戦う運命
交渉のテーブル。
西方陣営は全員の出席を認められ、中央はワイズリートとリーシャが席に着く。
「まずは、学舎の頃からの付き合いのきみに、私から称賛を」
「最年少の枢機卿でありながら、最後の一席を賭けて、こうしてテーブルについたのだ」
「きみは誇るべき後輩であり、教会の同志として見事だと、明言しよう」
その物言いからして、既に決定権がワイズリートにあることは間違いない。
「最初の提案だが」
「そちらの陣営の騎士と、私のリーシャの手合わせを所望しよう」
「但し、アイシャ・セロニアス・・・きみには遠慮してもらう」
「姉妹同士で戦う等、そんな残酷なことをさせるつもりはない」
「必然、そちらはシャアリィ・スノウを選ぶだろう」
「しかし、どちらも術式使いであり、その手札には即死級の術式がある」
「あくまで手合わせ、即死術式はナシだ」
「ドラゴンの召喚もナシ」
「エキシビジョンってやつさ」
「チップは当然、教皇の椅子」
「どうかね?」
どんなに分が悪くとも、シャアリィはやる気だ。
「勝てそうもないけれど、指名されたなら逃げるわけにはいかないね?」
「アレクサンドル卿の許しがあれば、私は構わない」
リーシャは穏やかな笑顔でシャアリィを歓迎する。
「琥珀の姉様、あの時よりは少々お強くなられたようで」
「私と遊んで下さるなんて、楽しみ」
「幾ら姉様でも、勝負は譲りませんよ?」
アレクサンドルが口を挟む。
「面識があるのか・・・いつ、なぜ?」
「私は聞いていないぞ」
シャアリィは悪びれもせず、
「問われていませんし、こちらから話すことでもないかと」
「それに、まさか、こんな恐ろしい使い手だとは思いもしませんでしたから」
アレクサンドルは、シャアリィとアイシャに嵌められたと感じた。
しかし、それでは辻褄が合わない。
それは教皇の死を予測した上でしか成り立たず、自らの手駒としてレリットランスとの同盟締結にも一役買っているのだ。
「わかった・・・疑うべきではないな」
ならば、勝機は薄くとも挑ませるだけ。
「手合わせ、許可しよう」
シャアリィは心の中で舌を出す。
(許可しよう、じゃなくて、お願いします、だろうが)
アイシャは、リーシャに釘を刺す。
「くれぐれも、傷物にしないでね?」
「ああ、それと氷結龍、譲ってくれてありがとう」
「おかげで本懐を遂げることが叶った」
その物言いだけで、皆が理解する。
シャアリィだけでは勝ち目はない、と。
フランコは思考する。
何故、そんな相手に挑むというのか。
否、それがシャアリィという少女なのだと。
ワイズリートの狙いは、ただひとつ、当代最強の術式使いを知らしめること。
それがわかっていながら、浅ましく乗っかる自分の主に、愛想を尽かしそうになる。




