↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕の幼なじみは今夜も知らない誰かに抱かれる(R15版)  作者: 碗古田わん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

40/41

四十、好きだから

挿絵(By みてみん)

「あたしね」

 ブラを付けるために背中に手を回しながら、加藤(かとう)小春(こはる)は言った。

「お母さんの仕事、継ぐことにしたから」

「えっ?」

 それを聞いた塚田(つかだ)純希(じゅんき)は驚きの声を上げた。

 もういつのことだろう。

 つい、この前のような気もするし、ずっと遠い昔のような気もする。

「どうして……?」

 突然の宣言に、純希は驚きのあまり固まってしまった。

「借金も返さなきゃだし、お母さんの入院費も捻出しなきゃだし、生活費もあるし……」

 それに小春は真面目顔で答えた。

「でも、だからって、小春が……」

 純希は、辛うじてそれだけ絞り出した。

「心配しないで」

 純希の動揺を察した小春は、破顔した。

「純希とはこれからもするから」

「いや……そういう問題ではなくて……」

 純希は完全に混乱していた。

(小春が僕以外の男性(ひと)とする……?)

 ぐちゃぐちゃになった頭の中で純希は自問した。

「嫌だ……」

 すると、自然とそんな言葉が口を出た。

「どうして?」

 小春は真っ直ぐな目で純希を見詰めた。

「それは……」

 その視線から逃れるように顔を背けながら、純希は言葉に詰まった。

(僕が小春を独り占めしたいから、なんて言えない……)

 純希は思った。

(それは恋人同士で言う言葉だ……)

 だが、純希はまだ小春に告白していない。

「そうだね……」

 なので、純希は頷くことしかできなかった。

「僕はただの幼なじみだ……小春の家庭の事情に口を挟む権利はない……」

 それを聞いた小春は、フッとさみしそうな笑みを浮かべた。

「来週から、夜はできなくなるかもだけど、ごめんね」

 だが、それも一瞬ですぐにいつもの小春に戻る。

「うん……」

 それを聞いた純希はぎこちなく頷いた。


”ブーッ! ブーッ! ブーッ!”

 そこで純希は目を覚ました。

 枕元でスマホが振動しているせいだ。

(何時だろう?)

 眠気眼でスマホのロック画面を見ると、まだ深夜だった。

 そのとき初めて、純希は小春からメッセの通話が入っていることに気付いた。

「小春?」

 すぐに通話をオンにしてスマホの向こうに話し掛ける。

『純希……』

 すると、珍しく沈んだ声で小春は答えた。

「なにかあったの?」

 それを察した純希は聞いた。

『お母さんが目を覚ましたの……』

「えっ!?」

 小春はローテンションのままだったが、純希は驚きの声を上げた。

『今から、来られる?』

 純希には小春が泣いているように感じられた。

「うん、すぐ行く」

 なので、即答する。

『ありがとう、待ってる』

 それで通話は終わった。

 ベッドから降りた純希は、スエットのズボンにスマホと合い鍵を突っ込んで、コッソリと部屋を出た。

 そのまま玄関に行き、ドアノブに手を掛ける。

「純ちゃん」

 そのタイミングで背中から声を掛けられた。

「母さん……」

 振り返るとそこには母の塚田(つかだ)希美(のぞみ)が立っていた。

「こんな時間に、どこに行くの?」

 仁王立ちした希美は、珍しく険しい顔で聞いた。

「昌美おばさんが、目を覚ましたんだ」

 だが、今日の純希には大義名分があった。

「えっ!?」

 意外な言葉に、希美も驚いた。

「でも、小春の様子が変なんだ」

 純希は真剣な目で、希美を見詰めた。

「だから、様子を見に行ってくる」

「わかったわ」

 それを聞いた希美は真剣顔で頷いた。

「もしかしたら、泊まるかも」

「うん」

 そう付け加えた純希に、希美は再び頷いた。

「いってらっしゃい」

 希美の声に見送られて、純希は玄関を出た。

 そして、すぐに隣の加藤家の部屋の玄関前に立つ。

「純希……」

 合い鍵でドアのロックを解除して、ドアを開けると小春が出迎えた。

(ん?)

 そこで純希は心の中で首を傾げた。

 小春が制服でも部屋着でもなく、仕(・)事(・)用(・)のセーラー服を着ていたからだ。

 それでも、とりあえずサンダルを脱いで、玄関を上がる。

「純希!!」

 同時に小春が純希に抱きついた。

「どうしたの?」

 涙を浮かべた小春の頭を撫でながら、純希は優しく聞いた。

「お母さんが目を覚ましたの……」

 小春は泣きながら答えた。

「良かったじゃん」

 取り敢えずそう答えたが、心の中では、

(それだけなら、小春が泣くこともないはずだ……)

 と思っていた。

「とりあえず、ここで立ち話もなんだから、部屋に行こう」

 小春の肩を抱いた純希は提案した。

「うん……」

 小春は涙を手の甲で拭きながら、頷いた。

 部屋に入ると、純希と小春はベッドに腰掛けた。

「それで、どうして小春は泣いているの?」

 純希は優しい声で聞いた。

 母親が眠りから覚めたのなら、喜んでいいと思ったからだ。

「もしかして、なにか重い後遺症をもたらしたとか?」

 なので、とりあえず思いついた原因を口にする。

「ううん」

 しかし、小春は首を横に振った。

「長い入院生活で筋力が落ちてるから、そこはリハビリしなきゃだけど、あとは至って健康だよ」

「なら……」

 小春の答えに、純希は疑問を口にしようとした。

「お母さんに仕事は辞めなさいって言われたの」

 それよりも早く、小春は寂しそうに理由を口にした。

「バラしちゃったんだ」

 純希は心の中で冷や汗笑いした。

「だって、反対されるなんて思わなかったんだもん!」

 そこで小春は、病室でもやり取りを思い出して、急に怒りだした。

「酷いんだよ、お母さん!」

 涙を散らしながら、小春は訴えかけた。

「自分は今まで代(・)表(・)に頼らないようにしてきたのに、あたしには頼れっていうんだよ!」

 純希は、それを親身になって聞いていた。

「お母さんなら、あたしの気持ち、わかってくれると思ったのに!」

 情緒が安定しない小春は、怒りながら泣いていた。

「でも、今はまだ無理でも、いずれ昌美おばさんが復帰したら、小春はもう働かなくても良くなるはずだよね?」

 小春の感情に飲み込まれないように気をつけながら、純希は冷静に反論した。

「そうだけど!」

 小春はまだ興奮気味だったが、純希の言葉に耳を貸す余裕は出てきた。

「あたしは、一人で返すより二人で返した方が早く返せるから、一緒に働いた方がいいって思ってる」

「それはそうかもしれないけど……」

 ようやく落ち着きを取り戻した小春の言葉に、純希は困惑した。

「純希は反対?」

 そこで小春は純希の顔色をうかがった。

「…………」

 純希は迷った。

 今、ここで本当の気持ちを言わなければ、もう一生言えないと思った。

「反対、だよ……」

 なので、純希はぎこちなく頷いた。

「そう……なんだ……」

 この答えも予想していたようで、小春は肩を落とした。

「でも、純希には関係ないから」

 そして、あらかじめ用意していた台詞(ことば)を口にする。

「これは加藤家の問題だから」

 心の中でゴメンと謝りながら、小春は純希を突き放した。

「あたしたちは、ただの幼なじみだから」

 しかし、その言葉に純希はカチンときた。

「関係なくないよ……」

 純希は静かに怒った。

「純希……?」

 そんな幼なじみの豹変に小春は戸惑った。

 こんな純希は見たことはなかったからだ。

「関係なくなんてないよ!」

 純希は怒鳴った。

「僕は小春のことが好きなんだ!」

 そして、思いっきり叫ぶ。

「えっ!?」

 その言葉に小春は驚きの声を上げた。

「好きな女の子が、あんな仕(・)事(・)してるなんて、耐えられないよ!」

「純希……」

 困惑する小春を見て、純希はハッと我に返った。

「ごめん……今のは僕のエゴだ……忘れて……」

 言いながら純希は自分を恥じた。

 小春の基本姿勢(ステータス)を否定するようなことを言ってまったのだ。

 嫌われることも覚悟しなければならない。

 しかし、

「忘れられないよ……」

 小春は静かに呟いた。

「だって、あたしも純希のことが好きだから」

 うれし涙を浮かべながら、小春は告白した。

「えっ?」

 今度は純希が驚く番だった。

「あたしたち、両想いだったんだね」

 感慨深げに、小春は純希のことを見た。

「でもね」

 そして、続ける。

「あたしは、仕(・)事(・)を続けたい」

 ハッキリとした口調で小春は宣言した。

「それで、純希があたしのことを嫌いになるなら、それは仕方ないことだと思う」

 その言葉を聞いて純希は目に涙を浮かべた。

「今更、そ(・)れ(・)ぐ(・)ら(・)い(・)で嫌いになれる訳ないじゃん……」

「こんな娘(こ)で、ごめんね」

 まるで子供のように泣く純希をあやすように、小春はソッと胸に抱いた。

 そのまましばらく純希は小春の胸で泣き続けた。

 どれぐらい時間が経ったろう。

 ようやく泣き止んだ純希を見て、二人はどちらともなく離れた。

「じゃあ、話も丸く収まったところで……」

 小春は嬉しそうな顔で宣言した。

「しよう」

「この流れで?」

 それに対して純希はジト目で小春を見る。

「はれて恋人同士になった記念ってことで」

「まぁ、いいけど」

 ウキウキ顔の小春に、純希は釈然としないものを感じながらも頷いた。

「好きだよ、純希」

 言いながら、小春は唇を近づけた。

「僕も好きだよ」

 それに純希は、若干照れながら唇を合わせた。

「……くちゅくちゅくちゅ……れろれろれろれろ……じゅるじゅるじゅるじゅる……ちゅぱじゅる……」

 舌と舌を絡めて、二人は大人のキスをした。

「……じゅるれろじゅる……れろれろれろれろ……じゅるくちゅ……じゅるじゅるちゅぱ……」

 甘美な快感に、小春は顔をうっとりさせた。

「ちゅぱっ……」

 しばらくそうしていたが、純希は唇を離した。

 小春が名残惜しそうな顔をする。

 だが、次への期待とともに、小春はセーラー服を脱ごうとした。

「ちょっと待った」

 しかし、それを純希が止めた。

「なに? このまましたいの?」

 悪戯っぽく笑う小春に、純希は照れながら頷いた。

「純希のエッチ」

 そんな恋(・)人(・)を小春はからかった。

「でも、そういうところも好きだよ」

「うん」

 純希は、頬を朱色に染めながら頷いた。


 ♢♦♢♦♢♦


 行(・)為(・)が終わって、純希は小春の上からゴロンと横に寝転がった。

「はぁ……はぁ……はぁ……はぁ……はぁ……」

 純希は乱れた息を整えた。

「はぁ……はぁ……はぁ……じゅんき、だいすき……」

 同じく息を整えながら、小春は絶頂の余韻に浸っていた。

「……僕も好きだよ、小春」

「んっ」

 純希の言葉に小春は唇を求めた。

 それに応えて、純希は小春の唇に自分の唇をソッと重ねた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。