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氷結のシャアリィ  作者: 黒猫テラス運営部
氷結龍討伐編
260/425

交渉成立

アイシャがジョンソンの意図を確認する。


「それを何故、私達に見せても構わないと思ったんだ?」

「私達がその情報を手にすれば、ギルマスの恐れることが起きるやも、だぞ」

「私とシャアリィが根こそぎ喰らい尽くすことになる」


ジョンソンはにやりと笑う。


「多分、そうなるだろうな」

「俺が知る範囲、お前達が、現存、最高峰に近いペアだろう」

「そこで取引だ」


ジョンソンは真昼間のギルドカウンターという場所をも気にせず、右手の人差し指と親指で輪を作る。


シャアリィは、つまらなそうに吐き捨てる。


「お金、ね」

「分け前の要求は何割?」

「あまりに法外な要求なら、教会に通報しちゃうよ?」


シャアリィとアイシャにとって、既に金銭というものは、それ程の価値はない。

二人の資産を合わせれば、慎ましい人生なら十回やり直せる。


アイシャは理解している。

ここでジョンソンの申し出を蹴れば、旨味のある魔物にありつくのは相当難航するのだから、もう、この商談はジョンソンの言い値でも応じる方が得策である、と。

だが、流石にそれでは虫唾が奔る。


「討伐報酬の三割、但し、魔石は全て私達が貰う」

「ネームドの魔石に関しては業腹だが、ギルドとの取り決め通り、権利の半分を渡す」

「その他、副次的な利益については魔物毎に交渉」

「私達が譲れるのは、そこまで・・・どうだ?」


アイシャは主導権をジョンソンに与えず、妥協できる線を引いた。

ジョンソンは一度、手を叩き、右手を差し出す。


「交渉成立」

「アイリーンへの口留め料は俺持ちで構わない」

「お互い他言無用だ」

「俺は老後の資金を貯めて、定年を待たずに仕事を辞められる」

「お前達は、金、経験値、魔石を手にして、世は事もなしってことさ」


じゃあ、と、ジョンソンは、バインダーをごつい手で開き、そこから五枚の伝票を取り出した。


「もう一つの俺の権利」

「伝票を指定する権利は俺が貰う」

「一つ消化する度に、新しいもの一枚を補充」

「常に選択肢は五つ、ほら、これが最初の五枚」


一枚目。

「named:巨人の(ギガンテス・ゾンビィ)

「討伐報酬:金貨三百枚」


・・・最初の一枚から名有りか、いいものを持ってるじゃないか。


アイシャは、思わず口角を吊り上げる。


二枚目。

「討伐依頼:落日教会墓地のバンシィの殲滅

「討伐報酬:金貨五十枚」


三枚目。

「討伐依頼:右耳の迷宮から伸びる派生玄室にいるタウロス・ゾンビィ殲滅

「討伐報酬:金貨五十枚」


四枚目。

「討伐依頼:賞金首『人形師』の確保、或いは殺害」

「討伐報酬:dead金貨百枚、alive金貨三百枚」


五枚目。

「宝物回収:小指の迷宮内、力の指輪」

「討伐報酬:金貨五百枚、但し、指輪は依頼主に返却」


並んだカード、シャアリィが走り書きでメモを取る。

ペンを走らせる指が、実に楽しそうだ。


「今日は、持ち帰り、明日、どれから挑むか伝えるよ」


アイシャはひらひらと手を振り、シャアリィはメモを鞄に仕舞う。

やはり、ここはグリーンノウズ、一筋縄ではいかない。


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