表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
氷結のシャアリィ  作者: 黒猫テラス運営部
氷結龍討伐編
295/401

三度目の名有り殺し

近づいても尚、襲ってこない『巨人の骸』に、アイシャは失笑しながら、その背中にアイス・ブラストをぶちまけた。


ゆっくりと振り向きながら、背中をさすり、アイシャと目があって数秒の沈黙。

『巨人の骸』が、自分を攻撃した相手にその拳を振り上げた。

その緩慢な動きは、ただの巨大なゾンビィだ。


ただ、歩幅だけは大きい。


さすがに歩きでは追い付かれると判断したアイシャは、


「シャアリィ、こいつの後ろからついておいで」


奇妙な追いかけっこが始まった。

距離を引き離し過ぎないように、アイシャが速度を調整して、『巨人の骸』が、それを追う。

時折、立ち止まっては、手近な木を引き抜き、それをアイシャに投擲する。

足音が止まれば、振り向いて確認すればいい。

当然、そんな攻撃がアイシャに当たるわけがない。


シャアリィは、少し距離を置きながら小走りで、それを追う。

十分程、そんな戯れのような誘導が続き、視界の開けた迎撃地点まで『巨人の骸』は、ひっぱり出された。


「シャアリィ、カウントをたまに大きな声で教えてぇ!」

「そのタイミングで、私が持っていくからぁ!」


大声で、作戦を叫ぶアイシャ。

『巨人の骸』が、もしも、人語を理解できるとしたら、完全なネタバレだ。


「チャアアアジ開始ぃいい!」


シャアリィの位置と時間稼ぎ、敵の誘導、アイシャの頭の中でめまぐるしく変わる状況判断。


「残り十五秒ぉおお!」


ここには拾える倒木はない、武器になるような大きな岩の塊も。

『巨人の骸』が、アイシャを捉えるには、追い付くしかない。


「残り五秒ぉおお!」


アイシャがシャアリィに向かって走る。

距離を離されまいと、『巨人の骸』が地面を蹴って、飛び込む。

泥を跳ね上げて、倒れ込む。

手を伸ばせば、シャアリィとアイシャに半ば腐敗した手が届く。


「砲撃!」


その鼻っ面のすぐ前から、袈裟斬りのようなフローズン・キャノン。

その一撃は、見事に『巨人の骸』の左半身を粉砕し、残った右半身も衝撃波で原型を留めていない。

シャアリィは魔力回復剤を喉に流し込み、チョコレートを口にする。

魔力酔いにふらつきながらも、健在をアイシャにアピール。


シャアリィが己の為した破壊の跡を眺めていると、じわじわと肉片が動きだす。

ゴキャゴキャとボロ雑巾と化した右半身が音を立てて再生が始まる。

だが、シャアリィがそれを傍観しているわけがない。


「出て来い!」


シャアリィは、新しく習得した術式の実験をする。

クリエイト・クリーチャーによって作られたのは、翼を持った虎のような魔物。

一見するとガーゴイルの亜種にも見える、その獣の毛並みは闇のような漆黒で、耳や尾がかなり長い。


「魔石以外は食べちゃって」


シャアリィの命令を受けて、憎悪を煮詰めたような気持ちの悪い雄叫びを上げると、腐肉塊にすっ飛んでいく。

肉食獣クリーチャーらしい豪快な食べっぷり。

肉塊の半分程がクリーチャーの腹に収まった時、魔石がころり、と転がった。


直後、萎み始める残された肉塊。

まだ食べたりないとばかりに、今度は少々可愛らしく、シャアリィに向かってクリーチャーは啼いた。

そして解れるように、その身体が霧散する。

どうやら命令を達成すると消えてしまうようだ。


アイシャが率直な感想を漏らす。


「可愛いのか、気持ち悪いのか・・・やっぱり、かなり気持ち悪い」

「鳴き声が、本当に気持ち悪い」

「でも、すごく利口だね・・・驚いた」


外れスキルかと思っていただけに、シャアリィも少々驚いた。

もしかしたら、戦闘でも、すごく強い可能性もある。

しかし・・・ふらっとシャアリィの身体から力が抜けた。


「すんごく、魔力持ってかれた・・・」

「回復した分、根こそぎって感じ」


やはり使い所が難しいようだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ