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氷結のシャアリィ  作者: 黒猫テラス運営部
諦めの迷宮踏破編
520/572

クリスタル・ゴーレム

『クリスタル・ゴーレム』


その情報の開示は、アルゴ・パーティにとって最悪の報せ。

斬撃減衰率九割以上、上級術式を持ち、大質量から繰り出される物理攻撃は即死級。

主力が短剣職(リッパー)である以上、必要な攻撃の手数は二千回に達することが予想される。

敵の攻撃を全て避け続けながら、それだけの攻撃を至近距離で当てる等、不可能だ。


鈍器で戦う重装僧侶のオーベルクが前線に出て被弾すれば回復役を失う。

ゴーレムと戦うには、どうしても高火力術式使いが必要。

エンダーベルトでは数人から多い時で二十人もの術式使いで狩りをする。

ひとりや二人の火力では、太刀打ち出来ない。

しかも、クリスタルタイプのゴーレムは魔法耐性も備える。


「ははっ・・・俺達は暫く休憩だな」


口先では笑ったものの、アルゴの眉間には皺が寄る。

アイシャ・パーティがゴーレムを撃破しなければ、下層に進めない以上、七階層までの確認が終わればやることがなくなる。


パーシモン・パーティは、数こそ三つのパーティで最大だが、現状は厳しい。

リーダーのパーシモンやサブ・リーダーのミアボルトでさえ、到達深度は五階層。

構成するメンバーは剣が主体。

通常の戦闘でさえ、傷を負っている体たらく。

まずは迷宮に慣れるという段階なのだから。


・・・


アイシャ・パーティでは、ゴーレム戦対策。


「エンダーベルトのゴーレム狩りは、まず、敵の機動力を奪うことから始まる」

「脚と胴の繋ぎ目を徹底的に攻撃し、直立出来なくするんだ」

「そうすれば、あとはどうとでもなる」


どうとでも・・・の、中にはシャアリィの秘技が含まれる。

アイシャは目配せで開示するよ、と、シャアリィに了承を取る。


「皆に伏せてあるシャアリィの術式・・・」

「その一つにコラプションというものがあってね・・・」


致命の腐敗、それを知らされたメンバーの顔面は蒼白となる。


「さらに言うと、サンド・プリズンという魔力回復スキルや、敵の術式を封殺するジャミングという術式もあるんだ」


イザベラ、ロザリー、アンソニーは、氷結術師としてのシャアリィしか知らない。

だが、別の貌、土石術師、根源転換術師としてのシャアリィは近接戦闘のエキスパートだ。

イザベラでさえ倒せる程の反則級の術式持ち。


「そりゃ・・・ドラゴン・スレイヤー・・・だからな」


皆が疑いの目で、アイシャを見る。

シャアリィが笑いながら、


「アイシャも、あれよ・・・実は風雷や治癒の中級術式とか、ぶっ壊れ剣技とかあるよ」


ロザリーの口からは呻き声しか出ず、イザベラは両手を挙げて降参の姿勢。

アンソニーは理解さえ追い付いていない。

そこでシャアリィが総括。


「まぁ、魔力ロックが解除されるか、私がぶっ壊すか、どっちが早いかなって」

「多分、上等な魔石が手に入るだろうから、逃げ回るだけなんて、勿体ないでしょう?」


イザベラが忠告する。


「外では言うなよ?絶対に・・・」


封印指定さえ危惧されるシャアリィだったが、一つだけ反論。


「リーシャには、これでも完全敗北してるんだよね・・・むっきぃ」


受難の聖女恐るべし。


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