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氷結のシャアリィ  作者: 黒猫テラス運営部
氷結龍討伐編
367/399

耳あり、耳なし、黒耳、黒耳小

ファイヤー亭は、何も変わらずそこにある。

扉を開ければからんからんと来客を知らせるベルが鳴る。

厨房には、少し草臥れた顔のアレックスがいて、


「お、耳あり、耳なし、今日戻ったのか?」

「適当なとこ座れよ」


と、これまたホームグラウンドの温もり。

裏口で片付けものをしていたナッチェが飛んで来て、


「おかえりさいませ、英雄殿!」

「此度の戦果は如何でしたでしょうか」


毎回のように挨拶のカテゴリが代わるので、見ていて飽きない。

オルチェとエレナは、また、エドワードの所みたいだ。


「ただいま」

「元気にしてた?」

「とりあえずは、チョコレートだね」


と、シャアリィがテーブルの上に箱入りのチョコレートを置く。

今回は特大サイズ二十四個入り。

最近、流通が追い付いて、ライバルも増えた為、少々安くなった。

アイシャは店の中を眺めながら、新メニューを探している。


「代わり映えしないねぇ」


と、ぼそっと言えば、アレックスがそれに反応する。


「頻繁にメニューやレシピを変える店は、所詮は基本がなってないのさ」

「要望があればトッピングで対応すりゃあいい」

「メニューばっか増えた所で、こっちは余分な在庫を抱えて、お客さんは迷う」

「いいこたぁねえんだよな」


たまに正論を言うから質が悪い。


「そろそろオルチェ達も戻って来る」

「仕込みはあらかた終わってるから、戻ってきたら黒猫姉妹貸してもいいぜ?」

「多分、ナッチェはお前さん等と遊びたいだろうし」


それから十分もしないうちに、オルチェ達が戻ってきた。


「アイシャ、シャアリィ、いっつもいっつも突然に来て」

「まぁ、それはいいんだ」

「この夏を乗り切れば、やっとエドの手伝いからも解放されるよ」


椅子に座っていれば、あの強烈なハグはない。

新たな発見にアイシャは一つ賢くなった。


「ただいま、と、おかえりなさい」

「お元気そうで何よりです」


エレナは相変わらず大人しい。

少し癖毛の髪は長くなり、エプロンを外せば立派なお嬢様で通用する。


「オルチェ、黒猫たち、少しばかり休憩させるぞ」

「せっかくシャアリィ達が来てるんだ」

「買い物とか行かせてもいいだろ?」


アレックスの事後承諾にオルチェは快く、


「ああ、いっておいで」

「たまにはアタシも連れてっておくれよ」

「一年三百六十五日、旦那の顔ばっかり見てるんだ」


全員がどっと笑って、夫妻を残し買い物に出掛けた。


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