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18.おチビちゃんの挑戦その4-4

「俺、コーラ」


 ホケッとしたままのおチビちゃんの手からコーラを受け取り、乾いた喉に流し込む。


「あ゛ぁぁぁ、うまいっ!」


 おチビちゃんは、といえば。

 呆けた顔をして、突っ立ったままだ。


「おい、チビすけ」


 呼びかけても反応は無い。

 こいつ確か最初、『キスくらい、すぐにしてやるから』とかなんとか、言ってなかったか?

 よくあんなこと、言えたもんだな。

 半分呆れ、半分笑いながら、俺はまだ冷たいコーラのボトルを、おチビちゃんの顔に押し当てた。


「ひゃっ!」

「いつまでボケッとつっ立ってんだ?」


 ようやく我に返ったのか、徐々におチビちゃんの顔に表情が戻ってきた。

 同時に、ピンクを通り越して、どんどん顔が赤くなり始める。


「なぁ、おチビちゃん」

「なっ、なによっ」

「お前、いつまで待たせるつもりだよ」


 ん?

 自分の発した言葉に、非常に違和感を覚えた。

 ……気のせいか?

 いやまて。

 今、俺、何て言った?

 何を言ってるんだ、俺っ!

 愕然とする俺の前で、おチビちゃんは。


「だっ、だって……」

 怒ったような、困ったような、泣き出しそうな顔で。


「好きすぎて、できないのよっ!」


 ギューッと。

 抱き締めてしまいたい衝動を抑え込む俺の苦労を考えろっ、チビすけっ!

 なに、こいつ。

 馬鹿みたいに可愛くねぇか?!

 やばい、すげー可愛い!

 それはもはや反則だぞっ、大野 沙希!


「ま、頑張れ」


 立ち上がっておチビちゃんの頭を軽くポンポンし、とりあえず励ましてみる。

 応援してどうする。

 とは思ったが。

 いやいや。

 応援せざるを得ないだろ、これは。


「ほら、帰るぞ、大野 沙希」


 おチビちゃんが小走りで追いかけ、俺の隣を歩く。


「女性に対していきなりフルネーム呼び捨てはどうかと思うわよ、高宮 漣」

「お前……どの口が言ってんだよ、どの口がっ!」


 既に人がまばらになった駅までの道を、俺はおチビちゃんと連れ立って歩いた。


「今日はありがとな。楽しかった」

「お礼にキスさせてくれてもいいのよ」

「大チャンスを逃しておいて、よく言えたもんだな」

「……ふんっ!」


 ……この調子じゃ、まだまだかかりそうだ。

 楽しみなのか。残念なのか。

 もはや俺自身にも分からなくなっていた。

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