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17.おチビちゃんの挑戦その4-3

 ゲームは、ホームチームの圧勝で終わった。

 おおはしゃぎでゲームを楽しんでいたおチビちゃんだったが、終わったとたんに『ちょっと……』と言い残し、席を立ってどこかへ行ってしまった。

 おそらく、生理現象だ。

 そう思って、俺は気長に待つことにした。

 女子トイレは、男からすれば信じられないほど混むものだ。しばらく、おチビちゃんは戻ってこられないだろう。

 まぁ、今帰ったところで、今度は駅やら電車やらが激混みだろうし。

 ここでしばらくのんびりしてから帰るのも、悪くはない。

 それにしても。


「あ~……楽しかった」


 思いの外、純粋にゲームを楽しめたことに、俺は驚いていた。

 少しは胸にモヤモヤした感情が戻ってしまうのでは、と思っていたのだが、一切無い。

 全く、ない。

 1ミリも、だ。

 今の俺ならきっと、寂しそうになど見えないはずだ。

 あのチビすけだって、きっとそう言うに違いない。

 って。

 なぜ今ここで、おチビちゃんが出てくるんだ?

 そう思った時。

 俺の両頬に、冷たいものが押し当てられた。


「わっ!」

「なにをボケっとしてるのよ、高宮 漣」


 いつの間にか、おチビちゃんが戻って来ていた。

 前に投げ出した俺の脚の間に、片手にコーラ、もう片方の手にサイダーのペットボトルを持って立っている。


「飲み物買ってきたんだけど……どっちがいい?」


 ゲームの余韻が冷めやらないせいなのか、それともここまで急いで戻ってきたからなのか、おチビちゃんの頬はうっすらとピンク色に染まっていて。


 ……あれ?こいつこんなに可愛かったっけ?


 思わず、まじまじと顔を見てしまう。


「どうしたの?具合でも、悪い?」


 そう言って、心配そうに顔を覗き込んでくるおチビちゃんに、俺は思わず片腕を掴み、もう片方の手で後頭部を引き寄せていた。


「ぎゃっ!」


 なんとも雰囲気ぶち壊しの声を発して、俺の顔のすぐ前で、おチビちゃんは目を真ん丸く見開いている。


「目ぐらい閉じろよ、大野 沙希」


 言われるままに、素直に目を閉じるおチビちゃん。

 この調子だと、頭の中は真っ白状態だろう。

 俺は、ゆっくりとおチビちゃんに顔を近づけ……


 小さな鼻の頭に、軽くキスをした。

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