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氷結のシャアリィ  作者: 黒猫テラス運営部
氷結龍討伐編
300/400

思惑の果てに

ジョンソンは呟く。


「そうか・・・そういう方法もあったか」

「俺にゃあ思いつくはずもないが、ね」


毛むくじゃらの太い腕が、大きな革袋を持ち上げて、それをカウンターに乗せる。

じゃらじゃらと音を立てて革袋がたわむ。

中から金貨を取り出して、十枚づつを積み上げる。

並んだ金貨の列は、三十。


「三百枚だ」

「俺の取り分は九十枚・・・これに署名を」


named:巨人の骸

討伐報酬:金貨三百枚

完遂署名:アイシャ・セロニアス、シャアリィ・スノウ


・・・


預託証書:巨人の骸の魔石

預託先:グリーンノウズ冒険者ギルド

預託者:アイシャ・セロニアス


・・・


オークション売却同意書

売却物:named:巨人の骸の魔石

開始価格:金貨千枚

オークション開催日:オークション告知後二百日以内

特約条項:冒険者ギルドが落札価格の半分を得る代わりにオークションの告知、滞りない実施、集金、売却者への入金までの一切を責任を持って行う。

その管理責任を、商業ギルド及び領主府が保証する。

売却者:アイシャ・セロニアス

入金口座:アイシャ・セロニアス


・・・


ジョンソンの顔からは、あの癇に障る表情は消え失せ、ただ優し気な笑みがある。


「キラーズ、世話になった」

「締まらねぇ結末になっちまったが、楽しかったよ」

「俺はさ、もう少しだけマシな仕事をしたかった」

「この街で、ただ時間を浪費するような仕事から足を洗いたかった」

「もう、若くはない」

「そのうち後任が決まったら、お前たちが稼がせてくれた金を持って、この街を出ようと思ってるんだ」

「何時か、何処かで会ったなら、互いにシカトはナシだぜ?」

「そん時は、稼いでる方が酒を奢る」

「ふっ、まぁ、俺がタダ酒にありつくためのルールだな」


アイシャは、それに文句をつける。


「原資はくれてやったんだから、あんたが稼いで奢るんだよ」

「いい年したおっさんが小娘に酒をせびるなんて、恥を知れ」

「私達は、これでも普段は慎ましく生きてるんだ」

「ろくでなしにタダ酒を奢る義理などないね」


シャアリィも、笑って同意する。


「次はもう少しマシな街に行きなよ」

「そこで、人参畑でも耕して、ちゃんと働け」

「まぁ、あんたの人生だ」

「好き勝手やって、好き勝手生きて、好き勝手に死ぬがいいよ」


悪ぶっているが、根はいい奴・・・きっと。


シャアリィとアイシャは、顔を見合わせた後、別れの言葉を告げた。


「元気でね」

「コネっこもね」


開きっぱなしの扉の向こうでアイリーンが文句を叫ぶ。

二人は聞こえないふりをして、ろくでなしの街の雑踏へと歩き出した。


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