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氷結のシャアリィ  作者: 黒猫テラス運営部
氷結龍討伐編
314/396

職人という奴は

その杖は、まるで自分の腕の延長。

軽く、細く、それでいて強靭。

これが未完成だとは到底思えない。


・・・


「さて、互いに力を見せた所で商談と行きたい所だが、私にはやらなくちゃいけない仕事が山程溜まってるんだ」

「きみの武具を作るにも、このままじゃ、どれくらい先になるか、わからん」

「そこで提案なんだが、私の手伝いをするならば、きみの杖を作ろう」

「値段は、武具に入れる宝石次第」

「素のロッドの価格は、きみが言った通り、金貨百枚でいい」

「私の譲歩はそこまで」

「後は返事次第かな」


アンナの実力の片鱗を見た以上、シャアリィは折れるしかない。

視線でアイシャに同意を求めた。


「手伝いって?」


この手の話で、今まで散々痛い目を見てきたシャアリィとアイシャ。

どうせ、ろくでもない危険な仕事をさせられるのだろう、と、警戒する。


「お遣いみたいなもんだよ」

「家事やら、材料探しやら、配達やら、受け取りやら」

「雑用も雑用」


アンナの言葉に嘘の気配はなく、それなら問題ないとアイシャは判断した。


「商談成立、で」

「早速だが、何をすればいい?」


アンナは家事をやれと言う。


「まずは書斎の片付け、バスルームの掃除、食事の準備かな」

「仕事を早く片付けるにも、効率化が重要」

「整理整頓は必須だ」

「気分転換にもなるし」


シャアリィが文句を言う。


「なんで、それくらい日頃から、やってないんだよ」

「一応は女でしょう?」

「ガサツすぎない?」


アンナは平然として、


「それだけ制作に没頭しているってこと」

「きみも実感したでしょ?」

「私の技術」

「木を削り出すって言っても適当に削って、こうはならないよ」

「緻密で入念な計算が必要なんだ」

「家事やってる時間、あると思う?」


アイシャは、そう言われれば納得するしかない、と、判断した。


「言い分はわかった」

「だが、私達にも準備がある」

「今日は、宿に引き上げて、明日から取り掛かるとしよう」


シャアリィを納得させる為に、


「家事で済むならいいじゃないか」

「危険な狩りの依頼より、余程マシだ」


アイシャの言葉に、それもそうかと頷きながらも、シャアリィは思う。

何故、何時も一筋縄で行かないことばかりなのか、と。


「何でもやるけれど、ちゃんと作ってよね」

「骨折り損なら、許さないから」


二人は、それ以上、アンナを追及することを止め、帰路についた。


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