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氷結のシャアリィ  作者: 黒猫テラス運営部
大商人街道編
463/607

子供

フランコはさらなる襲撃を警戒し、騎手に注意を促す。


「済まないね・・・私は少しばかり敵が多い」

「カレンザは素通りしたい所だが、飲食物の補給だけは必要だね」


護衛達もフランコの言葉に頷く。

木を隠すには森の中、ヒトを隠すには・・・そう思えば中継点の街は危うい。

そして、それは的中する。


カレンザに着く間際、旅客専用車両の天井に何かが当たった。

それが『がしゃん』と音を立てて壊れると、天井が燃え始めた。

どうやら着火用の燃料油を入れた瓶だったらしい。


それを皮切りに同様のものが、次々と旅客車両に投げられる。

硝子窓の向こう、それを投げているのが成人前の子供たちだという衝撃。

火の手は早く、このままでは火傷を負うのは確実。


「御者台を切り離せ」

「私達は飛び降りる!」


フランコの指示で、騎手は客車と御者台を繋ぐ連結器の留め木を引き抜いた。

護衛が車両の扉を開け放ち、三人は転がるようにまだ動いてる車両から飛び降りる。

蜂の子を散らすように子供たちは中継点の街に逃げた。

燃え盛る旅客車両・・・辺りは黒い煙と塗料が焼ける匂いに包まれる。


フランコ達は砂塗れとなり、護衛の一人は足を折った。

呻く護衛をすぐさま中級ヒールで治療し、フランコ達は旅客車両の後を追う。


「子供を雇うとは悪辣な!」


火炎術師の護衛が吐き捨てれば、水術式の護衛は車両の火を消すためにウォーター・ウォールを展開する。

既に手遅れ・・・屋根や扉だけでなく車輪の一部までもが燃え、旅客車両は無残な有様。


「やれやれ・・・どうしたものかね」


と、呟くフランコの元に、車両の騎手が身軽になった御者台で戻って来た。


「皆さま、ご無事ですか?」


と、三人を気遣う。

移動の足がなければ、どうすることも出来ない。

騎手が一つの提案をする。


「操縦できるならば、御者台と馬をお貸ししましょう」


その提案は急ぐならば受け入れるべきだが、それでは騎手も護衛もカレンザの街に置き去りにすることになる。

それは危うい。

逃走した子供たちだけでなく、それを操っている奴が潜伏している可能性は高い。


「まずは街まで行こう」

「きみ達は衛兵所で待機、私が始末を着ける」


フランコは馬の頬を撫でながら、騎手と護衛に告げた。

その言葉は穏やかだが、眼には憤怒の炎が燃える。


・・・


衛兵所に着くとフランコは、


「私の乗っていた馬車が襲撃されて、あの様だ」


と、燃え残った旅客車両を指差す。


「ふ、フランシスコ枢機卿!」

「お体の方は大丈夫ですか?」


衛兵は砂まみれのフランコを心配するが、フランコが欲する言葉はそうではない。


「衛兵諸君、今から私と共に首謀者及び実行犯の捜索を開始してもらいたい」

「職務怠慢に問われたくなければ、賊を一人残らず私の前に晒せ!」

「子供であろうと年寄であろうと女であろうと容赦はするな」

「そして、次のキャラバンが被害に遭わぬように、街道を警備!」


その剣幕に圧され、衛兵たちが即答する。


「承りましたっ!」


フランコは声色を戻し、


「私の護衛と、騎手の保護も頼むよ」

「くれぐれも丁重に」


衛兵所を出るとフランコは聖衣の砂を払い、自らも捜索に加わる。

目には目を、歯には歯を。

だが、出来れば子供を手に掛けたくはない。


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