アナライズ」でチートだけど、私は鑑定士なので受付嬢と冒険者はお断りです!~呪いの兎型アーティファクトを添えて~  作者: 夢咲みやと
新たな敵と奔走

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105 知らなくて良い事

昼にも更新しております。

一話巻き戻ってご覧ください。

「昨晩、ヴァンパイアの宝石の件は解決しました」


 私はギルド長とテーブルを挟んで、報告書を出す。

 テーブルには、紅茶とガトーショコラが並んでいる。


「ふぅん、随分と騎士団の働きが悪かったわネ。もっと早く動くと思ったのだけど」


 ギルド長は報告書をぺらぺらとめくりながら、素早く読んでいく。しかし、評価が手厳しい。


「騎士団も結構頑張ったと思うんですけどね。貴族に直接調査は出来なかったんでしょう?冒険者に頼むくらいですから」


「そうね、貴族はしがらみが有るし、横の繋がりが強固だから。騎士の中にも貴族は居るけど、家門に介入したら自分の実家が危なくなるし、平民の騎士ならそもそもツテも無いし、入れないわ」


 パサッと読み終わった報告書の束をテーブルに置いて、ギルド長は優雅に紅茶を飲む。


「前から疑問だったんですけど、ギルド長って何者なんですか?騎士団長に会いに行けたり招待状を手に入れられたり」


 私がそう疑問を呈すと、ギルド長は片眉を上げて言う。

 

「アラ。世の中、知らない方が良い事も有るのよ」


 これ以上は踏み込むなって事か。複雑な事情が有るのかもしれない。そう思ってるとガトーショコラを慎重に切っていたベルジュがニヤっというような目つきで私を見る。


『要らん事を聞くと、この世から消されるのではないか?』


「やだァ、ベルジュちゃん、そんな事しないわよ。うちの大事な戦力だしね」


 ごくり。

 せ、戦力でなかったら、どうなると……?


「それよりセルフィちゃん、”氷雪”のイクリスさんの剣、レッサー・ドラゴン戦で折れてしまったのに、新しい物にしていないようね」


「え?でも、腰に剣は下げてましたけど」


「冒険者の武器・防具は命に直結するのよ。以前のは業物だったと思うけど、今は、なまくらも同然じゃないかしら?迷宮の情報でも渡して、迷宮品を探した方がいいんじゃない?」


「え、そうなんですか!?何か探さないと……」


「本当は、贔屓になるから、やめた方がいいんだけどねェ」


「ギルド長が、言ったんじゃないですか!」


 急いでガトーショコラを紅茶で流し込むと、バタバタとギルド長室を出る。




「『何者』ねぇ……」

 私が出て行った後に、ギルド長がそう呟いた事は、私には知る術は無かった。





 武器が出そうな迷宮か、何か有ったかな……。私はリストをガサガサと漁る。依頼書では目的の物を取りに行くわけだから、自ら行くに限る場所だ。


 うーん、うーん。

 ぺらぺらぺらぺら。色々な資料と地図を照らし合わせて探す。

 …………有った。


 人口ダンジョン、「エスティエーヌ」。

 この街の東に位置される、片道5日の所だ。


 ここなら……。


 私は休み時間にメッセンジャーにイクリスさんへの言付けを頼むと、帰りに家に寄る事にした。



 それが済むと、馴染みのホットケーキの店に行く。甘さが控えめな生地に、ベーコンと、添えてあるスクランブルエッグと一緒に食べる。お腹に溜まって甘くも無くてお昼にピッタリ。他に甘い物もちゃんとちゃんとあるので、同僚の皆と来る事も有る。


 私はお腹が八分目になった所で店を出る。


 お昼時間が終わった所で窓口に戻り、依頼書を捌いていことに集中する。もう窓口のヘルプじゃなくて、鑑定の方に行く方がヘルプになってるな……。多分ロウ(じい)は当分引退させてもらえないし、窓口嬢も募集している気配も無い。

 うっ、アイリさんが駆け落ちさえしなければ。私は涙を飲んで仕事をするしかないのだ。


 ギルドを閉める時間になると、残った書類を簡単に片づけ、イクリスさんの家に向かう。


 

 チャイムを押すと、ほどなくしてイクリスさんがドアを開けてくれた。


「こんばんは」


 私が挨拶をすると、部屋に招いてくれる。イクリスさんは冒険に行かない時は、大抵は家に居るのでつかまえやすい。


「セルフィさんは紅茶の方が好きみたいだから買っておいたよ。ティーバッグだけとね」


「有難うございます」


 ソファに腰かけて待っていると、しばらくして紅茶を淹れ終わり、コトリと小さく音を立ててローテーブルの上に置いてくれた。そうして、私の隣に腰かける。彼はコーヒーを淹れているので、紅茶は本当に私の為だけに買ってくれたのだろう。


 私は、おもむろに地図と情報を書いた紙を出し、イクリスさんに見せる。


「ここなら、いい武器が出るかもしれません!武器、新しくしてないんですよね?」


「そうだね、どこに行くか迷ってたから、助かるな」


 私は、地図と資料をテーブルに出す。そうすると位置と地図を見比べて、簡単な計算とメモをしていく。多分、ダンジョンに潜る為の準備なのであろう。しばらく見ていたかと思うと、サッとローテーブルに書類を置く。

 横に居るとだけ思っていたら、思わぬほどに顔が近くにあった。


「?」


「目を閉じて欲しいな」


 このタイミングで?はっ、これはそういう!?

 私はぎゅっと目を瞑る。

 


 イクリスさんの顔が近付いてきたかと思うと、口に温かい物が触れた。思わず口を押えて身を引くと、イクリスさんが手を軽く上げていた。


「今日は、この辺にしておくよ。セルフィさんが、ガチガチだからね」


 初めてなのに、リラックス出来る訳無いじゃないですか!

 私は顔が熱くなり紅茶をがぶ飲みしたが、紅茶は冷たくなかったので体まで熱くなっただけだった。


 気を使ったのか、ベルジュが鞄から出てこなかった事だけが幸いだった。


ところで、みなさんベルジュの色のイメージって有るんでしょうか。

どれだろう……。

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