ヒール一回金貨五枚
少し開けた空き地のようなレリットランス正門前。
ラモンとシャアリィは向かい合う。
その距離は約十メートル。
「じゃあ、アイシャ合図して、五カウントでいいでしょ?」
ラモンとアイシャが頷き、アイシャがカウントを始める。
「五・・・四・・・三・・・二・・・一・・・開始!」
シャアリィは開口一番、
「散れ!」
アイス・ブラストを詠唱。
それで勝負が着いてしまった。
「・・・弱過ぎない?」
幸い致命傷にはならなかったが、三箇所も一度に被弾したラモンは悶絶。
「ま、まだ、まままま」
虚勢を張って立ち上がろうとしたが無理だった。
衛兵はげらげらと笑い、アイシャは失笑を漏らす。
フランコは笑いを堪えながら、
「中級ヒール、一回、金貨五枚」
「どうする?」
聞くまでもなく、ラモンは革袋をなんとか懐から取り出す。
「あんた、よく今まで生きてたな・・・」
「東方も、なんでこんなのをあの場に連れてきたんだ?」
フランコは革袋の中から金貨を五枚つまみあげる。
そこでアイシャが割り込む。
「それ私に頂戴」
「私が治癒するから」
アイシャが事も無げにブライト・ヒーリングを詠唱して、ラモンを治療した。
フランコは少しばかり驚いて、
「いつの間に覚えたんだ?」
と、アイシャに問えば、アイシャはちょっと前に、と、誤魔化した。
「某は竜殺しと戦って生き残った!」
と、喜ぶラモン。
「用は済んだでしょ?」
「早く帰って?」
「んで、二度とこの街に来るな」
「誰だよ・・・ファイヤー亭教えた奴・・・」
シャアリィは、不機嫌にラモンをブーツの爪先で追い立てる。
その後、ラモンはイルオールドへと帰っていった。




