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氷結のシャアリィ  作者: 黒猫テラス運営部
氷結龍討伐編
318/396

アンナの頼み四

材料探し。

商談の時に口にした手伝いの一つ。


「買うと結構な値段のする材料をね、迷宮で少しばかり手にいれて欲しいんだよ」

「タウロスの角とか、ラミアの鱗とかね」

「この領地内にも、一つだけ迷宮があるんだ」

「本島に一番近い、ローマン島」

「この島にしかいない固有種も結構いるから、注意は必要だけどね」


やはり迷宮か・・・と、シャアリィもアイシャも身構える。


「エンダーベルトはゴーレムで有名な場所だから、巨像島で手に入る資源は、他の冒険者からも適正な価格で買える」

「でも、皆、巨像島ばかりに行ってしまうから、ローマン島のものは結構高いんだよ」

木人(ツリーマン)の小枝でさえ、値が付くんだからね」

「頼みたい資材は、嵩張るものもあるから、無理はしなくていい」


シャアリィは一度約束したことに関しては、なるべく守りたいと思う。


「それ程沢山でなくてもいいなら、大丈夫だよ」

「強烈にヤバい奴はいる?」

「以前、溶解性出血毒で死にそうになったんだ・・・アレは嫌だ」


アンナが目を丸くして答える。


「よく命があったね?」

「相当に運がいい」

「大丈夫、致死性の毒持ちはいないよ」

「そう言えば、ペアで、ヒーラーなし、タンクなし・・・か」

「よく、今まで戦ってこれたもんだ」


どうやら、二人の戦歴をアンナはまだ知らないらしい。

アイシャは、自分たちの素性を明かすことにした。


「ああ、最高に運は持ってる」

「レリットランスを踏破し、四つの名有りを討伐しても、まだ生きてるんだからね」

「実際、自分たちの強運には感謝しているよ」


アンナの目の色が変わる。


「迷宮踏破者で、名有りの討伐者・・・まじか」

「あの一撃、相当な腕だとは思っていたが、とんでもないな」


シャアリィが、にやにやしながら、答える。


「職人ギルドでも、冒険者ギルドでも、聞いてみればわかるよ」

「でも、私達の目的は、もっと先にある」

「もっと先というよりも、ただの固執なんだけどさ」


麦酒を喉に流し込んで、シャアリィは続ける。


「あなたの武具があれば、それが叶うと思うんだ」

「私達は『ドラゴン・スレイヤー』になる」

「二人だけで挑んで、倒すんだ」

「その為に北の果てまで旅をして、(つい)には南の果てまでやってきた」


妖しく輝く金色の瞳、アンナは目を反らせない。


「成程ね」

「私の武具も歴史に残るかも、だ」


アンナの目がアイシャの腰の片刃剣に注がれる。


「それ、ミヤマの剣だよね」

「しかも、銘入りの」

「剣は専門じゃないから、あまりよくわからないけれど」


アイシャは不敵に笑って頷く。


「流石だね」

「これはミヤマの特級刀剣の一振り、鵺斬」


アンナは納得したように、そして、憧れを湛えた目で呟く。


「ドラゴン・スレイヤーか」

「いいね、最高の杖を作ろうじゃないか」


アンナのモノクルの向こうで、鳶色の目が輝いた。


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