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氷結のシャアリィ  作者: 黒猫テラス運営部
大商人街道編
474/605

販売開始

シャアリィとアイシャは、採集してきた魔石を持って職人ギルドを訪れた。

手持ち式温風器と、空調機。

それぞれ五台づつが、魔石の到着を待っていた。


「あとは、魔石を固定して・・・スライダーでインジェクターの移動量を調節すれば・・・」

「ほいよっと」


放出ノズルから、暖かな風が出てきた。

生産一号機の完成だ。

鮮やかな赤色に塗装された手持ち式温風器の両サイドには、


『エンダーベルト・レリットランス製』

『輸入製造者 マーメイド商会』


という、烙印が押されている。


「こっちは、少しばかり複雑だ」

「まず、強弱のスライダーで風量調整」

「過熱や氷結防止のために、風を出さないままでの使用は出来ない仕組みだ」

「風が出始めたら、冷房か、暖房を選択」

「より性能を発揮したい場合には、壁面や窓に設置するように仕様書は書かれているから、それは注文するひととの相談だね」

「排熱機能を使わなくても、十分に使えるはずだ」

「その場合には、台車に乗せて移動式にも出来る」


こうして、それぞれが五台づつ組み上がった。


「一日、二台づつ程度の生産と見ていいのかな?」


と、シャアリィが問えば、


「いや、慣れてくれば、その倍くらいまでは作れそうだよ」

「入れ物を作れる職人は、結構な数がいるからね」


と、頼もしい言葉が返ってきた。


そして、次に向かう先は、販売店となるシャアリィとアイシャの自宅。

改装に合わせて、店舗とは別の入り口を増設したようだ。

新しい鍵をアイシャが受け取る。


「やぁ、こっちは順調だよ」

「商業ギルドと領主府が協力してくれてね」

「二人がいない間も店を任せられる人材も用意してもらえた」


シャアリィとアイシャが店舗を覗けば、そこには既に展示用の生活魔具が綺麗に配置されていた。


「きゃあ、めっちゃおしゃれ!」

「フランコ、センスいいねぇ」


と、シャアリィが言えば、


「いや、これは今回、店長をやってもらう女性が考えたんだよ」

「こちらが、その女性」


テレサ・キンバリーと名乗る女性は、少し大人しい印象の黒髪。

背はアイシャと同じくらい、清楚な白のブラウスがとてもよく似合う。


「こんなすごいお店を任せて頂けるなんて、光栄です」

「元々は高級服を富裕層の方に売る仕事をしていましたので、ご安心下さい」

「お店のお休みですが、安息日にお買い物に来る方も多いと思いますので、当面、月曜日、火曜日休みとさせて頂きたいと思います」


フランコがさらに補足説明。


「商品の補充や保管に関しては、領主府が力を貸してくれることになった」

「大した手間でも、費用でもないけれど、協力はありがたいね」

「販売拠点に関しては、これでほぼ問題はなくなったよ」

「まぁ、いろいろな問題が出れば、商業ギルド経由で情報交換するようになっている」


アイシャが、


「じゃあ、早速、富裕層に向けて宣伝開始だね」

「売り出し価格は、手持ち式温風器が金貨五枚、空調機が金貨二十五枚だ」

「さすがに一般向けの価格ではないね」

「勿論、普及に従って価格は下げるけれど、簡単に下げたら高値で買ったひとに叱られてしまうので、それは頃合いを見計らってだ」


シャアリィが言う。


「この店に足を運んだら、多分、虜になるよ」

「まずはこの店で空調機を使っておけばいいし」

「それとファイヤー亭にも持ち込もう」

「体験すれば、皆、欲しがると思うからね」


こうして、商品の販売が始まった。


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