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氷結のシャアリィ  作者: 黒猫テラス運営部
氷結龍討伐編
366/395

夏の日差しとオープンテラス

成長したライルの腕前を見ることもなく、キャラバンはレリットランスに到着した。

別れ際、ライルがシャアリィに礼を言う。


「もしも、優しくされていたならば、俺は終わっていました」

「今日まで、ここまで来れたのは、あの日があったから」

「もう恨んではいませんよ」

「わかってたんです」

「弱いのに、少しばかり調子に乗っていたことも」

「それを否定するのは言葉じゃなくて戦いだと、貴方は教えてくれた」

「これからも俺は冒険者を続けます」


シャアリィは、ライルの瞳をじっと見つめた後、


「あっそ」

「じゃあ、死なないようにね?」

「遠い未来か、それとも近い将来か」

「あの世であったら乾杯しましょう」


と、物騒な次の再会の約束をした。


門では衛兵たちが槍を掲げて出迎えだ。

シャアリィとアイシャも、何時ものように手を振り返す。


「今回は長かったね」

「随分と髪が伸びたし、美人に拍車が掛かったじゃないか」


衛兵の軽口に、アイシャが答える。


「惚れるのは勝手だよ?」

「でも、生憎、私にはシャアリィがいる」

「愛想くらいしか振舞えない」


シャアリィも又、


「私はもう少しだけ優しくしてあげるよ?」

「アイシャにヤキモチ焼かせると楽しいから」

「ほら、手を出して?」


衛兵の掌にチョコレートの包みを渡す。

俺も、俺もと、当番全員が並び、しょうがないな、と、シャアリィがチョコレートを振舞う。

賑やかな出迎えを後に、向かう先は一つ。


「いらっしゃませ、お久しぶりですね」

「店長、英雄の帰還ですよ」


温かい季節になると、二人が使っていた席は大人気。

なかなか空かないと評判らしい。

但し本人たちが来たならば、客も喜んで席を譲る。


「申し訳ないですね」


と、アイシャが礼を言い、店員に耳打ちする。


「あの方たちのお会計はこちらのテーブルに」


何時もの席で何時ものように両手と背中を伸ばしてリラックス。


「飲み物はミモザ、使うスパークリングワインも頂きます」

「それとカシューナッツを下さい」


シャアリィが素早くオーダー。

アイシャは爽やかなデザートをオーダー。


「私は桃のコンポート」

「飲み物はスパークリング・ワインを頂くので、グラスだけ追加で」


アイシャのオーダーにシャアリィが飛びつく。


「少し貰ってもいい?」


アイシャは、ふふっと笑って、「勿論」と答える。


レリットランスの街は、以前よりずっと賑やかになった。

新しい領主の政策の成果だろうか。


夏のオープンテラスの席は、やはり居心地がいい。

ぼやぼやしているとあっという間に時間が溶けてしまいそうだ。

運ばれてきた飲み物とフルートグラス。

夏にはたまらない冷えたスパークリング・ワイン。


今頃、北の戦士たちはどうしているのだろうか。

スパークリング・ワインを見ると、思い出さずにはいられない。


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