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氷結のシャアリィ  作者: 黒猫テラス運営部
氷結龍討伐編
327/395

上級ゴーレム

冒険者ギルドで、魔力回復剤を買い込んで島への滞在を決めた二人。

再び、桟橋の船着場。

そこに現れたのは、ギルドで最初に声を掛けてきた少年冒険者の一行。

二十三名もの大所帯は随分と賑やかだ。


「あれ、お姉さん達、二人だけ?」


シャアリィとアイシャの姿を見つけた少年冒険者が駆け寄ってくる。


「そうだよ、私達はちまちまやるからね」


と、シャアリィが愛想良く振舞う。

そうなんだ、と、屈託のない笑顔を見せながら、少年は自分の所属するパーティを披露するように手を広げる。


「うちのパーティはさ、あんまり効率に拘ってない仲間なんだ」

「居心地が良くてね」

「あの背の高いのがリーダーのコルツ、んで、俺はニコラ」

「島で困ったことがあれば相談に乗るよ」


先輩風を吹かせながらも、何処か憎めないニコラ。

アイシャも挨拶をと、


「よろしくニコラ」

「私はアイシャ、連れはシャアリィ」


と、名乗った瞬間、そこにいた冒険者達が固まる。

その名前の組み合わせは、今や知らない冒険者などいないだろう。


「本物・・・か」

「えー、この綺麗なコ達がネームドキラーだって?」


大体の反応は何時もと同じ。


・・・


船が着き、皆が席に座る。

シャアリィとアイシャは、昨日と同じように後方の席を選んだ。

後ろからの視線に晒されるのは、気分がよくないからだ。


島に到着して、宿泊施設に滞在用の物資を預ける。

今日の目的・・・それは上級ゴーレムとの会敵。

この戦闘が上首尾に運べば、いよいよ、特級ゴーレムの討伐だ。


「じゃあ、今日の序盤は欲張らずに、中心に向かって進もう」


途中、二回程、他のパーティの戦闘を目にすることになったが、基本的な戦術は皆同じだ。

シャアリィのような反則じみた術式を持っているはずもない。

術式の発動、ゴーレムの被弾、大地を叩く音、様々な掛け声。

数の暴力で、強大な敵と戦う冒険者。


会敵を敢えて避けるように進むと平原は途切れ、土の大地が広がっていた。

そこにいるのは、明らかに今までのゴーレムとは違う魔物。

通常のゴーレムよりも若干小さいが、表面から魔力が溢れているかのようなオーラを纏う。


「アレだね」

「少々、手強そうだ」


アイシャの言う通りだと、シャアリィも感じている。

その場にナップサックを降ろし、目配せで合図するとアイシャが先行して、ゴーレムの左斜め後ろから彗星棍を最大射程で打ち下ろす。


即座に反応したゴーレムが、攻撃を受けた方向に向かって術式陣を展開。

しかし、既にアイシャは廻り込んでおり、再び左斜め後ろから、二度目の攻撃。

ゴーレムは、振り払うように左腕を大きく振り回す。


今、ゴーレムの体勢は、シャアリィに完全に背を向けている。

シャアリィが初撃に選んだのは、アイス・ブラスト。

それを見たアイシャが、次のシャアリィの一手を予測し、ゴーレムの注意を自分に釘付けにする。

アース・ランスか、或いはストーン・バレットからのバレットサークル。


シャアリィが選択したのはアース・ランス。

まずは、その表面に穴を穿つことが重要だと、これまでの戦闘で覚えた。


「貫け!」


フローズン・レイジの乗ったアース・ランス。

だが、大きな傷を背中に与えただけで、表面装甲を貫通するには至らない。

振り向きもせず、ゴーレムはシャアリィに向けて術式陣を展開した。


シャアリィはそれを瞬時にジャミングで破壊。

解けてしまった氷結を再構築するために、もう一度、アイス・ブラスト。

そして続け様にアース・ランス。


二度の正確な攻撃によって、ゴーレムの表面に小さな穴が開く。

大ダメージを受けたゴーレムは、標的をアイシャからシャアリィへと変えた。

今度は、アイシャが攻撃を叩き込む番だ。


割れた背中の傷目掛けて、彗星棍の乱撃を打ち付ける。

穿たれた穴から背中一帯に罅割れが奔り、ゴーレムの背中からは内部構造である砂泥が、ぼたぼたと零れ落ちる。

アイシャの卓越した視力が捉えたものは、その表面層の厚さ。

それは通常のゴーレムの倍程もある。


シャアリィは右へ左へとステップを踏み、ゴーレムに的を絞らせない。

その間にも、アイシャが背中からゴーレムを徐々に破壊する。

背中から広がった傷が、両腕の付け根、頭部との境目まで伸びた時、ゴーレムが短い脚を絡ませて、地面に倒れ伏した。


そして、壊れ掛けの時計が止まるかのような動きで、沈黙した。

シャアリィは、念のためと、頭部と胴の境目にアイス・ランスを打ち込む。


シャアリィの魔力消費は、二割程度。

アイシャは全く余裕の表情で、シャアリィに確認する。


「なかなかにいい連携だったね」

「上級ってのは伊達じゃないね、装甲が通常ゴーレムの倍くらいある」

「中身の密度も結構ぎっしりしてて、これじゃあ剣戟が通らないわけだ」


そう言いながらも、倒すまでに掛かった時間は十分にも満たない。

シャアリィが周囲を警戒しつつ、アイシャが魔石を抉る。

手にした魔石は、大きさこそ通常のものと変わらないが、明らかに輝きが違う。


「連戦出来そう?」


というアイシャの問いに、シャアリィは満面の笑みで、


「勿論!」


と、楽し気だ。


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