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氷結のシャアリィ  作者: 黒猫テラス運営部
氷結龍討伐編
392/395

ドラゴン・スレイヤーの挑発

アイシャの籤運(くじうん)の悪さには目を見張るものがある。

初日は外れても仕方ないが、二日、三日、四日、五日と・・・。

半分以上のカードを開いて当たりを引けない。


シャアリィはケラケラと笑いながら、


「アイシャはギャンブルだけはやめたほうがいいね」


等と言われる始末。


・・・


付き合わされるイングリット・パーティの連中も、アイシャの引きの悪さには頭を痛めていた。

もしかしたら、あの女知ってて焦らしてるんじゃねえか、と、ゼノビアが口にする程に。


もう二週間以上も、まともな狩りをしていない。

ここで、シャアリィとアイシャが動きを止めても、見張りは続けなければならないのだ。

ただでさえ手強い相手に、メンバー一人でも欠ければ、勝算はそれだけ下がる。

交代で休暇を取ることもままならない。

業腹でも、シャアリィとアイシャのペースに付き合うしかない。


・・・


六日目。


シャアリィとアイシャが開いた扉は当たりだった。

だが、その玄室は二重玄室。

アイシャは、これは面白いと先のことを考えてにやりと笑った。


ルームガーダーは、ガルーダ。

人の身体に鶏の羽根、爪、足、頭部を持つ鳥人。

フィールドで会えば、当然に恐ろしく強いが、ここは迷宮。


アイシャは彗星棍を振り回しながら、ウインド・ブラストを使い、シャアリィは短縮詠唱のアイス・ブラスト。

移動砲台と固定砲台に撃ち落とされ、蜂の巣にされれば、ガルーダに勝機はない。

シャアリィとアイシャはグリフォンでさえも撃破しているのだから、当然の結末。

魔石を抉り回収すると、素材になりそうなものを焼却するようにシャアリィがサンド・ブラストで磨り潰す。


奥の玄室はそのまま放置。


七日目。


別の玄室を開き、外れを確認。


八日目も、九日目も、繰り返す。


・・・


遂に踏破への扉は決定した。

勿論、まだ先がある可能性も十分に考えられるが。

七階層で開かれていない扉は一つ。


未踏破領域は一か所・・・テレポーターの通路の先。

だが、マッピング上、そこには玄室が存在するような空間はない。

この二重玄室の先にあるのは、最終扉玄室か、或いはその玄室内にある移動陣か、という所。


・・・


シャアリィとアイシャは、冒険者ギルドに足を運び、小さな戦果を換金。

小さな戦果とは言え、金貨なのだから、ルーキーにしてみれば一週間分の報酬。


「いやぁ、なかなかに手詰まりでね」

「もしかしたら、踏破を諦めるかもしれないよ」

「命あっての、って言うし」

「龍殺しは成して、マーシー達の意趣返しは叶ったし」

「もう少しだけ、様子を見るけれどね」


と、明らかなイングリット・パーティへの挑発。


既に感情を隠すこともなく、ゼノビアが歯軋りする。

が、一言も発するなというマルシェの命令がある。


既に追跡を看破されているとしても、イングリット・パーティは我慢するしかない。

一週間以上に渡る牛歩で、イングリット・パーティの面々は、暴発寸前だ。


シャアリィが追い打ちを掛ける。


「ドラゴン・スレイヤーが言うのもなんですけどね」

「アーシアンの迷宮は、本当に難しい」

「私達も頑張ってはいるんですけれど」

「なかなかにね?」


その視線の先には、マルシェ・イングリット。

恐らく二人だけにしかわからない。

交錯する視線。


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