闘牛その一
翌日、ジョンソンへの宣言通り、シャアリィとアイシャは冒険者ギルドに足を向けた。
今日はアイリーンが非番なのか、別の受付嬢・・・否、受付婆がいた。
「んんんん?物売りなら間に会ってるよ?帰りな」
状況を飲み込めないシャアリィが、問う。
「あは、お婆ちゃんこそ、こんなならず者が来るような所にいちゃあ、危ないよ?」
その言葉に老婆が沸騰する。
「おお?小娘、よくぞほざいた」
「老いちゃあいるが、あたしは元冒険者だ、ギタギタにしてやるから表出な!」
「年寄だからって舐めてると・・・」
そこに顰めっ面のジョンソンが現れる。
「母さん、そいつらは俺の客だ、しょうがねえなぁ」
「すまん、ちゃんと言っておいたつもりだったが・・・」
アイシャは、呆気に取られた後、吹き出す。
「ギルドの留守番に母親使うって、どんだけ、経費節約してるのさ」
「まさかとは思うが、アイリーンも身内じゃなかろうな?」
図星を付かれたジョンソンは、
「姪っ子だよ、言っとくが愛人とかじゃねえからな」
言い訳なのか、弁明なのか、よくわからない返答をした。
・・・
最初の討伐。
その相手を決めたシャアリィとアイシャの前に、詳細な情報が明かされる。
「右耳の迷宮地下三層、南側壁面に横道がある」
「それが派生玄室への通路だ」
「一度でもここの迷宮に潜ったことがあるなら、知ってるだろうが、グリーンノウズの迷宮はどれもこれもとんでもねえ数のゾンビィ、スケルトンがいる」
「現地に着くのさえ厄介な仕事だ」
シャアリィとアイシャは、熟知しているなどとボロは出さない。
「ああ、せいぜい気をつけるさ」
「でも、魔石はあって困るもんじゃないし、沢山獲れるなら大歓迎」
アイシャが、如何にも舐めて掛かっている冒険者を装う。
シャアリィは悪戯に、先ほどの戯れを蒸し返す。
「そうだ、お婆ちゃん、私とどっちがゾンビィの魔石持ってこれるか勝負しない?」
「さっき、ギタギタにしてやるって言ってたじゃん」
「さすがに私も老人を虐待する気にはなれないから、そういう勝負でどう?」
金色の瞳で老婆を射抜く。
「あわあわわわわ、か、か弱い老人の戯言を間に受けて・・・」
「年寄を虐めると地獄に墜ちるぞぇええ」
ジョンソンが、老婆に代わり謝罪する。
「なぁ、冗談だろう?」
「勘弁してやってくれよ、俺からも謝る」
「これも土地柄ってことで、多めに見てくれよ」
シャアリィは舌をちろりと出して、
「長生きしてね、お婆ちゃん」
と、悪戯に笑った。




