表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
氷結のシャアリィ  作者: 黒猫テラス運営部
氷結龍討伐編
279/399

極秘情報

夕食は、シャアリィの手作りバケット・サンドとロースト・ビーフ。

酒のつまみと食事を兼ねたようなメニューはフランコを気遣ってのものだ。

もやもやしていたものが晴れて、アイシャも今日ばかりは少々酔う程に、酒を飲む。


「きみ達は、受難の聖女に会ったのか?」


フランコの一言で、その酔いがきれいさっぱり吹き飛んだ。


「・・・フランコは何処まで知っているの?」


アイシャは妹について話すことに少々抵抗があるようだ。


「まだ、噂の段階だね」

「ワイズリートがとんでもない少女を従えている、と、いう」

「そして、その少女の特徴が、アイシャ・・・きみに似ていると」


そこまでバレているのならば、仕方がない、と、アイシャは腹を括る。


「私も、シャアリィも、ほんの短い時間だけれど面会した」

「受難の聖女、名はリーシャ・セロニアス、私の妹」

「フランコは、リーシャの何について知りたいの?」

「言った通り、短い時間、少し話をしただけだから、教えられることは少ないよ」


アイシャも、シャアリィも、身体を固くして身構える。


「私が知りたいことは、素性、そして能力、出来ればその強さ」


アイシャが何処まで話すのか・・・シャアリィは見守るしかない。


「素性は、さっき言った通り、セロニアス宗家直系第六子、年齢は十六才」

「能力については不明、但し、相当高い能力を持つ陰根源転換術師(ネクロマンサー)

「その実力は恐らく、シャアリィよりも数段上」

「所持術式は全く不明、固有の能力は私の知っている限りでは暗記、暗算、速読」

「幼い頃から足が悪く、セロニアスの武術は習得していない」


フランコはほぼ想定内の内容に満足したようだ。

だが、それは同時に脅威でもある。


「シャアリィよりも数段勝る・・・のか」


絶句するフランコに追い打ちを掛けるように、アイシャが言う。


「ええ、教皇から『混沌(アビス)』の称号を与えられているそうよ」


教会において、教皇や枢機卿から称号を与えられることは、十年に一度あるかないかの名誉であり、それを教皇から与えられたということは、アイシャの情報に偽りがないことを示している。


「ふっ、ふふふふ、成程・・・受難の聖女、リーシャ・セロニアス・アビスか」


飄々としたフランコの笑みは、口角を吊り上げた嗤いに変わったものの、噂が単なるイメージから具現化したことによって、その不敵な笑みはすぐに消えた。


「バンシィを術式で捻じ伏せるシャアリィよりも、強い・・・」

「一体、どんな化け物に仕立てたんだ・・・ワイズリートめ」


フランコはシャアリィに尋ねる。


「実際、きみと受難の聖女が戦ったならば、どうすれば勝てる?」


シャアリィは、あのフローズン・ドラゴンよりも恐ろしい相手を思い出すだけで鳥肌が立つ。


「そんなの、私が知りたいよ・・・」

「勝てる気なんて・・・しない」


その怯えた様子に、フランコが『パンっ』と手を叩き、


「済まないね、飲み直そう・・・」

「あとは、私自身が考えなければならない問題だ」

「そういえば、このロースト・ビーフ、なかなかに美味しいじゃないか」

「夕方開けたワインも、なかなかに上等だったし」

「アイシャは、いい嫁を貰えそうだな」


見え見えのお世辞や冗談でも、ないよりはいい。

だが、アイシャは少しばかり話を続けた。


「私達は、フランコに借りがある」

「だから、問われれば、何でも答える用意がある」

「それだからこそ、あの子とフランコは敵対してほしくない」

「気休めでもいいから、約束してくれないか」


アイシャの言葉を噛み砕くようにフランコは長考し、アイシャを見つめて言葉を紡ぐ。


「ああ、わかっているよ」

「勿論、敵対するために聞いたんじゃないさ」

「むしろ、私としては争わないために情報が欲しかった」

「この話は、決して他言しないことを誓おう」

「出来る限り、争いを避けることも約束する」


シャアリィはわかってしまっている。

もしも、その時が来たならば、それは自分とリーシャが対峙する時なのだ、と。

この予感をアイシャに気付かせないように、シャアリィはアイシャの髪を撫でる。


「この似非神父は約束を守る男だよ」

「アイシャ、心配することなんてない」


『出来る限り』というのは、便利な言葉だ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ