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氷結のシャアリィ  作者: 黒猫テラス運営部
大商人街道編
440/508

海運事業と資金調達

このままセブール商会をグリーンノウズから叩き出したい所だが、と、

フランコが新年早々に仕事の話を始めた。


「穀物の流通に関してはウィトプラナに大増産を依頼した」

「向こうにも儲けが出て、セブールを弱体化させることも叶う」

「だが、セブールが扱っている商品は、穀物だけじゃない」

「代わりを担う海運商会が必要になる」


それで?と、アイシャが相槌を打ちながら、更なるフランコの意見を聞く。


「船ってのは結構高いんだよ」

「さすがにきみ達の財産ならば、一隻くらいはなんとかなるだろうが、それでは身動きが取れなくなってしまうだろう?」

「領主府も、教会も、資金と時間、やりたいことをやろうとすれば、全然、追い付かない」

「そこで私からの提案なんだが・・・」


つまりは資金調達の話。


「エルドリッチ・レオパルドに頼もうと思うんだ」


レオパルド・・・それはグリーンノウズのカジノ、レオパルド・パレスのオーナー。

人生を二十万回やり直し出来る程の彼の資産ならば、船の一つ、二つ、造作もない。


「それ、大丈夫なの?」


シャアリィが心配そうな顔をする。


「ああ、問題ない・・・というか、利害は一致するんだ」

「彼は海運事業という新しいビジネスを手にする」

「我々は海路を手に入れ、セブールを叩き出せる」


アイシャは察する。


「フランコがカジノ・オーナーと直接会談するわけにはいかないから、私達にやれ、と?」

「私達みたいな小娘で大丈夫かな?」


フランコがにやりと笑う。


「彼は、ずっと昔、冒険者になりたかったらしい」

「そして、今は、きみ達のファン」

「きみ達が会談を希望すれば、嫌とは言わないさ」

「初期投資こそ金が掛かるが、永続的なビジネスの話だ」

「一流の経営者のレオパルドならば、それくらい、すぐに理解する」


・・・


煌びやかなロビー。

美しい女性給仕、鮮やかなカード捌きのディーラー。

始めて足を踏み入れるカジノという場所は、一見すると華やかな社交場。

だが、ギャンブルに嵌れば、末路は破滅。

ほんの数パーセントの利益で成り立つ不夜城。


「オーナー様とお会いしたく、参りました」

「アイシャ・セロニアスとシャアリィ・スノウと申します」

「突然の訪問ですので、お時間が合わなければ出直しますが、お取次ぎ願えますか?」


支配人と思われる黒い礼服の男に声を掛けた。

ドレスを身に纏い、十全に化粧を施した二人はこの場に相応しいレディ。


「確認して参りますので、少々、お時間を」


一見すると壁にしか見えない場所にある、隠し扉。

まるで手品のように姿を消す、支配人。

十分程、動かずに待機していると、二人の元に支配人が戻って来た。


「お待たせしました」

「午後七時、夕食の席でよろしければ、喜んで」

「楽しみにしています」

「と、主からの言伝(ことづて)です」


シャアリィは上品に、スカートを少し持ち上げ、


「有難うございます」

「では、出直して参ります」

「ご丁寧な対応、感謝致します」


魅惑的な笑顔で、そう答えた。


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