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氷結のシャアリィ  作者: 黒猫テラス運営部
氷結龍討伐編
247/395

閑話:手紙

アーシアンを離れた南方行きのキャラバンの終点は、ウィトプラナ。

シャアリィとアイシャは途中のレリットランスで下車する。

そのレリットランスの前にある中継点の街が、ジルノワール。


他の中継点の街と同じく、その中心は歓楽街。

ナセルバの拡大、レリットランス復興に合わせて南北からの往来が増えた為、中継点の街では最大の規模に発展した。


それは表向きの発展。

今や浄化されつつある首都近郊とレリットランスに巣食っていた、ならず者共の住処でもある。

最近では、『盗賊ギルド』等と名乗る物騒な集まりもあるとか。

あくまでも噂の範囲を出ない。


もし、あるとしたら、シャアリィやアイシャだけでなく、ベテラン冒険者には恰好の餌食だ。

賞金首が、その首を並べて待っているとしたら、棚から牡丹餅以外の何物でもない。


不穏な噂話を肴に飲んでいる連中には関わっても無駄な時間の浪費とばかりに、シャアリィとアイシャは宿に引っ込む。


「ロザリーへの手紙は私から出すとして・・・」

「この際だから、知人に手紙を送るというのはどうだろう?」


と、言っても、シャアリィやアイシャの交友関係は指折り数え切れてしまう。


「レリットランスには、もうすぐ着いちゃうから不要だし」

「残りは、イザベラと、ミヤマ先生と、ん-、フランコくらい?」

「イルオールドまで旅路も長いし、イザベラとフランコ!」

「じゃあ、私はフランコに手紙を書くから、イザベラはアイシャが書いてね」


・・・


西方大教会 ジョルジアット・フランシスコ様


以前はいろいろとお世話になりました。

私達はあれからイルオールドに向かい、さらに最北のザグレブホーンまで旅しました。

道中が安全であったわけでもなく、相変わらずの出たとこ勝負でしたが、ちゃんと、二人とも元気で生きています。

近々、グリーンノウズの迷宮に又、潜る予定ですので、その際には、宿の提供、その他諸々ご厄介になれたらいいなぁ、と。

見返りというのもなんですが、フランコのお手伝いをすることも条件次第ですよ。

そう言えば、生のお魚初めて食べました。

グリーンノウズに割烹のお店があれば、ご一緒しましょう。


シャアリィ・スノウ


・・・


ザグレブホーン冒険者ギルド イザベラ・リリィ・シュベルド様


あなたのことだから、今日も鍛錬か狩りでしょうか。

イザベラとロザリーからは、沢山のことを学ぶことが出来ました。

私達は結局、未熟なままで氷結龍に挑むことをやめ、さらなる精進の旅として連合国南部を大周回するという旅程に切り替えました。

もうすぐレリットランスに着きます。

そこには私たちの知る限りで、最高のチョコレートが売っています。

普段から美食に慣れたイザベラには少々物足りないかも知れませんが、私達からの感謝の気持ちとして贈りますので、ロザリーと一緒にお茶の時にでも召し上がって下さい。

そちらの冬は厳しいと思いますので、お体に気を付けて、職務に励んで下さい。

直ぐには無理でも、又、忘れた頃に、立ち寄らせてもらいます。


アイシャ・セロニアス


・・・


北方大教会司教 ロザリー・イグシエンヌ様


あなたの導きにより、妹を訪ねることが叶いました。

難解だった全ての謎が、解き明かされ、晴れ晴れとした気持ちです。

あの日、声を掛けて貰えなかったら、私達はまだ、北の地で孤独な時間を過ごしている羽目になっていたはず。

私はロザリーに心より感謝しております。

又、何時か、私達がザグレブホーンの地に向かうことがあれば、或いは、何処かの街であなたと出会うことがあれば、美味しい酒を飲みましょう。

イザベラ宛てにチョコレートを贈っておきますので、奉仕や職務、狩りの合間にでも召し上がって下さい。


アイシャ・セロニアス


・・・


言葉はすぐに消えてしまうもの。

手紙は、ほんの少しだけ、それより長く残るもの。

そして何度もあとから読んで、幸せを少し戻してくれる。


それでも願わくば又、言葉を交わしたいものだと、アイシャは思った。


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