猫とミント
汗ばんだ身体から熱が引き、今は寒さすら感じる。
シャアリィは自分の馬鹿さ加減に呆れていたが、アイシャはシャアリィはやはりシャアリィだと、上機嫌だ。
「アレに、殺ろうか?と言えるのは、恐れ入ったよ」
「私は姉バリアで守られているし、索敵を常に張り巡らせて相手の意志と行動の差がわかるから、ある程度は平気だけどさ」
「姉の私が言うのもなんだがね」
「あの子はもう、ヒトの姿をした兵器だよ」
「あんなのをお披露目したならば、どうなるか想像もつかないね」
シャアリィは不貞腐れたまま、同意するしかない。
「だって!」
「だってさ!」
「私達がまだまだ追い付けないフローズン・ドラゴンをペットにするって!?」
「そんなこと言われたら、むっきーってなるでしょ!」
「まぁ、命拾いしたんだけど・・・」
それにシャアリィは少々どころかかなり気にいらない。
リーシャのシスコンぶりは思い出すだけで、腸が煮えくり返る。
とは言うものの・・・少しばかり可愛らしくもあるのだ。
「アイシャをそのまま一回り小さくした感じだったなぁ」
「アイシャも、もう、二回り小さくならないかなぁ」
「そうしたら、上から頭撫でられるのに・・・」
そんな戯れに、アイシャは腰を折って応える。
「撫でたかったり、撫でられたかったり、シャアリィはきまぐれだね」
「ほら、アイスクリームの露店があるよ」
アイシャの指差す方向に二人で小走り。
「おや、綺麗な色のアイスだね」
シャアリィの視線の先にあったのは、チョコ・ミント。
アイシャはラム・レーズンを選んだ。
明日になれば、また、キャラバンの旅。
レリットランスに着くまではアイスクリームもお預けだ。
色だけが気になってチョコ・ミントを選んだシャアリィだったが、ほうほうと気にいった様子。
アイシャの鼻にそれを近付けると、アイシャは小さなくしゃみをした。
「すごいミントの匂いだね」
「びっくりしちゃった」
「ちょっと私には無理かなー、そのアイスクリームは」
アイシャは少しミントが苦手だ。
鋭敏な感覚を持っているアイシャは、不意に漂う予想外の匂いにたまに驚くことがある。
「ああ、そういえば猫ってミント好きな子と嫌い子に分かれるよねぇ」
何処から得た知識なのか、シャアリィがそんなことを言った。
「猫じゃないよ、獅子なんだから!」
「まぁ、猫のおっきいやつだけれど・・・」
もう、最近では否定するつもりもあまりない。
最大の謎解きが終わって、心の負債は随分と軽くなった。
ここからグリーン・ノウズまでは、半分、バカンスのようなもの。
まずはレリットランスに戻って、幸せの補充を満タンにしなければならない。
夜明けが待ち遠しいのは、何時以来だろうか。
シャアリィとアイシャは、今日も一つのベッドで眠る。




