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氷結のシャアリィ  作者: 黒猫テラス運営部
氷結龍討伐編
338/410

アンナの誕生日

鼻をくすぐる香ばしい匂いでアンナは目を覚ました。

それは時折、無性に食べたくなるアレの匂い。


「うなぎか!?」


飛び起きたアンナがキッチンで半ば叫ぶように確認すると、

シャアリィも、


「うなぎだ!」


と、今、タレを付けて炙ってる身をアンナに見せる。

その喰い付き具合に、アイシャは声を出して笑う。


「ははは、この匂いを寝起きの空腹に嗅がされては、たまらないよね」

「早く洗面台に言って支度して、主賓はテーブルで大人しくしてるといい」


うなぎを炙っているシャアリィの横で、アイシャは、じゅわじゅわと、大蒜(ガーリック)生姜(ジンジャー)の利いたフライドチキンを揚げる。

オニオンリングやフライドポテトも。

シャアリィやアンナの大好きな揚げ物尽くし。


大豆ソースに、ごまマヨネーズ、マスタード。

酒もライスも進む、豪華メニューが一品づつ出来上がり、テーブルに運ばれる度、


「味見してもいいか?」


と、アンナが手を伸ばそうとするのを、


「まだだよ!」


と、制するのが、楽しい。

余程楽しみなのか、着替えも疎かなアンナ。

最後の一品のポテトサラダが揃った所で、待ちきれないとばかりに二人に確認を取る。


「これで全部だよね?」

「もう、いいよね?」


アイシャがグラスを並べて、スパークリング・ワインを注ぐ。

冷蔵庫の中に残るのが、ケーキだけになったのを確認し、


「じゃあ、食前のお祈りだ」


と、アイシャが冗談を言うと、


「祈りで腹が膨れるかぁ!」


等と聖職者に怒られそうなことをアンナが口走って、おあずけが解除された。

やはり最初の一口は、うなぎ。


「うーん、最高、とろける」


と、シャアリィがうっとりしている隣で、アンナはライスをかきこむ。


「うなぎってのは、ライスあってこそだよ!」

「タレ残ってるなら、頂戴、ライスにめっちゃ合うんだ」

「騙されたと思ってやってみ?」


アンナは、ライスの上にうなぎを乗せると、その上からタレを掛けた。

アイシャも真似をしてみる。


「化ける!これはうまいぞ!」


さすがは港町の娘、と、訳の分からない褒め言葉がアイシャの口から零れた。

次はフライドチキン。


「おおお、よくもこんなに上手く揚げたな・・・」

「今まで食べたフライドチキンなんて、これに比べたら・・・」


アイシャは、アンナの書斎で旧時代の料理レシピ本を見つけていた。

読むだけで涎が零れそうな品々の中から選んだだけのことはある。


「旧人類おそるべし」

「まぁ、一回滅んでリスタートなんだから、仕方ないんだけどね」

「圧力鍋ってのを魔具で再現できないか、今度、聞いてみるか」


そう言えば・・・と、切り出すシャアリィ。


「アンナ三十才おめでとう!」


言われたアンナは、一言だけぽつり、と。


「もう一度、年の部分を省いて言ってくれないかな?」


少し悲し気なリクエストだった。


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