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氷結のシャアリィ  作者: 黒猫テラス運営部
諦めの迷宮踏破編
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昏い眼差し

翌日、冒険者ギルド。

アイシャ・パーティを待っていたのは、片腕の槍使い。


「俺を雇ってもらいたい」


僅かに残る面影。

アイシャは、その男がパーシモン・ルイスだと気付いた。


「冒険者・・・続けていたのか」


その問いに、パーシモンは答えない。

代わりに答えたのはパーシモンより少しばかり年上の男・・・ミアボルトという名らしい。


「一度は辞めて畑を耕していたんだぜ」

「でも、この街じゃタンク出来る奴が他にいなくてね・・・」

「結局、周囲の奴らに担ぎ出されちまって、この有様さ」


その視線の先は、失った左腕。


「盾が持てなきゃ、タンクは廃業・・・で、又、槍使いか」

「『三日月』は、もういない」

「彼が冒険者を続ける意味はあるのか?」


ミアボルトは眉根を寄せて、


「酷いことを言う」

「こいつを連れていかなかったのに、こいつよりも弱い弓使いなんかに目を掛けて」

「続ける意味?そいつを決めるのは、あんたじゃないぜ?」


見兼ねたロザリーが、口を挟む。


「ギャレットが救った命を私達は無駄にしたくなかった」

「危険と困難をごっちゃにしてる奴は連れていけないね」

「だから、何度頼まれようと、彼のパーティ参加はお断りだよ」


その言葉を吐き出した口元を昏い視線が睨む。


「そうかい・・・まぁ、こんな腕になっちまったんだから仕方ない」

「雇わないなら、自分でパーティを編成して挑むさ」

「せいぜいお高く留まって見下せばいい」


殺気、迫力だけじゃない。

あの線の細かった青年とはまるで違う身体つき。

腰にぶら下げた鈍器と鉈。


シャアリィが嗤う。


「いい顔じゃん」

「ぞくぞくするね」

「その気になったら何時でも掛かって来るがいいよ?」


パーシモンは、シャアリィの殺意さえもさらりと流す。

そして、受付で伝票を受け取るとパーティ・メンバー募集の告知を書き上げた。


『迷宮踏破挑戦につき、パーティ・メンバー募集』

『クラス不問、経験不問、一日毎の均等割り精算』

『但し、最低限、自衛が出来る者』

『死亡、受傷の際の補償なし』

『役割分担とスケジュール調整は、パーティ・リーダーが決定』

『最高の栄誉を手にしたい者は集まれ』

『パーシモン・ルイス』


こんな告知でどれだけの者が集まるというのか。

寂れたギルドに残った冒険者の数は少ないというのに。


無謀。

アイシャ・パーティから見れば、悲しくなるほどに捨て身。

まるで死に場所を探すようにパーシモンは周囲を見渡す。


受付嬢の表情さえもが曇る。

死神の吹く笛に連れられる魂がなければよいのに。

しかし、無謀だからこそ、冒険者という奴は吸い寄せられてしまうものだ。


皆、求めている。

心が満たされる瞬間を。


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