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氷結のシャアリィ  作者: 黒猫テラス運営部
氷結龍討伐編
270/401

追加カード

「追加にはこれを指定するよ」


ジョンソンがバインダーからカードを取り出す。

前以て決めていたであろうカードは、


「討伐依頼:賞金首『宝石荒らし』の確保、或いは殺害」

「討伐報酬:dead金貨五枚、alive金貨五十枚」


ごく普通の賞金首、衛兵所にも出回ってそうな依頼。

シャアリィとアイシャは首を傾げる。


「賞金首だから、当然、窃盗だけじゃなくて殺人犯なんでしょ?」

「金額からして、相当のモノを盗んだことは想像できるけれど・・・」

「私達が狩るには、少々、小物過ぎない?」

「衛兵所にだって、これくらいの手配書は出回っているでしょ?」


シャアリィはカードを見て、苦笑い。

ジョンソンも何時ものにやけ顔で応じる。


「こいつぁ、個人的な怨恨で賞金額が上乗せされてるんだよ」

「生かして捕まえたなら、報酬は十倍」

「拷問でブツの在処を吐かせた上で、また拷問・・・末路は明るくはないな」


シャアリィがメモを取る横で、アイシャが嫌な顔をする。


「相変わらずろくでなしばっかり、だな」

「それを飯の種にする私達も人のことを言えた義理ではない、けど」

「この賞金首は、衛兵所関連には出回ってないのか?」

「もし、出回ってるなら、私達は衛兵所の依頼をこなす」

「そうすれば、あんたに支払う手数料がいらなくなるからな」


ジョンソンは失笑交じりにアイシャに問う。


「さすがキラーズ、抜け目がないな」

「別にそれでもいい」

「ただ、その時は、俺はこのカードを遂行と認めない」

「つまりは、お前達の選択肢が五択から、四択に狭くなるだけさ」

「それでいいなら、衛兵所に突き出すがいいさ」


ここに至って、アイシャはジョンソンの狡猾さに気付く。


「そうなれば、危険度の高い仕事や、私達にとって好まざる仕事しか残らない可能性が高くなる、そういうことだな」

「何処までも腹黒い奴め」

「否、巧いことを考えたと、褒めておこうか」


違和感。

シャアリィは、ジョンソンのカード選びに悪意を感じ取る。

だが、それはまだ直感がそう告げているに過ぎず、具体的に、何がどのようにおかしいのかは、全くわからない。

顎に指をあて考えてみても、シャアリィには、アイシャ程の知識も、フランコ程の情報もなく、その違和感の正体に辿り着けない。


「次の討伐依頼は決まってるのか?」


急かすようにジョンソンに問われれば、アイシャは先の見えない流れを変えるべく、難度の高いカードを選択する。


「人形師、を、やる」


賞金首としては、ほぼ最高ランクの金貨三百枚(三千万円)は、ネームドと同じくらい遂行が難しいことを意味している。

カードの選択肢の増減、ジョンソンの次のカード指定、そういうものを計算に入れなくとも、ここで一番難しい討伐を遂行出来れば、駆け引きに余裕も生まれるだろう。


曖昧ながら、アイシャの勘が囁いている。

もっとも選び辛いカードこそが正解だと。


アイシャの選択に、ジョンソンは瞠目する。


「おい、本当に人形師(アレ)をこんなに早い巡目でやるつもりか」


アイシャはさらりと首肯を返し、ジョンソンに問う、


「面倒そうだったら、別に完遂しなくとも、残りカードに切り替えるさ」

「それに、追加カードを要求しないなら、同時進行ってのも問題なかろう?」


こちらにはフランコがいる。

情報戦では、ジョンソンの知らないアドバンテージだ。


「流石、キラーズ」

「その心意気や良し、ってか」

「まぁ、俺の為にも頑張ってくれ」


僅かに吊り上がった口角、それは紛れもない謀略の表情。


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