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僕の幼なじみは今夜も知らない誰かに抱かれる(R15版)  作者: 碗古田わん


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七、ストレス発散

挿絵(By みてみん)

 その日の放課後。

 加藤(かとう)小春(こはる)は、授業が終わるとすぐに事(・)務(・)所(・)へと向かった。

 塚田(つかだ)純希(じゅんき)も一緒だ。

 心配だからと、ついてきたのだ。

 事(・)務(・)所(・)に着くと、剣(つるぎ)銀治郎(ぎんじろう)が待っていた。

「なにか、わかった?」

 挨拶もそこそこに、小春は本題を切り出す。

 それに頷いた銀治郎は、説明を開始した。

「動画は恐らく、コハが媚薬を盛られたときのものだ」

「媚薬!?」

 その単語に純希は驚きの声を上げる。

「規約としては禁止なんだけど、油断してたら一服盛られちゃったみたい」

 小春はなんてことはないように言った。

「みたい、って……」

 しかし、純希は心配そうにする。

「そっか……そのとき、撮られちゃったんだ」

 小春は神妙な顔になった。

「でも、それがなんで流出したんだろう?」

「それなんだが……」

 小春の疑問に銀治郎は、珍しく躊躇した。

「誰がやったか、覚えているか?」

 その問いに小春は一瞬、考えた。

「下野様……でしょ?」

 だが、すぐに頭の中から答えを見つけ出す。

「その名字に聞き覚えは?」

「えっ?」

 再びの銀治郎の問いに、小春は意表を突かれた。

「下野(しもの)薫(かおる)……」

 代わりに純希が答える。

「あれ? それってウチのクラスの委員長じゃ……」

 そこまで言って、小春は気付いた。

「まさか、下野様の!?」

「その通りだ」

 驚く小春に、銀治郎は頷いた。

「実は下野茂の娘とコハは同級生なんだ」

 銀治郎の衝撃の発言に、純希も小春も言葉を失った。

「実害がなかったので、今までは黙っていたが……」

 銀治郎は不覚そうだった。

 よかれと思った配慮が、裏目に出たからだ。

「でも、なんで父親の撮った動画を娘が持ってるんだ?」

 小春はまだショックそうだったが、いち早く回復した純希が疑問を口にする。

「ウチのスタッフが下野茂のスマホに侵入した結果、娘のスマホに動画を転送した痕跡が見つかった」

 仕(・)事(・)を予約する専用アプリには、それとはわからないようにバックドアが仕込まれている。

 今回はそれを使って、下野(しもの)茂(しげる)のスマホを隅から隅まで調査したのだ。

「じゃあ、下野様が委員長のスマホに動画を送ったの?」

 ようやくショックから立ち直った小春は、信じられないような顔をした。

「いや……スマホには転送を誤魔化す処理もしてあったそうだから、多分、逆だろう」

 その言葉を否定しながら、銀治郎は予想を述べた。

「たまたま、下野が父親の動画を見つけて、そこにたまたま小春が映っていたから流出させた……と?」

 あまりの偶然に純希は懐疑的に聞いた。

「恐らく」

 銀治郎も意見は同じらしく、やはり懐疑的に答える。

「でも、なんのために?」

 純希は考え込んだ。

「やっぱ、あたし、イジメられてるのかな?」

 当の小春は、軽い口調でケタケタと笑った。

「それはないと思うけど……」

 純希は曖昧に否定した。

 薫とは一年生の時に一緒だったが、真面目で気が強く、曲がったことが大嫌い、堅物で冗談が通じない優等生だ。

 イジメなどする印象(イメージ)はなかった。

「原因はわからないが、こちらとしても対応しなくてはならない」

 銀治郎は小春の目を見た。

「コハには当分の間、仕事を休んでもらう」

 そして、告げる。

「えーっ!」

 小春は声を上げた。

「稼ぎが減っちゃう」

「これは決定事項だ。変更はない」

 抗議する小春を銀治郎は冷徹な口調で突っぱねた。

「当分っていつまでよ?」

 剥れた小春は聞いた。

「とりあえず、犯人の真意が知れるまでだ」

 そう言ってから、銀治郎は眉先を下げた。

「今回のことは自分のミスでもある」

 茂が媚薬を盛るところを見逃したことを、銀治郎は悔いていた。

「これはコハの身の安全を図るためだ。わかってくれ」

 頭を下げた銀治郎に小春は慌てた。

「銀兄ぃが頭を下げることないよ!」

 それから、渋々納得したような顔をする。

「わかったよ。当分、おとなしくしてる」

「そうしてくれ」

 そんな二人の会話を聞きながら、純希は考え込んだ。

(でも、いったい何のために……?)


 仕(・)事(・)がキャンセルになったので、純希と小春は一緒に地元に帰ることになった。

 電車の中での小春は珍しく不機嫌オーラ全開で、純希は話し掛けるのもはばかれた。

 なので、終始無言で二人の間に重い空気が流れていた。

 それは電車を降りてからも変わらず、結局、マンショに帰ってくるまで続いた。

「じゃあ」

 部屋の前で小春は、別れようとした。

「……お邪魔してもいいかな?」

 純希は恐る恐る聞いてみた。

 このまま、小春を一人にするのが心配だったからだ。

「いいけど」

 それに素っ気なく答えて、小春はとっとと部屋に上がる。

「お邪魔します……」

 小声で挨拶して、純希も後に続いた。

 小春はリビングには行かず、自分お部屋に入った。

 それから乱暴にリュックを部屋の隅に放り投げると、ベッドにドサッと座った。

「なんなのいったい!」

 そして、怒りだす。

(荒れてるなぁ)

 一緒に部屋に入った純希は、心の中で冷や汗笑いをした。

「あたし、委員長になにかした!?」

「したのかな……?」

 愚痴る小春に、純希は当たり障りのない言葉しか返せなかった。

(したとしても、復讐にしてはやりすぎだ)

 今回の行為は、小春を社会的に抹殺しかねない。

 純希には、薫がそこまでする理由がわからなかった。

「もう頭くる!」

 怒り心頭で小春は吠えた。

「し(・)よ(・)っ(・)!」

 そして、鋭い目つきで純希を見た。

「えっ?」

「むしゃくしゃしているときは、す(・)る(・)に限る」

 戸惑う純希に、小春は訳のわからない理屈を述べる。

「えーっ」

 純希は冷や汗笑いを浮かべるしかなかった。

「なに? し(・)た(・)く(・)な(・)い(・)の(・)?」

 その反応に小春は純希を問い詰めた。

「いえ……し(・)た(・)い(・)です」

 それがあまりの迫力で、純希はなぜか敬語になった。

「じゃあ、脱いで」

 言い放った小春は自分もさっさと脱ぎ始める。

 言われるがままに純希も服を脱ぎ始めた。


   ♢♦♢♦♢♦


 結局、休憩を挟んで五回戦して、純希と小春はベッドでぐったりとなっていた。

「あーっ、満足した」

 すっかり機嫌が直った小春は、ご満悦だった。

 だが、それを聞いた純希は迷った。

(こんなこと、聞いてもいいのかな?)

 しかし、このまま不安を抱えているのもよくない、と純希は意を決して聞くことにした。

「本当に満足した?」

「へぇ?」

 純希の問いに小春は、鳩が豆鉄砲を食ったよう顔をした。

「どうして?」

 ほぼ反射的に聞き返す。

「だって……」

 そこまで言って、純希は言葉を濁した。

 既に聞いたことを後悔していた。

「言ってみ」

 それを表情で読み取ったから、小春は言葉を即した。

「だって……あの動画だと、もっと乱れてたから……」

 渋々と口にした純希に言葉に、小春はなにを懸念しているか悟った。

「あれは、媚薬でおかしくなってたからだよ!」

 なので、小春は強く否定した。

「あたし、性欲強いから、お(・)客(・)様(・)の前でも本気で感じちゃうけど」

 そんな小春を純希は驚きの顔で見詰めた。

「一番気持ちいいのは、純希とするときだからね!」

 そして、圧をかける。

(やっぱり、好きな人とするのが一番感じるからね)

「それなら、いいけど……」

 その迫力に圧倒されながら、純希は内心、ホッとした。

「ところで今、何時?」

 小春は珍しくフローリング床に脱ぎ散らかされた制服からプリッツスカートを見つけて、ポケットからスマホを取り出すと時計を見た。

「えっ?」

 思わず小春は驚きの声を上げた。

 時間は既に夜の十一時を回っていたからだ。

「純希、家に帰らないと!」

 小春は慌てたが、純希は平然と言った。

「家には今日、小春のところに泊まるってメッセ送ったから大丈夫」

「いつのまに……」

 純希の手際の良さに小春はびっくりした。

”グ~ッ”

 そこで、小春のお腹が鳴った。

「あはは……お腹空いたね」

 小春は照れ笑いを浮かべた。

「なにか食べるものある?」

「カップ麺ぐらいかな……」

 小春は、料理はできるが、仕事を始めてから自炊することはめっきり減った。

 冷蔵庫も飲み物以外はほぼ空の状態だった。

「それでいいよ」

 その言葉に純希は笑みを零して頷いた。

「でも、その前に風呂かな?」

「そうだね……一緒に入る?」

 小春の誘いに純希は頷いた。

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