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氷結のシャアリィ  作者: 黒猫テラス運営部
氷結龍討伐編
322/395

巨像島

随分と取り掛かりが遅れたが、もう一つの目的であるレベル上げ。

それを成す為にはゴーレムを討伐しなくてはならない。

二人は、冒険者ギルドで、ゴーレムについてのレクチャーを受けた。


「ゴーレムと一絡げにした時、それは自立で動く人形を示す」

土人形(クレイマン)石像獣(ガーゴイル)のような迷宮に出現する自動人形も広範囲で解釈すればゴーレムの一種ということになる」

「だが、基本的にゴーレムと言えば大型の自動人形」

「その材質は様々で、泥だけでなく、木材(ウッド)岩石(ロック)金属(メタル)宝石(ジュエル)等多彩だ」

「中でも多いのは、ロック・ゴーレムとアイアン・ゴーレム、カッパー・ゴーレム」

「総じて土石属性が多く、動きは緩慢」

「しかし、その大質量から繰り出される物理攻撃を受ければ、タンクでも耐えられない程に強い」

「さらに術式攻撃を得意とし、近距離に近付くのは相当の危険が伴う」

「ウッド・ゴーレム以外は、非常に強い斬撃耐性を持ち、近接アタッカーにとっての相性はかなり悪い」

「基本的な戦術は、多人数の術式使いによる中距離術式戦」

「それでも討伐には時間を要する強力な魔物だ」

「雷撃による術式が最も効果が高い」


参考になったような、ならないような、と、シャアリィは思った。

自分たちに必要な情報は、やはり現地で実際に戦ってみるしかない、とも。


まず、シャアリィの懸念は、ペアという構成。

それは即ち、総合火力の問題。

シャアリィが魔力切れになるまでに、仕留めきれるか・・・それが最重要だ。


勿論、戦力としてはアイシャの物理攻撃やウインド・ブラストも手数に入る。

だが、アイシャの魔力は術式使いと比べれば、相当に少ない。

ウインド・ブラストを多用するには無理がある。

ゴーレムの体力が予想を上回って高い場合には、何らかの工夫が必要になるだろう。


・・・


船着場から出る定期便は、午前九時と午前九時三十分の二回。

安息日には定期便は出ない。

戻りの巨像島発の便は、午後五時と午後五時三十分の二回。

島の一部には結界が施され、セーフティ・ゾーンとして機能しているらしい。

しかも、その結界の中には治癒院、宿泊施設まであるというのだから驚きだ。


当然と言えば至極当然。

例によってこの島でも治癒師は慢性的に不足しており、パーティに同行する危険を冒さずとも、治癒院で勤務すれば良いのだから。


今日は既に舟に乗り遅れた二人。


「なんか、忘れてない?」


と、シャアリィがアイシャに質問を投げると、アイシャは、それは・・・


「カフェテラスをまだ見つけていない」


と、微笑んだ。

あの器用な武具職人ならば、きっと、極上のデザートだって作れるだろう。

でも、二人が求めているものは少し違う。


それは心の贅沢。

何の用意もなく、ふらりと立ち寄って数枚の銀貨で買える幸福。

予想もしない発見と、予想通りの快感のコラボレーション。

そういうものがカフェにはある。


そして、それは思わぬ所に。


桟橋にある案内地図は、きっと、かなり前からあるものだ。

だから、そこに書かれていて、残っているカフェテラスならば、きっと。


アイシャは、そう考えて幾つかのカフェテラスの名前を覚えた。

そして、あの雑多の店が集まる市場へと足を運べば、記憶した店の名前が見つかった。


『シー・ドラゴン』


タツノオトシゴという名前のカフェは色褪せた看板の店。

でも、店から漂う珈琲の香りは、実に良いものだ。

アイシャはシャアリィに、多分、いい店だ、と告げる。


割と広い店内は程々に込み合い、店員に声を掛けようとすれば、


「空いている席に適当に座っておいてね」


と、先んじて店員から教えられた。

通り側は硝子張り、その並びに二人用の席を見つけて、シャアリィとアイシャが腰を下ろす。

メニューはそれ程多くはないが、定番のものは揃っている。

先程、鼻腔をくすぐった匂いから、シャアリィは、


「カフェ・ラテをお願いします」


と、言い、アイシャも、


「私もカフェ・ラテ、それとチーズ・ケーキを」


店員の了承の声が届き、二人は窓の外の人の流れを眺めた。

シャアリィが思わず声を上げる。


「なんで、ロザリーがこんなとこにいるの?」

「ちょっと、引っ張ってくる」


と、店を飛び出して行った。


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