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氷結のシャアリィ  作者: 黒猫テラス運営部
氷結龍討伐編
337/395

計算通り

早朝からシャアリィとアイシャは市場に出掛けた。

サラダ用の野菜と菜種油を買い込み、鳥の腿肉と薬味の数々。

切れかかっていたライスの補充。


そして、メインは『うなぎ』。

太いウナギを五本も買い込み、二人は馴染みの割烹料理店に駆け込んだ。

ちょうど仕込みの最中の店主に無理を言ってうなぎを(さば)いてもらう。

氷、タレ、焼き串、炭まで融通してもらい、次に向かう先は職人街。

手頃な大きさの火鉢と、団扇を買って帰路に着くとちょうどアンナが寝始める時間。


『計算通り』


と、いう顔で二人は顔を見合わせて親指を立てる。

キッチンの隅、目立たない場所に道具を置いて、食材は冷蔵庫。


『サプライズ在中につき開けないこと!』


と、書いた紙を張り付けて、再び、二人は職人街に向かう。

二人が悩んでいるのはアンナへの贈り物だ。

何しろ相手は職人。

アクセサリにしても既製品では恰好が付かない。

そこで考えたのが、粗削りの宝石の詰め合わせ。


杖に使うような特大サイズでなければ、金貨五枚も出せば結構な品が手に入った。

イヤリングにも出来るように四種類を二粒づつ。

あとは市場で包装材を買ってラッピング。

ついでにデザートのケーキも見繕った。


再び邸宅に戻って、ケーキを冷蔵庫に。

プレゼントは二人の寝室の毛布の下に隠した。


手際良く、昼までに買い物の全てを終えた二人。

残り僅かな時間を惜しむように、雑多な店が並ぶ通りを歩く。

ちょうど小腹が空いた所で、クレープ屋の露店を発見。

吸い寄せられるように列に並んだ。


「生クリームが私を呼んでいる・・・」

「イチゴとメープルシロップが早く来てと誘ってくる」


シャアリィがおかしなことを言い出し、アイシャが笑う。


「チョコソースを忘れていないか?」

「ラズベリーのジャムだって、待ってるかも知れないよ?」

「まぁ、何でも生クリーム様があれば美味しいんだよね」


そうそう、と言ってシャアリィもアイシャも無邪気に笑う。

あと一ヶ月もすれば、エンダーベルトはかなり暑くなるだろう。

既にビーチでは、サーフィンや日光浴を楽しむ姿も見られる。


リゾートホテルの裏手には、大きな高層住宅が建つらしい。

オーシャンヴューの眺めの対価は、一室聖金貨三十枚(三億円相当)。

そこから三十分も歩けば、昔ながらの小さな船で魚を取って暮らす人の街並み。


だが、年々、漁村は寂れつつある、と、いう。

それは魔具を搭載した大型漁船のせいであったり、近代化と称した乱開発のせいであったり、いわゆる時代の波というものだ。


この離島の経済は、これでも、まだまだ発展途上。

そのうち、何処かの金持ちが魔具の製造技術に目を付けて大きな工場を立てたがるかも知れない。


この南の楽園の様な島が、ずっと、このままであってくれたなら、また、もう一度、ここに来て長いバカンスを楽しみたいものだ、と。

二人は思った。


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