珍客(刺客)
フランコがレリットランスに立ち寄った理由。
それは二つある。
一つは踏破記念治癒院の視察。
アネモイとの約束を果たすべく、余裕の出来た教会資金で医療改革をするための研究だ。
そして、もう一つは大型キャラバンの車両制作の依頼。
船であればグリーンノウズでなければならないが、車両制作であれば流通網の中心部、レリットランスが最も技術が高い。
車両さえあればすぐにでも取り掛かれる事業だけに、フランコは急ぐつもりだ。
もうすぐ、九月。
そろそろシャアリィも十八才になる。
昨今のサプライズ合戦にも慣れてしまったので、アイシャは普通にファイヤー亭で祝うつもりだ。
久しぶりに開けるファイヤー亭の扉。
そこには奇妙な客人が待っていた。
「お目に掛かるのは初でござるな」
・・・ござる?
その服装から見て、ミヤマのひとだろうか?
と、シャアリィが頭に疑問符を浮かべると、アイシャが耳元で囁く。
「人斬りラモンだよ」
「ミヤマの屋敷を抜けて、賞金首狩りをしてるひと」
そのまま、アイシャが受け答えすることに。
「人斬りのおじさんが、なんでここにいるの?」
「ここじゃ、鶏肉は切るけれど、ヒトは斬らないんだが」
ラモンは、突拍子もないことを言う。
「竜殺し、どちらでも良い」
「某と手合わせを願いたい」
シャアリィは、簡潔に答える。
「嫌だよ?」
当たり前だが、取り付く島もない拒絶。
ラモンは食い下がる。
「まぁ、某が相手ならば逃げるのも仕方あるまい」
アイシャが溜息を吐く。
「あなたと殺りあっても、私達には得がないでしょう?」
ラモンは、得意気に言い放つ。
「ははは、良い逃げ口上、土産話にはちょうど良い」
「所詮は小娘であったわ」
それを聞いていたフランコが笑いながら、
「なんとかは死ななきゃだ」
「相手をしてやればいいじゃないか」
「少しでも息があれば、私がなんとかするさ」
そこでアレックスがキレる。
「おい、生臭い話はここではするな」
「燃やすぞ?」
シャアリィが腹を抱えて笑い、
「ほら、怒られた」
「しょうがないから受けてあげるよ」
「その代わり治療費は請求するからね?」
ラモンとシャアリィ一味は、衛兵所に立ち寄る。
「このひとが私と勝負したいらしいので、ちょいと門の外をお借りしますよ?」
「間違って、うっかり殺しちゃっても同意の上だから、捕まえないでね?」
「おじさん、これでいいよね?」
ラモンは、無言で頷いた。




