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氷結のシャアリィ  作者: 黒猫テラス運営部
氷結龍討伐編
339/395

楽園に別れを

食事が終わり、デザートも平らげ、心が満たされる。

そこに運ばれてきたのは、二人からアンナへのプレゼントだ。


「素材だから、加工は自分で」

「これで男の目をさらうようなアクセサリを作るといい」


アイシャの言葉で、アンナが包みを開けると、そこには、アメジスト、オパール、トパーズ、サファイヤの粗削りの宝石があった。


「うお、こんな高い物・・・」

「否、ありがとう、大事に使わせてもらうよ」


アンナの報酬や、シャアリィ、アイシャの収入を(かんが)みれば、特別に高いわけじゃない。

しかし、庶民の感覚であれば一月分の家計なのだから、やはり高価なのか。


「少しばかりお姉さんだけど、私はアンナのことお友達だって思ってるよ」

「今まで本当にありがとう」

「こんな立派な杖も作って貰えて・・・」

「今更だけど、初めての日、ぶっぱなしてごめんね?」

「やっぱ、私、ちょっと馬鹿だから、こんな風なの」


シャアリィが感謝を述べると、アイシャも又、アンナに、


「長い滞在になっても、文句ひとつ言わず付き合ってくれて、ありがとう」

「安心して眠れる場所っていうのは、私達にはなかなかなくてね」

「二人が一緒に寝られるだけでも、感謝なんだ」

「それだけじゃなくて、美味しい料理も、人生の先輩としての学びもここにはあった」

「もし、私達が全てを為して、ここに戻ってきたら、また泊めてもらえるかな?」


アンナは大粒の涙を流しながら返事をする。


「こんな楽しい時間を過ごせるなんて、思ってもみなかったよ」

「初めは面倒な奴らが来たなんて思ってたけれど、二人が凄くいい奴で甘えてしまったね」

「家の中もすっかり綺麗になったし、楽しみも増えた」

「でも、本当は・・・寂しいんだ」

「一人の時には感じなかった、チクチクとした痛みが、今、私の中にあるんだよ」

「疲れたら、やり遂げたら、何もかも嫌になったら、何時でも帰っておいで」

「私も頑張るから、きみ達もどうか元気で・・・」


シャアリィがグラスに酒を注ぎ、カチリと三人が合わせる。


「ドラゴン・スレイヤーに」

「偉大な武具職人に」

「根性曲がりだけど優しいあなたに」


それぞれが、思ったことを口にして酒を煽る。

もう、ここで遣り残したことは一つもない。

あるとしたならば、討伐を果たした後の凱旋だけ。


「次に来る時には、旦那さんがいたりしてね?」


と、シャアリィが冗談を言えば、アイシャも乗って、


「娘か息子がいるかも知れないぞ?」


アンナは照れながら、


「何年友達を放って置く気だよ?」


と、突っ込む。


沢山のお遣いと沢山の討伐、沢山の良い思い出。

魔法の聖地、エンダーベルトを離れたならば、次の目的地は東の港。


――― フェザーエリス。


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