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氷結のシャアリィ  作者: 黒猫テラス運営部
氷結龍討伐編
317/395

アンナの頼み三

この辺で食事の美味しい店をアンナに問う、シャアリィ。

しかし、アンナは余り食に興味がないらしく、別に何処でもいい、と、言う。


「ここにしようか」


と、アイシャが指差したのは、いわゆる居酒屋のような店だ。

少しばかり高級感があり、個室も完備。

客足も申し分なく、店を出る人間の顔にも満足が見て取れた。


「女性三人、個室をお願いします」


と、アイシャが店員に告げると店の奥に近い場所の一室に案内された。


「アンナ、お酒でも、料理でも、好きなものを頼んでね」


そういうシャアリィの言葉に頷くアンナだが、どうにも落ち着かないらしく、周囲をキョロキョロと観察している。

最初の注文を終え、個室の扉が閉まると同時、アンナは大きな吐息を吐いた。


「私ね・・・第三級封印指定技師なんだよね」

「他の土地の人間と一緒にいる所を見られると、少しばかり面倒なんだ」


冒険者の封印指定については多少知っているものの、技師の封印指定については初耳のアイシャが、少しばかり詳しく教えて欲しいと、アンナに頼む。


「第一級は、教会の施設に隔離されちゃうやつ」

「第二級は、指定エリア外には出られない」

「第三級は、領地の外に出てはいけない」

「簡単に言えば、私達が作る武具は領地、国家間のバランスを壊しかねない、と」

「もし、エンダーベルトじゃなかったら、私は二級相当らしい」

「ここは離島だからね、封印にはもってこいなんだよ」


シャアリィは、それを聞いて気に掛かったことをアンナに問う。


「私に武具を作るのは、大丈夫なの?」


アンナは上を向いて、それに答える。


「そのへんはグレーだね」

「教会や領主からの依頼の品を納期通りに作ってる間は、少なくとも文句は言われない」

「と、思う」


それを聞いて、シャアリィは胸を撫でおろす。

アイシャが空気を入れ替えるように、次のリクエストについての話をする。


「思うんだが、アンナ、街で売っている魔具を幾つか買った方がいい」

「そうすれば今のような惨状にはならないだろう?」

「私達が一度片付けた所で、あの散らかり様は、常習的な面倒くさがりだからな」

「根本的な解決が必要だ」


まるで、一度も考えたことがなかったかのように、否、実際、考えたこともなかったのだろう。

アンナは、その提案を受け入れる。


「そうか・・・生活魔具か・・・見落としていたよ」

「明日、早速、付き合ってくれ」

「そうか・・・何故、気付かなかったんだ」


シャアリィが、その答えを口にする。


「面倒くさがって引き籠ってるからでしょう」

「どうせ、何年かに一度、掃除屋さんとか呼んで片付けてたんでしょ?」


図星を突かれたアンナが、初めて見せる恥じらい。


「何故、わかるし」

「まぁ、これからは少しばかりマシになるよ」


その時、扉をノックする音が聞こえた。

どうやら、料理が運ばれてきたらしい。

テーブルの上に、所狭しと注文の料理が並ぶ。


チキンのトマトソース煮、ハンバーグ、コーンサラダ、フライドポテトにエビフライ・・・柔らかいパンとクリーム・チーズ。


アンナが食べたがったものは、何処か子供じみている。

シャアリィも、そういうものが好物だが、アイシャは流石に見ただけで胸焼けしそうだった。

子供じみていると言えば、アンナの行動もそれに当て嵌まる。

先代ペリントスが叔父ということは、両親は既に他界しているのだろうか。


ただ、三人の距離が少しばかり近くなったのは確かなことだろう。


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