102 ドレスと潜入開始
102を投稿する前に112投稿してしまいました。ズゥ~ン
入れ替えておきました。気を付けます(汗
この話は若干恋愛味なので、飛ばしてもOKIです。次の話へどうぞ。
ガイアスさんから住所を聞き、突然では有るがイクリスさんの家へ向かった。
チャイムを押すとイクリスさんが顔を出し、驚きはしたが、快く部屋に招いてくれた。
イクリスさんの部屋はケヤキのような明るい木材の柱と白い壁、黒檀の家具とシンプルな部屋だ。ソファに招かれて座っていると、ローテーブルに淹れてくれたくれたコーヒーを置いてくれた。
「ごめんね、コーヒーしか無くて。ミルクと砂糖は好きに入れて」
私はミルクだけ入れると、くるくると混ざるさまを見つつ、話題を切り出す。
「この間の件なんですけど、騎士団の方から依頼が入って、ギルド長に招待状を二枚渡されまして。それでガイアスさんと仮面舞踏会に潜入する事になりました」
「………………………………」
「イクリスさん?」
イクリスさんは腕を組んで片手を顎にやり、瞑想するかのように目を閉じている。
「それって、俺じゃダメなの?」
「ええと、貴族で私をフォロー出来るのがガイアスさんの方が良いと思ったんで頼んじゃったんですけど」
「うん、そうだね。束縛男みたいな事言ってゴメン」
まあ、ここで何も言われなくて軽く行ってこいと言われるのも複雑なので、これくらいなら可愛いものだ。
「ただ、ドレス姿をガイアスだけが見る事が出来ないのが悔しい。あの家に行って見せてもらうか……」
「はは……」
その日はその話をして終わりになって、家まで送って貰う事になった。イクリスさんの家から私の家までは15分。ギリ面倒くさくない距離だと言えよう。
仕事場までの20分は歩いてる途中で飽きてしまうのだが、好きな人の家までの時間は長く、帰りの時間は短く感じるものだ。そういうもんだろう。
「送って行くよ」
イクリスさんは食器をキッチンに置くと、上着を羽織りながらソファから立ち上がる。ドアを開けると、ヒュッと冷たい風が首筋を撫ぜる。私達は言葉少なにゆっくり歩く。
のんびり歩いたはずなのにすぐに家に着いてしまった。
階段を登って家の鍵を開ける直前に、イクリスさんは腕をバッと広げる。
……これはつまり、こう言う事だ。
私は突撃するように飛び込むと、ぎゅっとしてすぐに離れる。
「おやすみなさい!」
バタンッと扉を閉め、ヘロヘロとしゃがみこむ。
『お前らは、本当にどうしようもないな』
ベルジュは気を使ってくれていたらしく、部屋に入ってから鞄から顔を出した。歩みが遅い事は認めるよ……。
~舞踏会、当日~
当日は朝早くから、磨かれパックされ締められ着付けされてメイクが終わった頃には夜になっていた。これを貴族の令嬢はいつもやっているのか。こんな事を舞踏会毎にするなんて、実は貴族もすごく大変なんだな、もっと華々しいだけの場所だと思っていたんだけど。
因みにその間ベルジュは退屈すぎて、折り紙で超絶難易度と言われる、ユニコーンと、ドラゴンと、座っている犬と、やんのか猫を作っていた。これはプロ級と言われるやつ……どこまで行くのだ。
ようやく準備が終わりゲッソリしながらドアを出ると、何故かイクリスさんが居た。思わずぎょっとする。本当に見に来たんだ。
「あの?」
イクリスさんがこちらを見たまま固まっている。ようやく動いたと思うと横を向きながらブツブツと呟く。
「可愛い……」
私の顔は一気に赤くなり、この空間に居られなくて、グイグイとガイアスさんの背を押す。
「ハイ、行きましょう、行きましょう」
無理矢理に馬車まで行くと、イクリスさんに軽く手を振り、出発してもらった。
「セルフィ嬢、これを」
はす向かいに座るガイアスさんが猫の仮面を渡してくる。仮面舞踏会だもんね。暗くなった道を馬車がひた走る。
30分程走っただろうか。重厚な門をくぐる時に招待状を見せ、確認された後に通される。そこから更に馬車が10分ほど走る。貴族のお家、ひろぉい。
馬車を降りるとドアでもう一度招待状を見せ、ドアマンが扉を開いて中へ通される。
ざわざわ
中は照明が落とされ、男女が全て仮面を付けて異様な雰囲気だ。軽食が置いてあるが、手をつけている人は殆どいない。男女がさざめいているが、踊っている人が居る訳でも無い。
「何か……怖いですね」
「仮面舞踏会だから、男女の出会いが目的の場だ。その中でも館の裏に通じる通路が有る筈だが、そこを目指そう。離れると他の者に声を掛けられるかも知れない、自分から離れないでくれ」
コクコクと頷いて見せる。辺りにはアルコールの匂いが漂い、それだけで酔いそうだ。
私は扇で口元を隠しながら目であちらこちらを見る。そうすると、たまに男女が部屋から抜けて出て行く方向が有った。
「ガイアスさん、アレ」
私はガイアスさんの袖をクイクイ引く。ガイアスさんも、丁度そちらを見ていたようだ。
「行ってみよう」
ごくり。
本格的に潜入捜査の始まりだ。




