内通者
フランコは快適な陸の旅を続けていた。
目立つ新型車両は、野盗共を惹きつけたがキャラバンの前を遮れば、機械式装填の弩弓がそれを蹴散らした。
開けた場所で待ち構えて殲滅するならば護衛達は存分に力を発揮出来る。
中継点では必要物資だけを買い込み、すぐに出発。
遅れた日程を取り返すわけでなく、停車中こそがこのキャラバンの弱点だからだ。
四頭立ての馬は、一頭も失うわけにはいかない。
いくら車両が頑丈でも、動力が生き物である以上、無理使いも出来ない。
本来であれば速度はもっと出せるが、それは非常時のみにし、ゆったりと進むことにした。
そして海路便の到着に四日遅れて、グリーンノウズの港に新型車両が到着した。
シャアリィとアイシャは、その四日間の出来事を語る。
「出港後、すぐにセブールの襲撃を受けたんだ」
「あまりにもタイミングがいいから、マーメイド商会の中に内通者がいることは確実だと睨んでいたんだけれど、まさかね・・・」
シャアリィが苦笑いし、アイシャが続きを、
「そりゃあ知ってるだろうさ」
「この商会のことなら、何でも」
到着したフランコと共に、倉庫の一角に幽閉している『内通者』の元に向かう。
そこにいたのは、元商会長のグレッグだった。
「何故、私がこんな目に・・・」
「商会も譲ったし、その後の世話もした」
「『内通』なんてしていない、何度も言っているだろう?」
「大体、証拠もなしにこんな酷いことをして・・・」
「許されないぞ!」
アイシャが笑う。
「私達は魔女狩りはしないよ」
「証拠がなければ、当然、こんなことはしない」
「商業ギルドで調べたんだよ」
「あなたの口座の動きをね」
「私達がどうして、そんなことが出来るかって?」
「知らなかったのか?私達は治安対策委員会にも籍があるんだ」
「さて、あなたの聖金貨十枚の小切手、その引き落としをした人物・・・」
「ウォルター・セブール」
「多額の借金をしていたのか、それとも、私達を消すためにセブールを焚きつけたのか」
「まぁ、どちらでもいいさ」
グレッグは黙る。
「そりゃあ悪人だな」
「船員二十名以上が乗っていると承知している船舶への襲撃」
「多分、保険金もせしめるつもりだったんだろう?」
「船の名義書き換えまで、まだ、数日ある」
「ということで、保険金詐欺未遂も追加だ」
「せっかく手にいれた大金も、今持っている豪邸も何もかも失うね」
フランコはにやにやしながら、罪状を突き付けた。
「さて、ここからは提案だがね?」
「正直に洗いざらいぶち撒ければ、隠居資金くらいは残してやろう」
「別荘の一つくらい残してやってもいいさ」
「身柄拘束も解いてやろう」
「車椅子、そして高齢、そんな身体で全て失って奴隷落ちしたいなら、黙っていてもいい」
「あんたが黙っているなら、大変なことになるぞ」
「セブールは外国籍の商会、そして今回の襲撃は国際問題だからな」
「下手をすれば、教皇、王族も動く」
「あんたの一族は外患誘致で三親等全て有罪」
グレッグは両手を挙げて、
「私がやった」
「半分は自分から、半分は脅されて」
「もう一度、セブールがグリーンノウズに入り込めるように動け、と」
「小切手は私の過去の犯罪についての口止め料だ」
「セブールと一緒になって外国で暴れていたからな」
シャアリィとアイシャは蔑みの目を向ける。
この男は殺す価値もない、と。




