海鮮と討伐候補
結論から言うと、グリーンノウズの魚料理は可もなく不可もなく、と、いうものだった。
素材は良いが、料理人の腕はそれほどでも、提供時間も早いとは言えない。
但し、魚の鮮度はやはり素晴らしかった。
それでも観光客には大人気。
市場で大きな魚の解体ショーを見た後となれば、財布の紐も緩む。
「フランコ、マグロのくせに妙に白いその切り身はなんだ?」
と、アイシャが問うと、フランコは、
「これは、マグロの脂身みたいなもんだよ」
「トロと世俗では言われてる・・・魚を食い飽きても、コレは別物さ」
「食べてみるかい?」
「ちなみに値段はべらぼうに高い」
アイシャ、シャアリィの皿に、一切れずつが乗る。
「山葵を少し多めに乗せて、大豆のソースを少し付けるのが、私の好み」
「まぁ、とりあえず、そのやり方で食べるといい」
フランコに言われるまま、シャアリィが白い切り身を口にする。
二度、三度、噛み締めて、そのままシャアリィは名残惜しそうに飲み込む。
「・・・もう一切れ、いや、もう一皿!」
シャアリィの変貌に、アイシャも切り身を口に入れる。
「これは・・・魚のチョコレートだ」
「こちらにも、一皿!」
如何にグリーンノウズの物価が高いとしても、刺身に金貨五枚は使い過ぎだろう。
・・・
腹を満たした三人は、そのまま、密談の出来る会員制のバーに入った。
聖職者が、こんな高級なバーの会員で良いのかという愚問は、アイシャもシャアリィも口にしなかった。
「ジョンソンか・・・裏の世界じゃ、『象』の愛称で通ってる曲者だ」
「まぁ、教会が踏み込んだ所で、バインダーの押収と少々の罰金でカタがついちまうだけだから、利用した方が得策だと、私は思うね」
「ほう、名有りにバンシー、タウロス、賞金首、力の指輪、か」
「二人の腕なら、賞金首以外は問題にならんよ」
「タウロスは、多分、教会が出してる依頼だし、力の指輪も・・・教会関係者かもな」
「賞金首の人形師は・・・まぁ、これも二人ならイケるか」
「奴は迷宮を渡り歩きながら、迷宮の中で暮らしている」
「補給物資が必要な時は、民家の襲撃やら、家畜の窃盗やら、なんらかの方法で自分は迷宮から殆ど出ることなく、この数年を生きている」
「この街にはハンターとなる冒険者が少ない」
「それにも増して、ゾンビィに食われないという奴の特性が厄介だ」
フランコは、全てのカードについて、心当たりがあるらしい。
アイシャがフランコにアドバイスを求める。
「肩慣らしに良さそうなのはどれかな?」
フランコは、シャアリィのメモ書きの中から、
「雑でも楽勝なのは、タウロスだね」
「聖職者は徳の関係で手が出せない、というだけで、タウロスならば君たちの敵ではないね」
「ただ、数と密度に関しては、討伐報酬くらいの危険度がある」
「私一人なら、間違っても、あの玄室には入らないね」
シャアリィは納得する。
「数がやれるなら魔石もその分拾えるんだから、うってつけだね」
「それにタウロスのゾンビィなら、打撃にも斬撃にも弱いでしょう」
「さすがはフランコ」
グリーンノウズ、初回のカード。
タウロス・ゾンビィ殲滅。




