海運事業と資金調達
このままセブール商会をグリーンノウズから叩き出したい所だが、と、
フランコが新年早々に仕事の話を始めた。
「穀物の流通に関してはウィトプラナに大増産を依頼した」
「向こうにも儲けが出て、セブールを弱体化させることも叶う」
「だが、セブールが扱っている商品は、穀物だけじゃない」
「代わりを担う海運商会が必要になる」
それで?と、アイシャが相槌を打ちながら、更なるフランコの意見を聞く。
「船ってのは結構高いんだよ」
「さすがにきみ達の財産ならば、一隻くらいはなんとかなるだろうが、それでは身動きが取れなくなってしまうだろう?」
「領主府も、教会も、資金と時間、やりたいことをやろうとすれば、全然、追い付かない」
「そこで私からの提案なんだが・・・」
つまりは資金調達の話。
「エルドリッチ・レオパルドに頼もうと思うんだ」
レオパルド・・・それはグリーンノウズのカジノ、レオパルド・パレスのオーナー。
人生を二十万回やり直し出来る程の彼の資産ならば、船の一つ、二つ、造作もない。
「それ、大丈夫なの?」
シャアリィが心配そうな顔をする。
「ああ、問題ない・・・というか、利害は一致するんだ」
「彼は海運事業という新しいビジネスを手にする」
「我々は海路を手に入れ、セブールを叩き出せる」
アイシャは察する。
「フランコがカジノ・オーナーと直接会談するわけにはいかないから、私達にやれ、と?」
「私達みたいな小娘で大丈夫かな?」
フランコがにやりと笑う。
「彼は、ずっと昔、冒険者になりたかったらしい」
「そして、今は、きみ達のファン」
「きみ達が会談を希望すれば、嫌とは言わないさ」
「初期投資こそ金が掛かるが、永続的なビジネスの話だ」
「一流の経営者のレオパルドならば、それくらい、すぐに理解する」
・・・
煌びやかなロビー。
美しい女性給仕、鮮やかなカード捌きのディーラー。
始めて足を踏み入れるカジノという場所は、一見すると華やかな社交場。
だが、ギャンブルに嵌れば、末路は破滅。
ほんの数パーセントの利益で成り立つ不夜城。
「オーナー様とお会いしたく、参りました」
「アイシャ・セロニアスとシャアリィ・スノウと申します」
「突然の訪問ですので、お時間が合わなければ出直しますが、お取次ぎ願えますか?」
支配人と思われる黒い礼服の男に声を掛けた。
ドレスを身に纏い、十全に化粧を施した二人はこの場に相応しいレディ。
「確認して参りますので、少々、お時間を」
一見すると壁にしか見えない場所にある、隠し扉。
まるで手品のように姿を消す、支配人。
十分程、動かずに待機していると、二人の元に支配人が戻って来た。
「お待たせしました」
「午後七時、夕食の席でよろしければ、喜んで」
「楽しみにしています」
「と、主からの言伝です」
シャアリィは上品に、スカートを少し持ち上げ、
「有難うございます」
「では、出直して参ります」
「ご丁寧な対応、感謝致します」
魅惑的な笑顔で、そう答えた。




