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僕の幼なじみは今夜も知らない誰かに抱かれる(R15版)  作者: 碗古田わん


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三十四、誠也の場合

挿絵(By みてみん)

 翌朝の一年C組の教室。

 授業が始まるにはまだ間があるので、生徒たちは思い思いのグループに分かれて雑談していた。

 石川(いしかわ)誠也(せいや)と清川(きよかわ)結(むすぶ)もそんなグループの一つだった。

 それはいつもの光景だったが、一つだけ違うのは、浅沼(あさぬま)幸太(こうた)の姿が見えなかったことだ。

「幸太の奴、遅いなぁ」

 スマホの時計で時間を確認した誠也が、独り言のように呟く。

「今日は休みかな?」

 それを拾った結が、そんなことを言ってみる。

 だが、結も本気で思っている訳ではなかった。

 小学校時代から、幸太は無遅刻無欠勤で通っていたからだ。

「なにかあったのかなぁ?」

 誠也が心配したとき、

”ガラッ”

 教室のドアが開いて、幸太が登校してきた。

「幸太、遅か……」

 そこまで言って、誠也は言葉を止めた。

 幸太が酷い顔をしていたからだ。

 目は腫れ、瞳は赤く充血し、顔の血色も悪い。

「どうしたんだよ!」

 驚いた誠也は、幸太に聞いた。

「……」

 しかし、幸太は答えようとしない。

「誰かに、何かされた?」

 明らかに様子がおかしい幸太に、結は優しく問いかけた。

「誰にやられたんだ!?」

 三人の中では一番武闘派の誠也がいきり立った。

「……いや……なにもされてないよ」

 それを見て、幸太はようやく重い口を開けた。

「むしろしたのは俺の方というか……」

 そして、ポツリポツリと語り始める。

 誠也と結は、真剣な面持ちで黙って聞いていた。

「……昨日、野上とし(・)た(・)んだ」

「えっ?」

「本当(マジ)?」

 幸太の衝撃の告白に、誠也と結は目を見開いた。

「やったじゃん!」

 誠也は単純に喜んだ。

「どうだった? 初体験の感想は?」

 そして、無遠慮に聞く。

「俺は気持ち良かったけど……」

 そこまで言って、幸太は言葉を濁した。

「けど?」

 誠也よりも冷静な結が、続きを促した。

「……野上は気持ち良くなかったって」

 そのときのことを思い出して、幸太は目に涙を浮かべた。

 悔しかったのだ。

 おかげで昨晩は全然、寝られなかった。

 その姿に誠也と結は、言葉に詰まった。

 三人の間に微妙な空気が流れる。

「でも、互いに初めてなら、そんなもんじゃない?」

 その沈黙に耐えられなくて、結が気休めを言った。

「野上は初めてじゃなかったみたい……」

 幸太のまたもや衝撃の発言に、誠也と結は今度も目を見開いた。

「あと……俺のは小さくから、気持ち良くないんだと……」

 幸太は悔しさに顔を歪ませた。

 それを聞いた誠也と結は、あちゃーとなった。

「野上って、そんな経験豊富なのかよ……」

 すぐに言葉が出なかった誠也だったが、やっとのことでそれだけ絞り出した。

「人は見かけに……」

 それを受けて結も言いかける。

「いや……見た目通りか……」

 だが、教室の隅で今日も発情している野上(のがみ)沙弓(さゆみ)を見て、結は発言を修正した。

「よし!」

 落ち込む幸太の背中を、誠也はバン! と叩いた。

「俺が今日、復讐(リベンジ)してやるから!」

「……それって、誠也がや(・)り(・)た(・)い(・)だけじゃないの?」

 威勢良く言った誠也を、幸太はジト目で見た。

「まぁ、うまくいけばまた野上とで(・)き(・)る(・)ようにしてやるから楽しみにしてな」

 それに誠也は自信を持って応える。

「逆襲されないように、ね」

 そんな誠也に、結は水を差した。

「任せておけって」

 しかし、そんな茶々も気にしない様子で、誠也は胸を張った。


 授業と授業の間の短い休み時間。

 誠也は、沙弓の席に行った。

「野上」

 誠也が声を掛けると、沙弓はビクッと肩をふるわせた。

 それから警戒心マックスで、誠也を見る。

「今日の放課後、話があるから教室に残ってくれない?」

 あいかわらず色香をダダ漏れさせている沙弓に、頭をクラクラさせながらも誠也は用件を伝えた。

 それを聞いた沙弓は躊躇した。

 今まで話したことのなかった男子から、急に話し掛けられたのだ。

 警戒もする。

 人見知りな沙弓なら、なおのことだ。

 それを見た誠也はとっておきの殺し文句を口にする。

「昨日の幸太……浅沼と同じ用だ」

「……!?」

 誠也の言葉に沙弓は目を見開いた。

 それから、コクッと頷いた。

 それだけで誠也は、発する色香に股間を熱くした。

「じゃあ、頼んだよ」

 周りの女子が訝しげにこちらを見ているのに気付いた誠也は、念を押すと急いでその場を立ち去った。

「……♡」

 そんな誠也に、沙弓は期待してしまった。


 そして、放課後になった。

 誠也に言われたとおり、沙弓は教室に残った。

 もちろん、誠也も一緒だ。

「野上……」

 誠也は、沙弓の席に近づいた。

「ん……?」

 顔を上げた沙弓は、視点の定まらない目で誠也を見上げた。

 その仕草が色っぽくて、誠也ははたくも股間を熱くした。

「昨日、幸太としたんだって?」

 誠也の問いに、沙弓は頬を朱色に染めた。

 それから、コクッと頷く。

「なら、今日は俺としようぜ」

 はやる気を押さえながら、誠也は提案した。

「俺は幸太と違って、大きいから」

 そして、自信ありげに言う。

 これは決して誠也の思い込みではない。

 小学校の頃、所属していたサッカーチームの合宿で、風呂のとき、比べあったのだ。

「そうなん……だ」

 その言葉に、沙弓は期待の目で誠也の股間を見た。

「いいだろう?」

 誠也の問いに、沙弓はコクッと頷いた。


 ♢♦♢♦♢♦


「ごめん、野上!」

 沙弓の前で誠也は手を合わせた。

 結局、行為は一擦り半で終わってしまい、誠也は平謝りした。

「いい……よ」

 それが可哀想で、沙弓は気を遣った。

「もう一回、チャンスをくれ!」

「もう、ゴム、な……い」

 拝む誠也に、沙弓は困ったような顔をした。

「そっか……」

 それを聞いた誠也は露骨に落ち込んだ。


 翌朝の一年C組の教室で、幸太は相変わらず落ち込んでいた。

 しかも、今日はそれに誠也も加わっていた。

 二人の周りの空気だけが、ドヨーンと重かった。

「結局、誠也も撃沈か」

 それを見て、結は冷や汗笑いをした。

「仕方ないなぁ」

 そして、幸太と誠也に言った。

「ここは僕の出番かな」

「自信あるのかよ?」

 ドヤ顔の結に、ふてくされたように幸太が聞いた。

「二人とも焦りすぎなんだよ」

 その問いに結は立てた人差し指を振った。

「入れる前に、ちゃんと前戯しなきゃ」

 それから、もっともな意見を述べる。

「でもよ……」

 それに対して誠也は反論した。

「実際、野上の前だと我慢できなくなるぞ」

 誠也の言葉に幸太もコクコクと頷いた。

「僕は、そこまでがっついてないからね」

 結は自信ありげに言った。

「まぁ、見てなよ」

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