アンナの頼み六
「素晴らしい」
「完璧な素材採集だよ」
アンナは喜び、シャアリィとアイシャも、その満足そうな顔を見て一安心。
これで領主から受けた仕事も随分捗る、と、早速、工房に籠るようだ。
「ああ、済まないが、もう少しばかり手伝ってくれないかな」
「手紙の返信が随分と溜まってしまっていてね」
「あとは出すだけなんだが、商業ギルドまで行くのが面倒で・・・」
アンナが手紙の束をシャアリィに渡す。
それと、と、更なるお遣いがあった。
「あとは市場で食材の受け取りを頼む」
「重いモノは配達で届くから、香辛料やら、乾物くらいさ」
「旧人類が好んで食べていたスパイス・スープを作ってみたくて買い漁った」
アイシャが小さなため息をついて、
「了解した」
「他には?」
アンナは唇に親指を当てて少し考えた後、
「冒険者ギルドと職人ギルド」
「そろそろ休暇が欲しいから、二月までは仕事を受けない」
「と、伝えておいてもらいたい」
その言葉は即ち・・・
「勿論、シャアリィの杖をじっくり作るための時間はある」
「きみ達が滞在している宿、引き払っておいで」
「エンダーベルトにいる間は、屋敷の部屋を使うといい」
「滞在費は、自分達の食事を作るついでに私の分も作ってくれれば、それでいい」
「寝るだけに帰る部屋に宿賃は勿体ないからね」
シャアリィは笑いながら、
「メイド代わりに使う気まんまんじゃん」
「まぁ、別にいいけれど」
「でも、私達、そろそろゴーレム狩り始めるから、留守が多いよ?」
アイシャが、アンナに冗談を言う。
「話相手が欲しいんだよね?」
「シャアリィの言う通り、留守がちでいいなら、世話になるよ」
少しばかり目論見の外れたアンナだったが、
「私なりの礼みたいなもんだから」
「それで構わないよ」
「じゃあ、残りの仕事、頼んだよ」
・・・
一週間程で、請け負っていた仕事が全て終わったアンナ。
出来上がった武具はどれも個性的。
特に目を引いたのは、タウロスの角を使ったマジック・メイス。
合金の支柱、先端に備えられた三本のタウロスの左角。
ラミアの鱗は、角の根元の補強材として使われていた。
手元の握り部分にリザードマンの皮をあしらった、高級かつグロテスクな逸品。
これを使うのが、領主府の騎士団員で、しかも治癒師だというのだから笑えない。
「彼らは刃物厳禁だからね」
「どうすれば物理攻撃力も得られるか」
「結局、鈍器・・・意図せず刺さる分には問題ないらしい」
明らかなラッキー・クリティカル狙いの武具。
使用する聖職者の徳に瑕が入らなければ良いのだが・・・。
ちなみに魔力の通りは保証付き、らしい。




