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氷結のシャアリィ  作者: 黒猫テラス運営部
記憶を探す旅編
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希望の魔法

肉汁たっぷりのハンバーグ。

切り分けたナッチェが美味しそうに口を動かす。


「エドワードさんも持ってかれたし、先に主役になっちゃうし、お姉ちゃんはずるいのです」


そう言いながら不貞腐れるわけでもなく、


「しょうがいないよ、お姉ちゃんだからね」


と、シャアリィが言えば、


「勿論、自慢のお姉ちゃんなのです!」


と、まだまだあどけなさの抜けきらない声と口調で、笑う。

エドワードがきまずそうに、


「治癒師が好きなら、俺んとこの若い奴紹介するぞ?」


と、相変わらずの鈍さでアイシャに怒られる。


「エドワード、きみは何もわかってないな?」


それが意味することをエドワードに理解しろというのは無理な話だ。


・・・


いよいよデザートの時間となり、皆が一口目を口に入れれば雰囲気が変わる。


「おおおおお?これ、『黒猫のテラス』のやつより美味くねえか?」


料理人のアレックスの絶賛は本物だが、マリウスは平然と、


「いつも通りに美味しいですね」


標準が高いが故の罪なのか、淡々としている。

他の皆は、アレックスと同じように目を丸くする。

オルチェの手の速度が、オルチェらしくないほどに遅い。


「食べたらなくなると思うと、味わって食べたくなるね」


美食慣れしているシャアリィでさえ、その滑らかな口解けに唸る。


「アレックス、新しい従業員を雇って!」

「オリビアさんはデザートを作るべきよ!」


と、無茶なことを言い始め、止めるべきアイシャも首を縦に振る。


「これは・・・なんというか、店を出さなきゃ世界の損失だろうね」

「出店計画を見当するべきだと思う」


ナッチェの目が輝く。


「じゃあ、わたしはぱてぃしえーるになる修行の旅に出るのです」

「で、オリビアさんと一緒にお店をするのです」


それを横目にマリウスが宣言。


「ナッチェ姉さんに負けるわけにはいかないね!」

「俺も働いて金を貯めて、いつか絶対に自分の店を持つんだ!」


エレナの料理が祝福の魔法なら、オリビアのデザートは希望の魔法。

皆を笑顔にし、夢を語らせる程の威力がある。


でも、きっと、これは特別な魔法ではない。


誰でも出来る魔法でありながら、普段の忙しさの中で見失ってしまう希少術式。

その術式の習得に必要なのは献身。

誰かに優しく出来る人間ならば、誰もが持っている素養。


愛情は尊い大魔法なのだ。


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